プロモーション/アクティベーション(Aカテゴリー)

総務大臣賞/ACCグランプリ

作品名
道頓堀 金龍のしっぽ Project
審査評

撤去を観光資源にしたアイデア。くいだおれ人形のように撤去を話題にしたアイデアは過去にもあったが、「ないこと」を永続的な集客装置に変えている点は特筆すべきだし、お向かいの「かに」を巻き込んだことで、一店舗の施策を超え、街の物語にしたことも素晴らしい。またこの時代にデジタルやソーシャルの「お作法」をほぼ使わず、アイデアで一点突破したことも、今後のプロモーションアイデアを考える手本になるだろう。PRではないか?という声もあったが、批判を好意に変え、未来の顧客離れを回避した点で十分なプロモーションだろう。
(小西 利行)

金龍の仕事は、企画者の従来の王道の広告クリエイティブとは異なるプロモーション/アクティベーション領域の強みを最大限に活かしつつ、殺伐とした時代を象徴する瞬間に関西らしい愉快なアイデアを添えるジャーナリスティックな切り口に、自分から飛び込んでいって結果を出すプロデューサー的な勇気も持ち合わせていて、その表現は極めてチャーミング。審査委員誰も文句なしの受賞だったように思います。事件現場のせいで、一瞬大名作「消えたかに道楽」が頭を過ぎる点だけ議論を呼び、そこは気の毒ではありました。
(菅野 薫)

建造物の撤去命令を「龍のしっぽが切られた」というストーリーに変換し、訴訟という大人同士の争いを大阪らしい笑いに昇華、さらに金龍の宣伝に結びつけた卓越したプロモーション施策。本来、裁判による係争はブランドにもお客さまにとっても笑い話にはならない。しかし本施策は、クリエイティブコミュニケーションによってお店のプロモーションに逆転させ、まさに“拳の下ろし方”の妙を示している。国内全体を巻き込む大規模キャンペーンではないものの、課題の着眼点からアウトプットの精緻さに至るまで、プロモーション/アクティベーションの”真髄”が凝縮されたグランプリにふさわしい業務。
(畑中 翔太)

僕は心斎橋付近に住んでいたこともありこの辺りの空気感もなんとなくわかるのですが「もしこの企画がなかったら、この金龍ラーメン、(商店街の空気的に)結構居づらかったんじゃないかなあ」と予想できます。そんな状況をアイデアとちょっとのユーモアで逆転させたのが鮮やかですし、どうやら自主提案だった(?)という話も聞き、広告プランナーとしては見習わねばと思いました。
(花田 礼)

うおーすごすぎるーっって思った企画です!「良いアイデアがあれば、なんだって突破できる」をまさに体現している仕事で、グランプリに相応しいと思いました!「金龍の騒動をニュースで見て、あなたならどう動きますか?」自分は何も出来ませんでした!すごいです、おめでとうございます!
(明円 卓)

ACC ゴールド

作品名
ばくモレ展
審査評

SNSで啓発活動をするのは難しい。お堅い話をしても、興味を持ってもらえない。「ばくモレ展」は「情報漏洩」という社会課題を、ターゲットに受け入れられやすい「展」という形でストーリーを作り、大成功。「盛れている」と思いきや「情報が漏れている」という言葉の作り方が素晴らしく、この言葉だけ切り取っても発見がある。どう気をつければ良いか、の提案がすごく具体的で緻密。「インフルエンサーの写真展のテイをとる」ことで、ファンの方を中心に来場モチベーションを作り、来場者のコメントやインフルエンサー自体の投稿から広がっていくという設計もお見事。
(市川 晴華)

「まず人気になってから実は」という手法は、2017年の「Like my addiction」以降あまたの猛者が挑んでは散っていった道。「まず人気に」がそもそも難しい。ばくモレは、デジタル空間で人気を獲得した上で「実は」をリアル空間で達成したのが新しいと感じました。「実は」の衝撃が体験者の行動を変えるとしたときに、展示でくらった方が深く心が動くのではないでしょうか。そしてその経験を自らの手で人に広めていくことで、ただの啓蒙広告では到達できない深度がもたらされるはずです。過去事例も空間を入れ替えると新しくなるという学びをくれました。
(尾上 永晃)

