2023 63rd ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS

Branded
Communication

〈 ブランデッド・コミュニケーション部門
審査評 〉

デジタル・エクスペリエンス(Aカテゴリー)

総務大臣賞/ACCグランプリ

作品名
サントリー 天然水 / ENDLESS DAWN そしてまた、朝が来る。
審査評

「北アルプスってこんなに険しくてすごい山なんだ。」まずその迫力に圧倒されました。そして、あまりに体験として仕上がりすぎていたので、もはやそこにテクノロジーを感じておらず、テクノロジー弱者の私は、これはデジタルエクスペリエンスなのか?と悩んだほどでした。冷静に何度も見るうちに、商品サイトという生活者がなかなか興味を持ちづらい場所でこんな形で商品を説明する、そのスタンスがかっこいいなと思いました。テクノロジーの理解度に関係なく、圧倒的な体験ができる。素晴らしいデジタルエクスペリエンスだと思います。
(有元 沙矢香)

最初に企画の概要を読んだ時点では、オウンドメディアの充実がどこまで外に届くだろうと考えてしまいましたが、サイトを実際に拝見して、ブランドを伝えるための受け皿として、このとんでもないスケール感は、確実に言葉以上の役割を果たすだろうと思いました。「大自然」というとても根源的なテーマで、まだ見たことないものが作れるなんて。「感動するWEBサイト」として、これ以上のものが今後生まれるだろうか、という意味で、圧倒的なグランプリだと感じました。
(市川 晴華)

圧倒的な清涼感、そして鳥になって飛んでいるかのような疑似体験。まさにテクノロジーを駆使した、デジタル・エクスペリエンスカテゴリーのグランプリにふさわしいのではないでしょうか。サントリーさんのウェブサイトであるはずなのに、映画館の中にいるような没入感の中で自然の美しさを感じることができます。ナレーターさんの選定も秀逸で、非日常を感じさせてくれる語り口にほっとします。北アルプスの山々を空撮で1万枚以上の高精細な写真で撮影し、画像解析の後、3Dモデルを生成したという制作側の「果てしなき美」への追及に拍手を送りたいです。
(木嵜 綾奈)

テクノロジーの力で大自然を表現しようとしたって、リアルな自然には一生勝てない。土を踏み締める感覚や、もうこのまま街には帰れないんじゃないかと迫る恐怖心、季節の変わり目の木々の匂いの変化、そこに辿り着くまでの時間の経過。そんなものがまるっと全部すっ飛ばされてしまうんですから!と、思っていたんですが、これは違いました。この世界で私たちは鳥になり、水になれる。知っていたはずの山々の、確かに実在するが人が入り込むことのできない表情を、誰しもに開いてしまうんです。これを見たとき涙腺がきゅんと締め付けられて、巡る山々がもっと愛しくなりました。
(木本 梨絵)

見た瞬間、0.1秒で脊髄に突き刺さるような「迫力」を纏った作品に出会うことが稀にあるけれど、このインタラクティブコンテンツは、まさにその1つだった。何かブランド活動をするときには「費用対効果はあるのか?」「どれほどの人に見られるのか?」といった合理の壁がつきまとうけれど、時につくり手は、その評価軸では測れない強烈な体験を作らないといけない時がある。「迫力」を纏ったこのコンテンツは、そういう強さを持っているし、だからこそ、触れた人々と本当の意味で深く繋がれる力を持つのだろうなと感じた。
(栗林 和明)

デジタルの技術でアナログの質感をそのまま模倣しても、アナログの情報量を超える体験に成り得ることない。そのような議論が度々上がっていた。そんなデジタルとアナログの壁の中、颯爽と、あたかも元から存在していたかのような定着力で出力した作品だと思った。3Dスキャンだからこそ見ることができる鳥目線の自然の美しさと動き、実写では得られない”物質”として存在するリアリティ、その体験を持って語られる天然水の成り立ちの説得力。実写の山肌よりも深く濃密な体験を、デジタルで昇華させた最高のブランドコミュニケーションだと感じた。
(小暮 菜月)

パッと一眼見ただけで、ただごとじゃないとわかるサイトだと思う。右脳的に気持ちよく、ずっと見ていたくなる。水の説明をするためにここまでやる、というこのサイトの存在自体が、「水と生きる」と謳うサントリーという企業の姿勢を語るものになっていてど真ん中のパワフルなブランディングだと感じた。ショートストーリーや倍速視聴などどんどん手軽なコンテンツに向かっていく世の中でこういう深さのあるブランド活動がもっと広がってほしいと素直に思った。
(小島 翔太)

圧倒的なクラフト力。凄すぎて意味がわからないレベルのアウトプット。すべてがわかりやすく、広がりやすく、経済合理性を求めて作られる時代だからこそ、こういう「理屈を超えた超絶ワーク」の方が目立ち、かつ世の中からも必要とされるのかもしれない。
(嶋野 裕介)

パソコンの前にいることを忘れ、空を飛んでいるかのような没入感、一本の映画を見たような読後感。一度見たら忘れられないブランドの深い世界観を体験させていただきました。
これまで天然水が発信してきたメッセージとも親和性が高く、受け手の中にもその蓄積があるからこそ、この壮大なストーリーに説得力があり、絆をより強固なものにする作用が働いていると思います。このようなハイコンテキストなコンテンツは、一般の方々にとってはハードルが高く広がりにくいという側面もあるのですが、それでもこのコンテンツを創る意義を感じられました。
(武市 美穂)

webサイトなのに、映画のような重厚な読後感。もしもそのまま、「映画体験をwebサイトで実現する」という企画だったのなら、まさに気宇壮大です。演出アイデアの詰め込み方もすごく、細かな動きとマウススクロールを同期するだけでここまで没入感が出せるものかと感動しました。果たしてどんなオリエンだったのか。予算と効果についてどうバランスしたのか。自分には絶対に真似のできない予感がある、だからこそグランプリにふさわしい圧倒的な施策です。
(多々良 樹)

様々な3D制作プラットフォームによって、バーチャル空間上に構築された「北アルプス」を自由に飛び回るようなデジタル体験は、まるで一本の映画を観ているようなシネマティック体験。そしてその体験を通じて感じる、「水と生きる」というサントリーの圧倒的な想いとメッセージ。ソーシャルでの拡散を叫ばれる昨今のマーケティングコミュニケーションにおいて、このウェブサイトを制作すること自体が、サントリーの凛としたブランド姿勢にも感じられるような、本カテゴリーにおけるグランプリにふさわしいブランデッドコミュニケーション。
(畑中 翔太)

『デジタル』の『エクスペリエンス』というこの部門の定義を再確認し、再定義させられるような仕事。売り上げはでたの?とかニュースになったの?みたいな、ぼくが普段は気にしている問いを置き去りにしても許されてしまうような、テクノロジーと熱狂が同居する仕事。今後しばらくは、『デジタルエクスペリエンスってどういうこと?』と聞かれたら『サントリーのあれみたいなこと』と言われることになるだろう。そして、そんなぼくの予想を軽々と超えていくようなことが起きるのも、この部門の特徴なんだけど。
(三浦 崇宏)