「ばくモレ」という発見を信じ、育てたことで、ともすれば無視されがちの「啓蒙ごと」を、拡散したくなる施策に仕上げた力量がすごい。デジタルで完結するとスルーされる可能性をあえてターゲットが注目している「展示」にすることで払拭し、UGCを生み出すことに成功したことや、たった2日のためにインフルエンサーチームを育て、集客につながるほどの成功に導いた点も素晴らしい。またPRの観点からメディアの大好物である「ひっくり返し」というストーリーを組み込み、「教育コンテンツ」への波及へと至ったことも高評価につながった。
(小西 利行)

ACC シルバー

作品名
ひろくま
審査評

言語化全盛の時代である。かたやで、ポップカルチャーの領域では、バイブスやテクスチャーといった言語に還元しえない感覚を起点に「ノリ」を重視する傾向も、とりわけ若い世代に強まってもいる。世の中に言語化のノウハウが流通すればするほど、そこから逃れようとする力学が働くのだ。ならば、広告コミュニケーションのフィールドにおいても、そうした潮流はうまれるはずで、その萌芽をキャッチすることも本審査において重要な指針となった。『ひろくま』は、そのある種の極点のような現象に思える。新しいゆるキャラづくりと評価してしまえばなんてことないくまのキャラとも見えるが、新しい「ノリ」の発信源と考えれば令和の新しいコミュニケーションを考える上での重要な参照ソースとなる。現代の人間が何をどう愛好するのか。その感性の傾向に、SNS、店舗、イベント、マスメディアといったあらゆるチャネルをまたいで共振し続ける技術は、単に県が可愛いキャラを作ったという以上の設計の妙が求められるだろうし、飽きられないために大衆的「ノリ」に迎合しすぎない胆力も必要だろう。総じて、新しい時代のコミュニケーション技術の結実体として評価すべき事例と考えた。
(TaiTan)

ACC ブロンズ

作品名
ツモれるボス雀缶
審査評

「まだ自販機にこんな手が残されていたのか」と思わせてくれる、王道ながらもこれまでになかったプロモーション/アクティベーション施策。缶コーヒーを媒介にしながらも、デジタル上の体験に入り込まず、麻雀牌に見立てた缶デザインだけで完結させるシンプルさがクリエイティブを際立たせている。役を揃えるために買う、ゲン担ぎのために買う、人との会話のために買うなど、この施策一つでBOSSの新たな購買理由を創出し、“人が動く”というにおいを確かに感じさせる。停滞・衰退が叫ばれている自動販売機メディアにおいて、「自販機で買いたくなる」動機を生み出した鮮やかなソリューション。
(畑中 翔太)

ACC ブロンズ

作品名
バーガーキング潜入大作戦
審査評

ワクワクが止まらない企画でした。ファンとのコミュニケーションに「スパイ」という役割を与える発想がユニークで、単なるミステリーショッパー募集にとどまらず、「スパイ顔」というユーモラスな条件が参加意欲をかき立てています。バーガーキングらしい遊び心と同時に、お客様の声を丁寧に受け止めたいという誠実さも伝わってきて、人格あるブランド像が浮かびました。ユーモラスさと真摯さが同居した、すごく魅力的なコミュニケーションだなと思いました。
(あさぎーにょ)

ACC ブロンズ

作品名
3.11防災花火
審査評

季節外れの花火に会話が生まれ、検索し、自分ごととして考える...という導線が実に緻密にデザインされている。鎮魂・話題喚起・避難場所確認という3つの要素が『花火』を通じて世界観を保ちながら過不足なくつながっており、幅広い消費者に防災啓発の機会を提供できている。かつ、不安や恐怖を煽るのではなく、ポジティブな第一印象の話題創出を通じて啓蒙しているのが素晴らしい。LINEの成り立ちや、Yahoo!の広告資産とも非常にマッチしている。ただ、実施箇所が都内3箇所のみのため、継続的・広域的な展開を期待したい。
(龍崎 翔子)

ACC ブロンズ

作品名
新味ではなく新ルールを発売した「シャウエッセン夜味」
審査評

広告の知恵を結集して作っているアイデアで凄いと思いました!夜味という素晴らしいネーミング、社員さんが出演するPR用のインタビュー映像、CMにグラフィックに、丁寧に細部まで完璧なコミュニケーションで、僕は強く推していました!大好きな仕事です!
(明円 卓)

ACC ブロンズ

作品名
世界一!?不快なイルミネーション
審査評

恐怖や不快を、怖い・気持ち悪いで終わらせず、「おもしろかった」の先に“気をつけよう”という気持ちまで導いていく。その発想にハッとしました。アース製薬という清潔や安心を守るブランドが、あえて「不快」をテーマに選んだことにも誠実さを感じます。気持ち悪さと笑い、恐怖と納得。その相反する感情を心地よく行き来させながら、思わず人の好奇心をくすぐってくれるような、不思議で愛おしい体験設計だと思います。
(佐野 貴子)

ACC ブロンズ

作品名
涙目シール
審査評

フードロス対策の割引シールには様々なデザインが存在する中、「涙目」という万人にわかりやすくチャーミングなモチーフを採用するだけで、ここまで効果が変わるのかと驚きました。「涙目シール」というネーミングの瞬発力も店頭やPRで効いていると感じます。おそらく応募作の中で最も小さな面積の企画が、大きなインパクトを生み出しており、アイデアの技術が詰まったお手本のような事例だと思いました。今後の広がりも気になります。
(片岡 良子)

ACCファイナリスト

作品名
PRIDE VISION
審査評

興味はあるが知りにくいテーマをARの簡単なアクションで可視化し、投票へとつなげる着眼点が高評価。3日で作り上げる賛同者を得たビジョンと行動依頼も良い。どの観点から賛成反対を判断したかなどを知りたかった。
(小西 利行)

ACCファイナリスト

作品名
おねがいテプラ
審査評

整理整頓の道具だったテプラを「創造的解決」の道具へ。「その手があったか!」と思わず膝を打つ使い方を丁寧に伝える本作。商品に向き合うとコンテンツが生まれる。プロモの原点とも言える素晴らしい仕事でした。
(細田 高広)

ACCファイナリスト

作品名
※服装の完全一致につき起用
審査評

ただのネタなだけでなく、ちゃんと「読む」というところまで到達できる、素晴らしいアイディア。タレント起用の必然性がこれでもか、というぐらいにある。
(市川 晴華)

ACCファイナリスト

作品名
大震災における最新リアルタイム情報発信戦略〜石川県庁の1年半〜
審査評

タイムラインの景色だけでなく、被災地の景色さえも間違いなく変えていた。1年半ではない。今後も震災と向き合うであろう日本の未来を変える素晴らしい活動。その知見をシェアして頂いたことをありがたく思う。
(荒井 信洋)

ACCファイナリスト

作品名
こどもでぱーと -親子のための施設がぎゅっとつまった百貨店-
審査評

キャンペーンのように一過性ではない街の人流を作り上げているところに感銘を受けました。審査委員チームからは「こどもでぱーと」のネーミング評価も高く、新しいカテゴリーとして全国に広がっていってほしいです。
(太田 郁子)

ACCファイナリスト

作品名
UGChrome
審査評

SNS上での盛り上がりを、Googleという世界的な企業がここまで丁寧にエンタメ化しているのは凄いです。こういうのは制作布陣が肝になると思うのですが、作曲家のピノキオピーさんをはじめ、チョイスも良いなと思いました。
(花田 礼)

ACCファイナリスト

作品名
ブラックサンダーの恩人探し
審査評

商品の歴史ではなく、ファンとの関係の歴史を、鮮やかに周年プロモーションに変えてみせた。マーケティングの魂胆としてでなく、これからもそんな関係を積み重ねてほしい。もちろん、ときにブラックユーモアを込めて、面白く。
(荒井 信洋)

ソーシャルインフルーエンス(Bカテゴリー)

総務大臣賞/ACCグランプリ

作品名
【BMSG×ちゃんみな】ガールズグループオーディション「No No Girls」プロジェクト
審査評

「NO NO GIRLS」は、オーディション番組という形式を超えて、BMSGの理念やメッセージをまっすぐに感じさせてくれるものでした。Be MySelf Groupという名の通り、一人ひとりの個性や表現を尊重する姿勢が番組全体に貫かれていて、その熱量が視聴者にまっすぐ届いているのが印象的でした。単なるアーティスト発掘企画ではなく、BMSGそのものの価値観や未来へのビジョンを共有できる場となっていて、新しい可能性を感じさせてくれる試みだったなと思います。
(あさぎーにょ)