想像すると震えてしまうような果てしなく根気のいる作業。そこに挑まんとする覚悟や気概が山々から溢れ出ているかのようなダイナミックさと繊細さを併せ持った素晴らしい作品だと思いました。企業・ブランドとしての強い意志や揺るがない自信が、大自然と一体化して我々を深く包み込んで、その迫力と美しさでメッセージが自然と心に染み込んでくるような、これまでにないブランド体験の形を見せていただきました。制作に関わったすべての皆様、グランプリおめでとうございました!
(村上 絵美)

水という差別化しづらく、安いイメージを持つカテゴリをここまでの高級感とクオリティーを作り上げたことに感服です。クリエイティビティーの力で確実に商品の価値を高めたと思います。
(李 心寧)

ACC ゴールド

作品名
ゴキブリ目線ゲーム アース製薬からの脱走
審査評

1.「あなたはゴキブリですか(はい・いいえ)」は、ポップアップ史に残る面白さ。
2.現実のゴキブリもこう潜んでいる、という一歩間違えれば不快になりうる訴求を、絶妙なトンマナコントロールで完全にエンタメに昇華できている。
3.「クライアントが悪者」という設定のインパクト。「設定や主人公を変えることで、この先もまだまだ新しい企画は生まれる」と思えた。
以上の3つの点で、大好きです。
(市川 晴華)

シンプルに強い…!!かつて蚊になりきる名作プレステゲームがあり、それに似てるのかどうかみたいな議論は当然あったけれど、「G視点体験」というずらし方は、新しい体験に拡張していると言えるのではないか、という意見につながった。
それくらい、プレイ時にはこれまで感じたことのないゾッとする感覚があった。それだけでなく、ウェブサイトに訪れたときの入り口の設計や、商品の紹介の仕方に工夫が凝らされている部分など、隅々までエンタメ精神が溢れていたことにも、たくさんの学びがあった。
(栗林 和明)

「あなたはゴキブリですか?」というこれまで聞いたことのない面白すぎるパンチラインから始まるゲーム。
ゴキブリの目線になって迫り来るアース製薬の人間たちから逃げるという、いらなすぎる設定の中でそれぞれのアース製品の強力なUSPを余すところなく伝えるという、突飛なように見えてとても優れた販促キャンペーンだと感じた。
クライアントと企画者がノリノリで話しながらこのゲーム内容を決めている様子が想像できる。
(小島 翔太)

今年のアースさんはすごい!という印象の残った審査でした。もう1つの「ゴキブリ目線のインスタ」もよかったですが、こちらはより一層商品訴求に近く、アース製品の魅力が伝わる内容。いま流行の脱出ゲームの逆コンセプトであり、ホラーゲームの要素も含まれている内容で、企画者の設計力の高さにも感心しました。
(嶋野 裕介)

ACC シルバー

作品名
おしゃべりひろゆきメーカー
審査評

「クラフト力という言葉の意味が、”質”のディレクションから”距離”のディレクションへ変化している」ある審査委員が議論中に発言した言葉だ。この施策がAカテゴリーで評価されていること、まさにそれが本発言を裏付けていると思う。本施策のあらゆる領域でのクラフト力は、コミュニケーションの距離の取り方において完璧だ。サイトデザインがこれ以上整理されてしまったら、リリース投稿文の文字数が増えてしまったら、勿論、ひろゆきさんを起用しなかったら。このような凄まじい結果は様々に織り混ざったクラフト力によって結びつくのだと感じた。
(小暮 菜月)

ACC ブロンズ

作品名
ProPILOT MOP
審査評

自動運転の良さをわかりやすく伝えるデモンストレーションだと思います。同時に、面白さと驚きがあって、現場で体験した人たちとSNSで見た人たち両方楽しめる良いエンターテインメントコンテンツでした。
(李 心寧)

ACC ブロンズ

作品名
Voice Watch
審査評

健常者では見つけにくい需要に着目し、真摯にエグゼキューションと向き合われているプロジェクトだと思います。一方でこの技術が本当に必要とされるのは実況中継がつかないような小規模なスポーツシーン。子供の運動会が良い例だと思いますが、そういったシーンで定常的にこの技術が活用されるにはまだまだハードルがあるようにも見受けられ、試験的な取り組みを今の段階でどこまで評価すべきか?という議論にもなりました。とても良い取り組みだからこそ、このままより多くの方が利用できる未来に向けて進んでいってほしいと思います。
(武市 美穂)

ACC ブロンズ

作品名
Honda Rewired
審査評

Hondaのパワープロダクツは、人によって商品関与に開きが大きく、若い層になかなか身近に感じてもらいにくい課題がある中でメタバースとゲームという非常に相性の良いメディアと方法論を見つめたという鮮やかなアイディアで納得性が高く非常に評価の高い仕事でした。応募ビデオで「オンラインゲームやメタバースの世界では課金ばかりで搾取ばっかりだったので、搾取から共創に展開するアイディアを実施した」と説明されていましたが、本当にそれがこの施策でクライアントから求められていたことで、本当に社会に対して実現したことなのかは疑問が残りました。
(菅野 薫)

ACCファイナリスト

作品名
MY JAPAN RAILWAY
審査評

まさに「網羅性のクリエイティビティ」。スタンプをもらう体験自体はシンプルなものだが、一駅進めばまた異なるスタンプが取得でき、それが全国津々浦々で、連続的に、網羅的に起こっていくデジタルデザイン体験。
(畑中 翔太)

ACCファイナリスト

作品名
ZESPRI HEALTHY HUNT
審査評

極めて洗練されたテクノロジーで、大人気のブランデッドコンテンツであるキウイブラザーズのエンタテイメントをつくるという楽しいコミュニケーションでその表現技術が高く評価されました。
一方、応募ビデオでは、「過剰な不健康コンテンツと、過剰な健康コンテンツに溢れているので若者たちの健康が危ないからこの施策を行なった」と説明されていましたが、24時間、30日間連続で実施されたリアルタイムコミュニケーションで、本当に解決したかった課題はそれだったのか、そしてそれは解決されたのか、疑問が残りました。
(菅野 薫)

ACCファイナリスト

作品名
ストロングファイター
審査評

商品ラベルのゲームが、「ストII」とブランドの世界観がうまくマッチしつつ誰でも簡単に遊べる作りでファン以外でも楽しめるものになっていたのと、一貫してブランドとIPの立脚が鮮やかでエンタメ性の高い作品でした。
(村上 絵美)