広告の形をしていないけれど、最も広告的だと思いました。人の心を動かすとはどういうことなのか、その原点を思い出させてくれます。NOを突きつけられてきた人たちが、自分を信じて前へ進む。その軌跡を見守るうちに、見る側もまた勇気をもらう。技法でも演出でもなく、No No Girlsの根底に流れる思想そのものが人を動かしている。分断や諦めが蔓延る時代に、こんなにもまっすぐ希望を届けられること自体が、奇跡のように思いました。
(佐野 貴子)

我々広告クリエイターは「広告」は、コミュニケーションを生業にする以上、現代の社会課題と向き合っていかないといけない。ジャンダー、ダイバーシティ、インクルーシブ、DV・児童虐待・いじめ、人種差別、、、様々な社会課題に対してどうクリエイティビティで超えていくか、常に突きつけられています。「No No Girls」は、SKY-HIさんと、ちゃんみなさんが芸能にありがちなルッキズムや多様性といった課題に真摯に向き合ってオーディションのあり方に一石を投じてくれた活動。この姿勢は、我々の姿勢に強い共感と刺激をもたらすと思っています。
(菅野 薫)

一体、どれだけの人が画面の手前で救われたことでしょう。No No Girlsは狭いソーシャルメディアに閉じることなく、カルチャーや価値観にまで大きな「インフルエンス」を与えました。トレンドを勉強してつくられた手口先行の企画が並ぶ中、骨太な思想がすべてを超えた力を持つことを教えてくれました。手法から思想へ。ソーシャルバズから社会への影響力へ。この部門の限界と前提を突破した、金字塔と言っても過言ではないでしょう。これがグランプリだったら若手は絶望するという議論がありました。私はむしろ、大いなる希望だと感じます。
(細田 高広)

「この企画がグランプリだったら、広告業界はどうすればいいのか」と、審査結果に戸惑う方もいるかもしれません。でも、それこそが今私たちの業界に問われているものだと思います。ノノガは明らかに「アイデアの力」で出来ている。アイデアの力を活かせば、こんなにも社会を揺るがす素晴らしいプロジェクトが作れるんだと証明してくれた企画です。
(明円 卓)

ACC ゴールド

作品名
PLAY NUTRITION
審査評

最も「やられた」と感じた企画でした。ゲームという軽やかな舞台の裏で、時間もコストもかけながら、どうすれば本当に届くのかを理解して設計している。その緻密さと情熱の両立に心を打たれます。カロリーメイトという確かなロングセラーブランドが、今の時代のありように真摯に向き合い、CRチームの知恵と努力で新しい形に翻訳している。その一体感が見事で、ブランドの信頼を次の世代へつなぐ力を感じました。
(佐野 貴子)

「カロリーメイトの缶がコロコロと部屋を転がってゆくゲームを作りたい」と望んだとして、それを個人のゲームクリエイターとして挑むならいざ知らず、天下の大塚製薬のブランド担当者と力を合わせて実現にこぎつけたのである。たったそれだけの事実で圧倒的に評価に値する達成と思わされる。それに実現の達成のみならず、ゲームの画面中央には、必ずブランドのプロダクトとロゴが配置される設計になっており、遊んでいるだけなのに気づけばカロリーメイトを注視してしまっている自分に気が付く。こんな幸福なブランドとユーザーの関係性の結び直しがあるのかと膝を打った。
(TaiTan)

ゲームを作って公開するというアイディア自体は普遍的かもしれないが、時間と予算の制約の中で精緻なコミュニケーション戦略を実現している作品。ゲーム実況者の巻き込み方が命綱と言っても過言ではないところを、実況者にとって「美味しい」絵を設計するなど配信者心理を突いたゲーム構成で、深い界隈理解に基づいて製作されていることが見てとれる。CM動画そのものを作り込んで配信するのではなく、実況され、切り抜かれ、広がる「ゲームという素材」を提供しているという意味で、現代のソーシャルインフルエンスの技術が詰まっている。
(龍崎 翔子)

ACC シルバー

作品名
ひろくま
審査評

“香り”という対面しないと得られない価値、SNS発のキャラクターとして、マスに頼らずソーシャル上で自走・共創していく設計。従来の単純な「かわいい」でも「尖っている」でもない、「DX化」という新たなゆるキャラの概念のアップデートを右脳的なクラフト設計で成し遂げた素晴らしいクリエイティブだと感じた。
(小暮 菜月)

ACC シルバー

作品名
いまだけダブチ食べ美/サムライたまご食べ美
審査評

今年のSNSの覇権は間違いなく「食べ美」が握っていた。そのまんますぎる名前にも関わらず、「これってもしかして(あの有名な、伝説の…)」とネット民なら誰しも言いたくなるツッコミどころを隠したことで、爆発的な拡散と二次創作がうまれ、勝手に「食べ美」の話をする人が増えた。名前を出すだけでバーガーの宣伝になるため、「そのまんま名前」が効いている。終了後も巨大なミームとしてSNSの大海原に残りつづけている。歴史に残るキャンペーンだと思う。
(市川 晴華)

ACC ブロンズ

作品名
行方不明展
審査評

今年最もSNS上を賑わせていた展示系イベントの一つ。「行方不明」をテーマに、映像や音、立体物などによる“架空の痕跡”を辿る体験展示。展示を通じて結論を明確に示さず、考察要素の多さが噂を呼ぶ仕組みとなっており、ソーシャルメディアで得られる断片的な情報だけでは完結しない(満足できない)構造的なクリエイティブ性が、大きなインフルエンスを生み出している。イベントでは、制作・運営する会社やクリエイターを全面に押し出し、この施策によって得られた話題や評価を制作陣に還元している点でも、ブランデッド・コミュニケーション業務として成立している。
(畑中 翔太)

ACC ブロンズ

作品名
伊右衛門の車窓にて
審査評

昨年もっとも衝撃を受けたのが「癖」で構成されて人気を博したこの仕事。個人的に興味深かったのが審査会の議論です。「癖」が前に出ていて、商品シズルが後退していないか。なんなら「伊右衛門」が無い方がいいのでは。といった広告的常識の論点からの視点がありました。この時にふと思ったのがサントリーのペンギンです(厳密にはサントリーが起用)。ペンギンとビールは関係がない。が、人気になって翌年はパッケージになって売れた。とにかくIPとして人気にして里帰りして、新たなシズルを足すという手法もあるのかもしれません。
(尾上 永晃)

ACCファイナリスト

作品名
ばくモレ展
審査評

バクモレという言葉にアイデアのすべてが詰まっていました。「盛れる」と「漏れる」の両面性。タイトルが強い企画は、強い。その事実を鮮やかに示した仕事でした。
(細田 高広)

ACCファイナリスト

作品名
Project: MEMORY CARD
審査評

現代広告におけるクラフト力の映像美の頂点のひとつ。募集した「記憶を消してもう一度やりたいゲームのエピソード」を原作とする企画も秀逸なだけに、物語との関係性をもっと知りたかったという意見が根強く残念。
(菅野 薫)

ACCファイナリスト

作品名
COCHO COCHO
審査評

切り抜き動画がよく回ってくるのですが、ひと目でCOCHO COCHOの切り抜きだとわかり安心して視聴できます。
玉石混交の動画コンテンツの中で、品よく目立つ表現が計算し尽くされていて、とても学びの多い企画でした。
(片岡 良子)

デジタル・ソーシャルクラフト(Cカテゴリー)

総務大臣賞/ACCグランプリ

作品名
IOWN×Perfume
審査評

一見すると、テクノロジーによるライブ体験の再現と思われるかもしれないが、本質は違う。1→1の再現ではなく、0→1の発明。音楽体験における距離の革新だと感じた。言わば、相撲の「砂かぶり席」的発明。視覚、聴覚だけではなく、アーティストの存在感や躍動感までも体験することができる。私は、現場で体験できていないが、「見る」と「居る」この感覚は全く異質なもののはず。そして何より素晴らしいのは、NTTという距離を繋ぎ続けてきたブランドが、今の時代に、今の技術で、新しい距離を繋いでいること。
(荒井 信洋)