ACCファイナリスト

作品名
MIDNIGHT GRAND MOS BURGER
審査評

誰かの人気をただ利用する施策が増えてきた中、カルチャーを応援する気持ちがこもった気持ちのいい企画でした。星街さんでなくミドグラに注目する視点、VR店舗の振り切り。まさにモスバーガーの丁寧な調理に似た、丁寧な施策だと思っています。
(多々良 樹)

ACCファイナリスト

作品名
スパークリングパーク
審査評

デジタルエクスペリエンスとして出品されているのが最高です。結局メタバース作ってないじゃないかという声もありましたが、私含めおそらく世の中大半に寄り添ったチャーミングな企画だと声を大にして言いたいです。
(有元 沙矢香)

プロモーション/アクティベーション(Bカテゴリー)

総務大臣賞/ACCグランプリ

作品名
TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇
審査評

「TAROMAN」が展覧会のプロモーションだと知ったのはずいぶんと後でした。そのくらい、プロモーションがプロモーションの域を超えて自走していた。ちゃんと展覧会の来客増員につながっていて、これはやばい仕事だなと感心するばかりでした。議論のひとつに、亡くなった方のIPの扱い方があり、そこは悩みました。けれど小さい頃から家の近くにあった太陽の塔。不気味だけれど惹かれてしまう狂気。それがTAROMANにもあって、今の子どもたちの入り口となり、岡本太郎の新たなファンが生まれていることは確かだと思います。
(有元 沙矢香)

「岡本太郎の展示会のプロモーション」というお題で、こんな企画は到底思いつかない。広告コミュニケーションの枠組みを超えて、IPコンテンツにまでなり、子供から大人までが熱狂し、ファンが生まれている。「広告が発展して、こうなったらいいな」の大きな夢をみせてくれた企画。
(市川 晴華)

日本が生んだ天才芸術家、岡本太郎。亡くなった後にも数々の作品が生まれていますが、NHKが本気を出して制作した作品だと思います。結果として多くの話題を呼び、大人から子供までが展覧会に来場したことが、成功を裏付けるものに。奇妙で奇天烈、斬新な作品だっただけではなく、岡本太郎のレガシーを後世にも伝えることのできる、秀逸な施策だったと思います。TAROMANというキャラクターに対するファンがつき、共感を得たというのも、映像の力でありPRが成功した秘訣だったと感じています。
(木嵜 綾奈)

「自分の歌を歌えばいいんだよ」、そうか。打ちのめされる奇獣たちをクスッと見ているうちに、うっかり数々の「ことば」が自分にも鋭くつき刺さり、打ちのめされていることに気がつきます。ことばは心を動かす魔法であり、自分を貫く武器である。特撮という懐かしいフォーマットを既存の作品やことばの再解釈であたらしく組みあげながら、今まで届かなかったところにまで「ことば」を届ける。この活劇は、爽快なでたらめ群を見せられた末のうれしい驚きに溢れています。
(木本 梨絵)

番組であり広告でもあるこの作品は、案の定議論が大白熱した。
ただ、大多数の審査委員がこの施策に感服せざるを得なかった理由が、施策の目的である「展覧会来場者人数」を増やすことに大成功していることだった。その要因は数あれど、個人的には、ちゃんと番組内でTAROMANというキャラIPを確立させたことにあると思う。一つキャラが立てば、そこから無数の施策に展開できるチャンスが生まれる。
狙ってキャラを確立するには、想像を絶する熱量が必要になるけれど、この活劇はそれを達成した点で、見事に時代を象徴する”広告”になった。
(栗林 和明)

岡本太郎の展覧会のプロモーション。このお題が来た時、ここまで突き抜けることができるだろうか。”再現性”というワードが本議論にて何度か飛び交ったほど、本施策はひとつのコンテンツとして完成しすぎていて、自分達が持ち帰れる要素を引き出す言葉選びが困難に感じた。それくらいの威力があった。様々な抜き出し方はあれど、私が一番心を動かされたのは特撮や擬人化などの日本文化の質感と、岡本太郎氏の精神性への「愛」と「リスペクト」の熱量だろう。圧倒的なクオリティでふんだんに出力した数々の映像やグッズにただ圧倒された。
(小暮 菜月)

初めてSNSで見た時「面白い!けどなんじゃこれは!」と思ったが、審査会としてみた時も全く同じ感想だった。
藤井さん個人の強烈なクリエイティビティと岡本太郎のクリエイティビティが共鳴した結果として子供たちをはじめ、多くの人たちが熱狂するコンテンツを生み出していることが本当にすごいと感じる。
広告に正解はなく、課題を解決すれば何をしてもいい、というクリエイティブとしての本質を豪快に示されたような感覚で、見ていて悔しい気持ちと同時にすごく嬉しい気持ちになった。
(小島 翔太)

こんなにゆるいフォルムとノリのコンテンツなのに、全くスキがない完璧な企画だと思いました。岡本太郎展覧会への注目度アップのために、岡本太郎さんの作品から発想したヒーロー(?)と敵キャラを生み出す。テーマ曲も各話のメッセージも岡本太郎さんの実際の発言をもとにしているという点でも、もっともオリジナルに忠実なオマージュ作品とも言えます。・・・などなど理屈こねましたが、シンプルに1つ1つがおもしろい!うちの子どもたちもいまや岡本太郎ファンです。
(嶋野 裕介)

展覧会を盛り上げる、しかも、既に多くの人に知られた歴史的に著名な人物の、という話題の新規性を獲得することのハードルが極めて高いミッションで、意表を突く角度から特別な(特殊な?)クリエイティビティ(作家性?)でやりきった極めて高度かつ特異な事例と言えるでしょう。審査の中でも、これがグランプリだと、あまりに特殊で参考にならないのでは?という懸念が出てしまうくらいでしたが、同じお題を与えられた時に自分がこんなアイディアや実装を出来るのか?その絶望だけが我々制作者を鼓舞してくれると思っています。
(菅野 薫)

日本人誰もが知るアート作品を戦隊モノIPにしてしまうという、展示会のPR施策としてはビッグすぎるアイデアに、これは広告なのか?作品なのか?どう評価すべきか悩みました。しかし、展示会の盛り上がりはもちろんのこと、子供たちがタローマンに夢中になっている状況を鑑み、目的を凌駕するほど人を動かすパワーをはらんだコミュニケーションアイデアとして、今年のグランプリに相応しいと考えました。また、日本の財産ともいえる岡本太郎氏の芸術に子供世代がふれるきっかけをつくったという意味でも、大きな役目を果たされたのではないでしょうか。
(武市 美穂)

Bカテのグランプリ選定は最も白熱しました。タローマンか、ファブルか、スラムダンクか(惜しまれながらゴールドに選ばれなかった、「ティロリミックス」こそグランプリだという説も根強かったです笑)。応募作の多いBカテのゴールドともなると、クラフトやリザルトの面では完全に伯仲していました。
多々良としては、Bカテゴリのソリューションニュートラルな側面、そしてアイデアが明確に言語化されている(=狙ってやっている)点を強く意識して、TAROMANに一票を入れました。施策の支柱である「デタラメをやってごらん」というメッセージにも励まされました!
(多々良 樹)