最先端技術IOWNを通じ、“そこにPerfumeがいる”という新しいライブ体験を視覚・聴覚・振動を融合することで実現。足音まで感じられるような細やかなクラフトが没入感へつながり、難解なテクノロジーをアーティストを通して心に届く体験に昇華した。熱量を最大化した、非常に豊かな深みを持ったまさに「ブランデッド」な仕事であると感じた。
(小暮 菜月)

想像のはるか先からやってきた、大発明だと感じました。圧倒的な技術の精度と構築の美しさはもちろん、Perfumeの足音や距離感を通して“そこにいる”と感じられるリアリティ。その瞬間を想像するだけで心が躍ります。私は未体験ですが、それでもこの企画のすごさがありありと伝わってくる。難解な技術を、誰もが直感で理解できる感覚にまで落とし込んでいることが本当にすばらしく、驚きとワクワクがしばらく消えませんでした。テクノロジーと表現の未来を感じます。
(佐野 貴子)

パフォーマーの立体映像、パフォーマンスで発生する振動再現など、視覚・触覚を統合した体験によって、“Perfumeがそこにいる”を追求した究極のデジタルライブ体験。その体験の高度なクラフト性に加え、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに掲げた大阪万博という舞台で、通信・コミュニケーションの進化を担ってきたNTTが、過去・現在・未来をつなぐ “距離や時間を超えたコミュニケーション” の可能性にチャレンジしたこと自体が、ブランドの姿勢を象徴している。「誰が、どこで、何をする」まで一貫して“ブランデッド・コミュニケーション”として成立しており、本部門においてグランプリにふさわしい業務。
(畑中 翔太)

NTTというブランド、IOWNというデジタル技術、Perfumeというアーティスト。それらが有機的に結びつきながら、相互にブランド価値を高める空間体験に昇華されている。言語化の難しい体験の多い万博パビリオンの中で、「そこにPerfumeがいるような体験」というナラティブに変換でき、体験人数以上に広がっているという意味でソーシャル的にも優れている。万博にとどまらず、音楽業界全体に広まり音楽体験の未来の一助となること、コールドスリープするPerfumeにまたこの技術で出会える日が来ることを期待したい。
(龍崎 翔子)

ACC ゴールド

作品名
PLAY NUTRITION
審査評

ゲームをしているようで、実はずっと商品を見つめている状態になっているのが素晴らしい。そして、ゲームとしての難易度や「やり込み要素」がしっかりと備わっていれば、いくら広告的に商品が真ん中にあっても、ちゃんと実況者たちがオーガニックでプレイしてくれて拡がる、ということが実証された施策だった。「ここまでのことをしてゲームにbetする」というブランドの姿勢も伝わってくる。缶が床を転がっていく移動は、ブランドとしてのハードルもありそうなところを、クライアントの懐も感じる。とてもチャーミング。
(市川 晴華)

ゲームプラットフォームで、ここまで商品、ブランドメッセージを真ん中に置きながらも、オーガニックに遊ばれる完成度の高いゲームを開発されたことに感動しました。巧みなディテール設計が、遊んでもらえる、かつストリーマーを通じて拡散していくリザルトにつながっていると感じました。ゲームの開発はアイディアこそ出ても、実際にローンチするには時間も体力もかかり、ゲームに対する愛と理解が深くなければできないことだと思います。チームの皆様がワンチームとなってブランドとゲームに対する情熱と愛情を注いだ結果だと思います。
(太田 郁子)

ブランドで「ゲームを作る」という儚く散りがちなアイデアをこれ以上ない高レベルで体現し切っている。缶への魅力づくりや操作感・ストーリーなど、楽しむための「深さ」のクラフトと、実況者を巻き込み拡散させる「広さ」のクラフトが見事に両立していた。広告×ゲームの領域としてひとつの完成に辿り着いたと同時に、次のアップデートをしなければならないという静かなプレッシャーを感じるものだった。
(小暮 菜月)

ACC シルバー

作品名
屋台DXプロジェクト
審査評

デジタルクラフトとは最先端であればいい、というわけではありません。「枯れた技術の水平思考」によりユーザーにとって心地よい接点を作ることもまたクラフトだと思います。店員さんを巻き込んだ施策で、結果面倒だからやってないというケースが散見されますが、この事例の「電球にスイッチを入れたら開店と認識」は負担がまったくない手法の発見です。ポットでお湯を沸かすと生存確認ができるというサービスがありましたが、ああいった日常の行動に一つ意味を足す手法はまだまだ可能性がありそうです。店舗について聞けるAIも便利。
(尾上 永晃)