昨年嵐のように現れて話題をさらった「TAROMAN」。そもそもは『展覧会 岡本太郎』のプロモーション向け企画。芸術家・岡本太郎の作品や言葉をモチーフに“新たな特撮世界”を生み出す、という展覧会の販促とは思えない、圧倒的な制作者の発想とエネルギーによるコンテンツクリエイティブ。さらにコンテンツ化したTAROMANを軸としたイベント展開、グッズ化、ソフト化まで、見事なまでのトータルプロモーション。新たな世代には岡本太郎氏の印象さえ超えてしまうほどのインパクトと印象を生み出した、今年のグランプリにふさわしいブランデッドプロモーション。
(畑中 翔太)

最後までよくわからなかった。なんかすごいことはわかるんだけど。圧倒的個人技が成し遂げた超絶的な成果。この個人の熱狂に対して、一人一人の『わたし』たち=個人がどうやって向き合うのか。この評価は時代の答えではなく、時代への問いかけなんだと思う。
(三浦 崇宏)

偉大なる岡本太郎先生の芸術がこのような形で脚光を浴びる日が来るとは…。アートディレクション・映像・グッズ、何から何まで、この業界でクリエイティブに関わる者なら誰しもが憧れるであろう、感覚でつい「好き!」って言ってしまうような、とにかく素晴らしい作品でした。ただ個人的に特撮に関して少々思い入れがある私は、審査会で皆さんが引くくらいTAROMANのスーツのデザインについてあーだこーだ物申してしまったのですが…。納得のグランプリでございます!おめでとうございました!
(村上 絵美)

アーティストへの愛とリスペクト、そしてクラフトのこだわりがたくさん詰まった素敵な映像作品だと思います。最近はこのような過去のアーティストへのオマージュを込めた作品が多く、その人の作風を再現しながらも新たな突破口を開くのを肯定したいです。
(李 心寧)

ACC ゴールド

作品名
※広告規制により、サンマを持たされています。
審査評

最初に説明映像を見た時の感想は一言。「これ、アリなの?」広告規制によってなぜかサンマを持たされているというキャラクター達。このシュールな画像を見て、「ああ、日本の広告って素敵だな、楽しいな」と改めて遊ぶことの大切さに気付かされました。メディアでも広告でも表現規制は存在していますが、あえて規制を逆手にとって新たな価値に昇華したところはアッパレ!だと感じました。クスッと笑ってしまう広告は、今回このファブルだけだったかなと。メディアにいる人間としても、遊び心を忘れずに表現を変えて心を明るくしていきたいと思いました。
(木嵜 綾奈)

IPのお仕事で私も広告規制の壁に何度も阻まれてきました。その対応によっては作品性否定にもなりかねない難敵に対し、こんな戦い方があったか…と目から鱗でした。作品宣伝ならではのキャラクターのおいしい活かし方とただ消したり隠したりではない斬新なアイデアで敵に圧勝し、結果ファンのみならず多くの人の心も動かした、IP vs規制の希望の光となる素晴らしい作品だと思いました。今後は私も武器や女性キャラの露出部をただ隠すのではなくアイデアで真っ向勝負してやるぞという勇気をいただけました。ありがとうございました!
(村上 絵美)

サンマのチョイスに脱帽です!原作のファンが喜ぶアレンジでありながら、原作を全く知らない人たちでも楽しめるコンテンツではないかと思います。原作を読みたくなりました。
(李 心寧)

ACC ゴールド

作品名
映画『THE FIRST SLAM DUNK』宣伝コミュニケーション
審査評

そもそもファンの多い待望の映画、という前提がある。でも、その前提を逆手にとって計算され尽くした「隠す情報設計」がとてもお見事。「ただ言わない」のではなく、期待感や熱狂を作り出すための引き算が絶妙な”情報の小出し芸”は、この作品のまつわる世のムーブメントに確実に寄与したと思う。今の時代の「考察系ティザー」の一つの完成系だと思った。
(市川 晴華)

この時代の情報設計は「足し算」と「引き算」の駆け引きがどんどん高度になっている。発信者は、とにかく理解してもらいたい、話題になってほしいという思いが先行するあまり、どんどん足し算をしてしまいがちだけど、この施策は「引き算」の設計が卓越していた。何を出して何を出さないのか、そうすることでどんな期待値を生むのか、もしくは生まないのか。その解像度があまりにも高く、その結果、適切な期待値を設定した上で、最大の注目と観てみたいという気持ちを引き出している。これを皮切りに広告界の「引き算」の技がさらに進化を果たす予感さえする。
(栗林 和明)

『スラムダンク』という圧倒的コンテンツに仕掛けた「公開前に内容を明かさない」という前代未聞の宣伝プロモーション。しかしこれは単に「情報を出さない」ということではなく、「いかにファンの期待と熱量をコントロールするか?」という徹底した情報統制プランニングの極み。 “次のページを開くと驚きの展開が待っている”漫画のように、実際に劇場に行くことでその答え合わせができる体験は、まさにコミックから生まれた本作の本質であり、圧倒的なブランデッドコミュニケーションと言える。
(畑中 翔太)

ACC シルバー

作品名
なんと4.8秒!#短すぎるカラオケ選手権
審査評

趣味趣向が多様化し、情報接触するメディアが細かくセグメンテーションされている現代で失われつつある国民的という概念や、誰もが知っている共有体験。ブランドと紐づく共有体験の記憶があることは変え難い価値になっていると言えます。ブランドアンセムと呼ぶにはいささか仰々しく短いですが、共有体験を強固にする装置であるカラオケとの相性は抜群。結局、元・子どもの大人が買ったのか、今の子供が買ったのか、わからなかったですが、国民的お菓子の座を奪還するのに相応しいアイディアだっと思います。
(菅野 薫)

ACC シルバー

作品名
隠れ節目祝い
審査評

妊娠を期にサブスクを解約された方のお手紙がきっかけで生まれた企画。その思いやりが企画のすべてに行き届いていて、感動しました。乾杯できるように2本セットの缶が卒業証書の筒に入っていたり。卒業証書のデザインも一つひとつとても丁寧で可愛くて。さらに卒乳に絞らず「隠れ節目」という大きな概念にして、子どもがいない人、未婚の人にとっても楽しめる企画になっていたこと。本当に素晴らしいなと思いました。ただ、この素晴らしい企画がより広く届くための設計が少し足りないところだけ惜しかったです。
(有元 沙矢香)

ACC シルバー

作品名
青いマックの日
審査評

ブランドカラーが赤のマックが、1日だけ青に変わる。「それだけ」のアイデアを構成する膨大で良質な要素たち。マクドナルドだからこそできるカラーチェンジのインパクトと、それをうまく活用したデジタルコミュニケーションと店舗体験。日本というお祭り文化だからできる「御涙頂戴」文脈から「スマイル」への変化。店舗やクルーも巻き込んだ手作り溢れるイベント化…。伝えきれないくらい様々な角度へ広がる要素たちのその根幹には、子供たちの手塗りの青を活用するという細やかで太いディレクションが存在し、この1日の”空気”の軸を支えている。
(小暮 菜月)

ACC シルバー

作品名
友達がやってるカフェ/バー
審査評

とにかく世間でバズっていた印象があったのですが、自社事業のPRを目的とした施策だと知った時は驚きました。ここまで多くの人が参加し、没入し、夢中になって発信したブランデッドコンテンツは初めて見たような気がします。実際に行って体験する楽しさはもちろん、店内で見聞きするセリフやメニューの一つ一つがどこを切りとっても面白いシェアラブルコンテンツになっており、体験設計に抜かりなく、立体的につくりこまれている印象でした。広告は体験へと言われておりますが、まさに広告という概念の拡張を感じられた作品でした。
(武市 美穂)

ACC シルバー

作品名
広告を使わずPRと口コミで集客サイクルを自走させV字回復~The Breakfast Hotel~
審査評

いいサービスはそれ自体が最大のコミュニケーションになる。それを強く感じさせたアイデアでした。朝食に強みを絞り、実際のネーミングやデザインや情報発信を行う。コミュニケーション視点でビジネスデザインを再構築するお手本のような事例。わかりやすい引きがあることでメディアにも取り上げられ、口コミの結果が大きく改善することで、予約数大幅アップにもつながっている結果の出し方も見事でした。今度宿泊したいと思います。
(嶋野 裕介)

ACC ブロンズ

作品名
「ストレス買取センター」~あなたのストレス買い取ります~
審査評

コロナ禍の社会のインサイトをタイムリーに捉え、USJと消費者との接点をうまく作り出した素敵なアイデアだと思います。USJといえばブランドスローガンを刷新し、「日常で閉塞感を感じられ、USJで思い切り遊びたくなる!」という、他のテーマパークとは差別化されたイメージを順調に醸成している印象でしたが、この施策では、「ストレスを感じたら、USJへ!」というド直球なメッセージが、「ストレスと割引クーポンを引き換える」というシンプルな体験に落とし込まれており、そのミニマルな設計がわかりやすく華麗だなと思いました。
(武市 美穂)

ACC ブロンズ

作品名
ヒュー!日向 マッチング短歌
審査評

審査委員の誰かが言った『勇敢な企画』という言葉が印象に残る。短歌を詠み合わせるという、なかなかユーザーに課すハードルの高い企画だが、それをやり切ったことが、企画者としていいなと思っちゃった。ユーザーに対するハードルの高さは、ユーザーを絞る行為だが、それがブランドを守る行為でもあるのだ。
(三浦 崇宏)

ACC ブロンズ

作品名
ITOCHU SDGs STUDIO KIDS PARK+こどもの視展
審査評

緻密に設計された体験を通じて、こどもの視点を忘れた大人たちが幼少期の記憶を思い出し、多様なニーズを許容することを学ぶことができ、こどもへの接し方を見直すことができる、非常に有意義な展覧会だと思います。
(李 心寧)

ACC ブロンズ

作品名
己の道を踏んでゆけ。 呂布カルマ DUNLOP REFINED 公認大使就任
審査評

「1万円の赤スパチャ」をメディアとして使ったところが最高。「ご本人が出たいと言っていて起用」という流れに終わらず、「起用オファーの場」としてファンが集う生配信に目をつけたのもお見事だし、スパチャのテキストの言葉選びにも"文脈をわかってる感"があり、企業としての好感も持てる。まだまだ想定外のところに最適なメディアはあるのだと希望が持てた。
(市川 晴華)

ACC ブロンズ

作品名
約束のよなよなエール
審査評

成人した子と親で初めてお酒を飲む。そんな未来を夢見て、二人で見慣れた缶ビール型のタイムカプセルにちょこんと詰める。親子の未来の「約束」。その誓いを守るために、ヤッホーブルーイングは10年後、20年後もおいしいビールを作り続ける、企業と生活者との未来の「約束」。「約束」という言葉を生活者目線で軽やかに、しかし確かに存在する実感のある強固な言葉として定着させている。よなよなエールという常にビール好きに寄り添い続けたブランドだからこそできる体温の篭った、未来が楽しみになる素晴らしい施策だと思った。
(小暮 菜月)

ACC ブロンズ

作品名
ドラマティックフレーズ
審査評

個人的にはこういうの大好き。屋外広告の本質を二つ、めちゃめちゃわかりやすく表現している。ひとつは、屋外広告はコピー×場所だということ。場所が重要なんだよ。もう一つは、屋外広告は『体験』だということ。街を歩いていて、その広告に触れたことが体験として価値を持つかを考えないといけない。お手本のような屋外広告。
(三浦 崇宏)

ACC ブロンズ

作品名
ピノゲー
審査評

ピノの形をあえてがっつり見せる突飛性やゲーム内容でSNSでも度々カオスゲームとして話題になっていた。個々のゲームの面白さに加えて、今のタイムラインが流れるスピードの速いSNSに対する話題化の仕掛け方として、ピノの数に合わせて6個のゲームを作ったり、追加のアップデートを用意することで、企画がSNSで話題になったり、そもそも誰かに見つかる確率を上げているところがとても上手だと感じる。
ゲームを作ろうという企画は出ることがあるが実際にこのレベルで定着させるのはとても難しく、素晴らしい施策。
(小島 翔太)

ACC ブロンズ

作品名
JAPAN ANIME TOWN - Anime Culture Export Project
審査評

この仕事を一目見た瞬間に「夢だ!!!」と思った。夢力(ゆめりょく)が高い。夢力とは、そこに触れたあらゆる人の目をキラキラさせる力であって、こういう仕事に憧れて広告に興味を持つ人も生み出してくれそうなことが、まず純粋に、嬉しかった。
夢力を感じる最大の理由は、「アニメタウン」というコンセプトにある。「アニメ」と「街」という、日本が持つ2大シズルを掛け算し、そのシズルを空間としてワンビジュアル化したことによって、この場所は圧倒的な引力を生み出している。大胆で、技のある、素晴らしい仕事…!
(栗林 和明)

ACC ファイナリスト

作品名
北海道昆布新聞#北海道をコブしたい
審査評

新聞好きとしては発表時から注目していました。北海道新聞だからこそできるアイデアとメッセージで、企業も巻き込む試みもよいです。社会を明るく前向きにするのも、メディアの重要な役割だと感じました。
(嶋野 裕介)