ACC シルバー

作品名
伊右衛門の車窓にて
審査評

広告クリエイティブ産業の発展のカギの一つは「オリジナルアニメの技術」だと勝手に思っているフシがあり、その理由は「TL上で感覚的に心を掴みやすい」とか「世界に広がって逆輸入する可能性がある」とか「30分アニメより30秒アニメの方が秒数あたりのコストをかけられる」とか、色々あるのですが、この企画にはそういった可能性を見せてもらった気がします。広告でアニメとなると、既存IPを持ってくるというのがほとんどですが、このような「企み」と「技術」のあるアニメ企画が増えると良いなと思ってます。
(花田 礼)

ACC シルバー

作品名
シグネチャーパビリオン 「いのちの未来」
審査評

万博のパビリオンには未来の技術やビジョンを紹介する形式が多い中で、「いのちの未来」は来場者の心を強く揺さぶる体験になっていました。来場者から「泣ける」という声が多く聞かれるように、圧倒的に心に残る問いかけに導かれていくのが本当にすごいなと感じます。テクノロジーの披露にとどまらず、「いのち」という普遍的なテーマを物語に入り込むような体験として立ち上げることで、自分自身の存在や大切なものに立ち返るきっかけをくれる。その姿勢に胸の奥がじんわりしました。
(あさぎーにょ)

ACC ブロンズ

作品名
音でみるレシピ SOUNDFUL RECIPE
審査評

ビジュアル偏重になりやすいクラフト部門のなかで、サウンドを切り口とした、必要な人にちょうどいい粒度のクリエイティブ。決して最先端の技術が使われているわけではないが、「良いクラフトとは考えられていないことがないことである」と捉えると、SOUNDFUL RECIPEは利用する人にとって適切に選び抜かれた簡素さで、音のサインを通じて料理の技術を再構築した知恵と工夫の集合体であると言える。今まで見落とされていたところに、ゼロイチで新たな価値を生み出し、次の人の創意工夫を誘発しているところにこの作品の真のクラフトがある。
(龍崎 翔子)

ACC ブロンズ

作品名
バーチャルポテト
審査評

キャンペーンに起用したバーチャルアイドルのために、バーチャル上でも食べられるポテトを開発するという真正面のアプローチ。しかも、商品ど真ん中。表現やテクノロジーがブランドを置き去りにしていない、文句なしのブランデッド・コミュニケーションだと思いました。実際の映像を見ると、ポテトが指から離れてしまっていますが、サクサクという音や一本ずつ次々と口に運ぶ所作など、マクドナルドのポテトらしい食シズルが追求されており、バーチャル上でも美味しく見える表現へのこだわりも感じます。
(片岡 良子)

ACC ブロンズ

作品名
MILIMILI-BEAT!
審査評

縦に2画面分割された異なる映像が、それぞれの論理で力を合わせて視聴維持率を担保する動画を、とりわけTikTokでよくみる。例えば、人気TV番組の違法アップロード動画の下画面に、なぜか見入ってしまう粘土細工の動画がくっ付いているようなものが、よく流れてくる。この手のフォーマットの発明はとにかく人間の眼球をスマホ画面に滞留させておくことに特化した技術としてよく考えるなと感心するのだが、本作にはそうした技術の応用を感じるのだった。たとえイリーガルなフィールドでうまれた技術だとしても(本作がそこをベースにしたクリエイティブではないのは重々承知だが、時代的な連関性は感じる)、コミュニケーション設計の参照になることの好例としてみた。
(TaiTan)

ACCファイナリスト

作品名
Project: MEMORY CARD
審査評

フィルム部門の審査もしていましたが、ちょっと過小評価され過ぎているように感じます。デジタル・SNSを中心に若者を沸かす、世界に通用するものを作る、という意味では最高峰のコミュニケーションだと僕は思います。
(花田 礼)

ACCファイナリスト

作品名
VISIONGRAM
審査評

視覚障害といっても見え方には多様性があること。そして一人ひとりがどう見えているかを知ることで、人と人との心のつながりが強まる点がよかったです。検査結果を入力するだけという簡易性も評価されました。
(太田 郁子)