ACC ファイナリスト

作品名
1・31 異彩の日 ヘラルボニー企業キャンペーン
審査評

確定申告という堅くて無機質なワードからは想像できない、ドラマチックなコミュニケーションでとても好きでした。いい話になってしまいそうな課題に対してこの伝え方を選ぶへラルボニーという会社の姿勢が見える。
(小島 翔太)

ACC ファイナリスト

作品名
整体つきキッズパーク「ホグシーランド」
審査評

子遊び疲れ、というインサイト発見が秀逸でした。一方で、疲労の解消に商品を使わないで良いのか?(本職にお願いするとオーバープロミスにならないか?)と子遊び疲労という言葉が肯定しづらいよね、といった意見もあり惜しい施策という印象になってしまいました。
(多々良 樹)

ACC ファイナリスト

作品名
BigBet 正面から大勝負!
審査評

例年、競合を巻き込むようなコミュニケーションは滅多に起こらない日本の広告市場において珍しくマクドナルドにちょっかいを出し続けるバーガーキングの楽しい新施策。巻き込むことが主題でなく新商品「BigBet」の広告である以上、商品性との接着はもっとあると盛り上がったのでは?という意見もありました。
(菅野 薫)

ACC ファイナリスト

作品名
667通のラブレター
審査評

一見、批判や意見とも捉えられるお客さまからの「問い合わせ」を視点を変え、商品への「ラブレター」と捉えることで、そのエネルギーを“ブランドへの愛”に変換させた、見事な背負い投げプロモーション。
(畑中 翔太)

ACC ファイナリスト

作品名
画のないグルメガイド
審査評

「画のないグルメガイド」とパッと聞いた時に素敵なアイディアだな、と感じました。ビジュアルによってコンセプトがすぐに理解できる上に、障害を持った方々と共にパーセプションチェンジを起こす施策として素晴らしかったと思います。
(木嵜 綾奈)

ACC ファイナリスト

作品名
醤3(ショウスリー)
審査評

個人的グランプリです。マグロブリイカを別の醤油で食べたら…?というワクワク。営業ツールとして広げる着地。素晴らしいです。一方で「飲食店に負荷がかかり結果埃をかぶるだけ」という意見も強かった。払拭するにはリザルトしかないと思います。いつか街で出会うのを楽しみにしています。
(多々良 樹)

ACC ファイナリスト

作品名
おつかれさマッチタイムリープ
審査評

これを見た時、天才か!と思いました。リツイートキャンペーンにアイデアを入れようとする情熱が素晴らしい。もう1歩、タイムリープなら過去を変えると未来が変わる仕掛けがクリエイティブの中に欲しかったです。
(有元 沙矢香)

ACC ファイナリスト

作品名
広告 Vol.413~417
審査評

広告業界に決して明るくない人間としてこれらの活動を知ったとき、本を開かずとも一字一句を読まずとも、その問いや姿勢の存在そのものに既に「なんだか、かっこいいな」と思ったことを記憶しています。強い意思表示が継続的に物体化した好例です。
(木本 梨絵)

ACC ファイナリスト

作品名
誰もが読みたくなる決算資料をつくろう!『もしも、令和ギャルがカヤックの決算説明会資料をつくったら…』
審査評

いやあ、最後まで読んじゃいましたよね。教科書とか説明書とか規約書を、彼らが作るとどうなるんでしょうか。小難しいことが総じて価値となり、情報が思わぬ遠くに飛躍していく様子は痛快です。
(木本 梨絵)

ソーシャル・インフルーエンス(Cカテゴリー)

総務大臣賞/ACCグランプリ

作品名
おしゃべりひろゆきメーカー
審査評

この部門のグランプリは、拡散からの逆算で計算し尽くされたクリエイティブVS広告面していない隙のあるクリエイティブでの接戦でした。結果、隙が作り上げた爆発力がグランプリ。ユーザーが体験したくなる、いじりたくなる欲求を刺激するには、距離感の設計がとても重要であることを改めて気付かされました。言わずもがな、ひろゆきさんという人選も最高です。SNSという場でのクラフト力を考えるいいきっかけにもなりました。CoeFontで制作された応募ビデオも終始笑っちゃいました。その遊び心も含めて、大好きです。
(有元 沙矢香)

圧倒的なAIの技術力で、とんでもなくラフなUI。簡単に試せて、スゴいことが起こる。だからこそ、まず一回やってみたくなるし、やったら人に言いたくなる。このギャップが、今の時代に社会現象を生み出す1つの作戦だと思った。
(市川 晴華)

AIとひろゆきさんを組み合わせるというアイディアが新しく斬新だっただけではなく、誰しもが使ってみたいと思わせる、スキがあり、共感を生む仕組み。ChatGPTが誕生したことでAIへの関心が高まっている中、学生起業家がこのようなクリエイティビティを発揮して、日本中のSNSを席巻したという、新たなストーリーが刻まれたのではないでしょうか。ソーシャル・インフルエンスとして、数字の面でも圧倒的な結果がでている作品だったと思います。
(木嵜 綾奈)

クリエイティブは限られた誰かのための選民的なものではなくて、誰もが生み出せるはずの可能性です。この取り組みは、そんな可能性を体現し、私たちに勇気を与えてくれるもののように感じます。アイディアと実行力で突破した先にある、意図やクリエイティブなエゴのような類のものを一切感じさせないような、気の抜けたわかりやすさが価値でした。システム自体が目新しいものではないはずなのに、それを最小限の手数でここまで世の中に広げ民主化した素直さがなんとも素敵です。
(木本 梨絵)

UGCは簡単じゃない。企画書に、UGCと書けば書くほど、狙いが透けて見え、本来思い描いたUGCは全く生まれない、ということもしばしばある。そんな中で、この施策は、令和トップクラスに成功している真のUGCのように感じた。
やったことは最小限かもしれないけど、ひろゆきさんというセレクト、そしてその起用タイミングによって、あらゆる課題を解決している。この施策は、広告というものの概念をまた一つ打ち崩し、そして敷居を下げてくれていて、業界内外のあらゆる人に、新しい選択肢と希望を与えてくれているように思う。
(栗林 和明)

ある審査委員が議論中「令和の初音ミク」と称していたが、まさにその一言に尽きると思う。この施策は、ひろゆきさんの音声データをもって「概念」としてとらまえてしまった。そしてその役は、日本のインターネットの歴史上様々な形で君臨し続けた彼でないと適さない、見事なキャスティングだ。2chやFlashの創作の時代から今、新たに創作を支える時代の存在になってしまったことは一種の感動すら覚えるし、単なる1施策ではなく、インターネット史に残る偉業であると感じた。
(小暮 菜月)

AIで声を生成して喋らせることができる、という技術の面白い使い道として、タイミングや予算の規模感などを見ても全てがここしかないという、クリエイティビティ溢れるキャスティングで、これを思いついた時点で話題になることが確定しているような素晴らしい企画だと思った。
学生ベンチャーが自社のPRのために実施した施策がトレンド1位を獲得したり、この年1番のUGCコンテンツに上り詰めている点においてもクリエイティビティの可能性を感じる。
(小島 翔太)

「それあなたの感想ですよね」と言い放って論破が繰り広げられる審査会を期待していたのですが、議論さえ起きないほど圧倒的な得点でした。このサービスの魅力を引き出すためのキャンペーンとしてはオーソドックスかもしれませんが、キャスティングでひろゆきさんを選ぶセンスが素晴らしく、これぞソーシャル・インフルーエンスカテゴリーらしい設計。有無をいわさない圧倒的なリザルト。わたしも遊んでみたのですが案の定、自分の声をフォント化してみたくなりました。
(嶋野 裕介)

AI音声という商品の機能的なベネフィットを訴求するにあたって、今の日本でこれ以上のキャスティングはないのではないかという選択と、これ以上簡単にできないというくらいシンプルなインターフェイス、「CoeFontのAI技術を使って、ひろゆきに適当な事を喋らせよう!」という絶妙な脱力感溢れるコピーが最大の評価ポイントだったと思います。AI生成とジェネレーターという組み合わせは、その進化と共に常にフェイクニュースの問題を投げかけてきました。これはそういったテクノロジーと倫理観を巡る諸問題とその議論を無力化もしくは脱力化する、課題解決ではなく社会課題先送りの楽しい施策とも言えます。
(菅野 薫)

ずるっと力の抜けてしまうような雰囲気をまとった施策ですが、低予算という逆境をアイデアで跳ね返し効果を最大化させた、素晴らしいクリエイティブだと思います。
高度なツールが一般の人にも扱えるようになった昨今では、消費者を受け手ではなく参加者/クリエイターと捉え、高品質でカッコイイマッシュアップキャンペーンが増えている印象でしたが、本施策では、極めて低い参加ハードルで多くの人をクリエイターにし、面白さという点では抜群にハイクオリティなコンテンツがどんどん生まれていく、という構造がとてもよかったと思います。
(武市 美穂)

TYC、そしてひろゆき。グランプリは伯仲していました。投票も8対8で綺麗に分かれ、喧々諤々の議論がなされました。どちらも素晴らしい施策には違いなく、TYCの見事な設計を褒め称える意見も多かったです。その上で、これがグランプリになったポイントは、「無作の作=自然なヌケ感」設計と、世代をこえた圧倒的なリザルト、コストパフォーマンスだと捉えています。今後、人の心を動かすクラフトは距離感の設計と同義になる。その議論を踏まえると、これはクリエーティビティが状況に依存しない全ての人のものであるということを強く感じさせる、つまり勇気をもらえる施策だと感じられました。
(多々良 樹)

4億文字以上の音声出力と1000万回以上の動画生成を記録した、「今年最も使われた広告」と言えるデジタルプロモーション。ソーシャル世界を超えて活動の幅を広げるひろゆき氏を、このタイミングでCoeFontを使った動画ジェネレーターとして起用する、という「When to use」×「How to use」を見事におさえた企画。「こんなことを言わせてみたい」「こんなことは言わなそう」など、ユーザーに使い方の「余白」を与えることで、クリエーションのハードルを極限にまで下げ、“徹底的な民主化”が設計された、本カテゴリーのグランプリにふさわしい企画。
(畑中 翔太)

おそらく、この部門、このカテゴリーがなければ広告業界の文脈で評価されることがなかったであろうプロジェクト。このプロジェクトにグランプリを贈賞するという意思決定は、この賞が広告業界の外に開いていくという意思決定であり、すべてのスタートアップやテクノロジストに対するラブレターでもある。こっちきて一緒に遊んでくれよ、と。ただ、ひろゆきさんをグランプリにするのは抵抗あったなぁ・・・。
(三浦 崇宏)

もうこの人以外考えられない…!人選が絶妙すぎてその時点で既に勝ちが確定していたと言っても過言ではない、文句なしの作品でした。ひろゆきさんのSNSとの相性の良さや人気は言うまでもないですが、この方のキャラクター性と商品の掛け算でここまでのものになると最初から計算できていたとしたら脱帽です。あの口調がAI音声になるとさらに小憎たらしさが増すもので、逆に何度も何度もやりたくなってしまう中毒性もあり、多くの方々に楽しまれ話題をさらったのは当然の結果だと思います。グランプリおめでとうございました!
(村上 絵美)

日本人ではないので、調べる前はこのタレントが誰なのか知りませんでしたが、シンプルで面白いソーシャルコンテンツジェネレータだと思います。後になって彼の日本での知名度の高さと、この作品との相性を知り、より感心しました。
(李 心寧)

ACC ゴールド

作品名
友達がやってるカフェ/バー
審査評

あらゆるすべての出来事が広告になるし、体験になる。広告ってそういえばなんでしたっけ?と問いたくなるような試みです。同時に飲食店ってなんでしたっけ?と問うたとき、そこには人が求めている事柄の圧倒的様々が潜んでいたりするのです。領域を越えるというのはいつだって勇気がいるものだけど、そこには当たり前を疑うどころか寛容にスルーできちゃう強さがあります。あらゆる領域がこうして溶けていった先には、どんな世界が待っているのでしょうか。
(木本 梨絵)

「ショート動画」が注目されている理由の一つが、「誰もがつくり手であり発信者になる時代」に、より近づいたからだと思う。
そんな時代を日本で最も解像度高く捉えているのがこのお店だ。お客さんの誰もが、その体験を撮影し編集する、つまりは”CM制作者”になれる環境下で、この店には、撮って編集しやすい仕掛け、体験を伝えたくなる仕掛けが無数に散りばめられている。それは、コピーの知恵、映像の知恵、飲食体験の知恵、PRの知恵を総動員しなければできないことで、「ただ映えるから撮る」の時代とは一線を画す新境地を切り拓いている。
(栗林 和明)

狙った通りに当てて、それが社会現象的にまでなっているという意味で、グランプリに匹敵する施策です。カフェ名、店員さんの演技、レジの向き・位置、メニュー、期間、店員さんの卒業、さまざまなレイヤーとタイミングでアイデアを詰め込み、XでもTikTokでも話題にしちゃうその技量!しかも自社の広告として!?仕事として頂点にあると思いました。いっぱい褒めたので最後にごくごく個人的な感想として、知らない人が友達っぽく演技する「勝手に深読み共感性羞恥」に負け、ひろゆきに一票入れてしまいました!ごめんなさい!!でもTYC、やっぱりものすごいです!
(多々良 樹)

ACC シルバー

作品名
青春ビンゴ
審査評

この施策の素晴らしいところは、どんな人でも遊べる設計になっていたこと。ビンゴが揃う人は嬉しい、揃わない人も自虐にできたり、これを理由にできなかったことをしたり、全く開けられない人も毒とともにつぶやきたくなる。その多面性があるからこそ、instagram、Tiktok、Xという属性の違う全てのSNSで拡がる企画になっていました。この3つを横断するのは並大抵なことではありません。コアアイデアはもちろん、○○編というバリエーション、1つ1つの言葉、広げ方、全てを丁寧にやり尽くした結果だと思います。
(有元 沙矢香)

ACC シルバー

作品名
ランドセル選びドキュメンタリー
審査評

映像の冒頭だけを見れば、これは非常によく見る一般的なドキュメンタリーであると思われるでしょう。しかし、物語が展開するにつれて、登場人物たちのリアルで細やかなリアクションに感動していきます。特にピンク色のランドセルを選んだ男の子とその父親とのやりとりが印象的で、コメント欄でも前向きな議論で溢れました。今の時代への素晴らしいメッセージであり、とても考えさせられる作品だと思います。
(李 心寧)

ACC シルバー

作品名
ゴキブリ目線のInstagram
審査評

拡散しないインスタのプラットフォームで耐え忍んで投稿を続け、見事に大きな拡散を生んだことにまずは賞賛を送りたい。莫大な広告費を投下しているわけではなく「写真の目線を変えるだけ」というワンアイディアで、リーチとフォロワーを爆増できるという点で、多くの方が勇気をもらったと思う。この「G目線の写真」というフレームを、(言いたかったと思うが)投稿文で一言も言わなかったことが、「自分で発見したことは言いたくなる」というSNSの人の真理を巧みについていて、X(twitter)まで運ばせたと思う。静かに、とてもすごいことをやっている。
(市川 晴華)

ACC シルバー

作品名
ティロリミックス
審査評

今年、最も悔しく、膝から崩れ落ちた作品が、このティロリミックスだった。「かっこいい」「イケている」そんな語彙しか出てこないくらい、見事なクラフトだった。
音楽マッシュアップ作品は数あれど、この作品が見事だったのは、アーティスト組み合わせの妙、センス抜群なCGルック、そしてティロリ音の活かし方だ。この3つ、どれか一つが欠けたらありきたりに見えたかもしれないが、悔しいことに、そのどれもが驚くほど高いレベルに追求されている。
背筋を正されると同時に、「広告、いよいよ楽しくなってきたな」と、燃えている。
(栗林 和明)

ACC ブロンズ

作品名
#シズル文學
審査評

五感をフル活用して体験させようとする時代において、マクドナルドの食体験を音声×文学によって表現するという「引き算」の体験価値。それだけで“体験すべきコンテンツ”になっているのは、私たちが「耳」からも慣れ親しんでいるマクドナルドならではのブランド体験だから。音声と文字で掻き立てられた妄想によって、たまにインサートされる商品画像が妙に美味しそうに感じさせるのも引き算のシズル体験によるもの。スキップされぬように嗜好を凝らす縦型世界において、華美な映像クリエイティブに頼らない一つの発明。
(畑中 翔太)

ACC ブロンズ

作品名
※広告規制により、サンマを持たされています。
審査評

IP施策はその結果が純粋にアイデアによってもたらされたものなのか判定しにくいケースもあるのですが、この施策は確実にアイデアのパワーで圧倒的な結果を残しており、審査全体を通して強い存在感を放っていました。
規制を逆手にとるアイデアは過去にも見たことがあったのですが、ここまで愛され力の高い作品に出会ったのは初めてです。広告には必然性が求められがちですが、「サンマ」というアイテムには全く必然性がなく、だからこそ抜群に面白い。広告は余白をもってこそ人の心を掴めるものだな、と改めて気付かされる作品でした。
(武市 美穂)

ACC ブロンズ

作品名
箱ごと愛してくれてありがとう
審査評

「箱ごと愛してくれて、ありがとう。」金属バットさんによる「日清のどん兵衛箱盗難事件」を、企業が一緒に作り上げた感動のSNSストーリー。M-1という日本最大のお笑いイベントにおける2次展開で、このような”泣ける”事例はあまりなかったのではないでしょうか。金属バットさんに対する日清食品さんからのSNSメッセージは、泣けるの一言。そして応援し続ける姿勢は、我々の青春を蘇らせてくれるように、胸を熱くさせてくれました。
(木嵜 綾奈)

ACC ブロンズ

作品名
FIFAワールドカップカタール2022
審査評

私事ですがW杯2022開催時の我が家ではTV観戦する私の目前にABEMA(スマホ)と同時にTVを観るサッカー好きの夫の姿が。まさにABEMAが目指す「新しい未来のTV」vs「TV」の戦いがそこに。審査では日本の勝利や本田圭佑さんの解説が成功の要因では?との意見も出ましたが、共に解説で盛り上げた寺川さんの起用など含めTVとは別のエンタメ性を狙った様々な工夫があってこその結果だと感じました。TVとABEMA、ここに勝ち負けはなかったと思いますが、スポーツ好き向けのABEMAからみんなのABEMAへイメージシフトがはかれた素晴らしい取り組みだったと思います。
(村上 絵美)

ACC ファイナリスト

作品名
OUR MOMENTS
審査評

様々な制限があるスポーツビジネスにおいて、映像コンテンツの展開と拡張は最大の課題点だ。この施策はその課題に真っ向勝負に挑んだ。業界にとって素晴らしい一歩で、今後この一歩によってよりスポーツ業界が盛り上がることを願っている。
(小暮 菜月)

ACC ファイナリスト

作品名
入学から、この世界だった僕たちへ。
審査評

広告は目的芸術だと古川裕也は言った。同時に、広告は瞬間芸術でもある。あの時代、あの瞬間にしかできない作り方で生まれた、あの時代、あの瞬間にしか生まれない映像。その意味で極めて広告らしい広告。
(三浦 崇宏)

ACC ファイナリスト

作品名
股間カップ2022
審査評

股間のかゆみに塗る薬であるデリケアエムズが、もっとも時代性を捉えた股間について関与が高まるタイミングとして選んだのがe-sportsの現場。ぐうの音も出ない正論とくだらなさの同居が最大の魅力でした。股間をテーマにしたミニゲームまで制作する必要があったのか不明ですが、それくらい一生懸命にくだらなくないと届かないのも事実。審査委員みんな失笑で高い評価していました。
(菅野 薫)

ACC ファイナリスト

作品名
STREET FIGHTER 6
審査評

2023年を代表するバズコンテンツは間違いなくこの仕事。霊長類最強の吉田沙保里さんの使い方が120点で、これを超えるものはもう出ないでしょうか。立ちパネルとの戦いも全部最高で、個人的にはナンバーワンでした。
(嶋野 裕介)

ACC ファイナリスト

作品名
U.F.O.剣持ポスターコンテスト
審査評

飛ばした面白ギャグ系企画だが、Vtuberの選定、公式のお手本画像のクオリティ、Vtuber剣持刀也本人との動画施策、その後の日本全国の駅広告掲載まで濃い面白さのまま余すところなく統合している。
(小島 翔太)