総務大臣賞/ACCグランプリ
- 作品名
- TV アニメ放送完結記念『進撃の巨人』ワールドワイド・アフターパーティー
- 審査評
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大人気TVアニメ『進撃の巨人』の最終回。放送後には「#進撃ロス」がトレンド入りしそうな中、世界中のファンが集い、制作陣とともに作品愛にどっぷり浸れる場を提供することで、切ない終焉を祝いの宴に変えた取り組みです。
ファンも作品を盛り上げてきた仲間だと感じられる「アフターパーティー」というテーマ設定。ブラウザベースで参加できる敷居の低さや、異なる言語間でも交流できるアクションコマンド。ライブ配信から探索ゲームまで、多様なコンテンツも細やかに作り込み体験を充実させ、ファンイベントの新しい形を提示した点が、グランプリにふさわしいと感じました。
(木下 舞耶)「メタバース」という、まだまだ模索されているコンテンツの中で、一つの大正解に辿り着いたプロジェクトだと感じます。
ありそうでなかった打ち上げという体験。
かゆいところに手が届く細やかなUIや、新しい収益ポイントの発明など、パッと見ただけでは気付きづらい場所に、たくさんの創意工夫が詰まっていました。
みんなが見過ごしがちなテクノロジーを、一周回って実用的な使い方として定着させる事例は、今後様々な仕事のありがたいリファレンスになり続けていくのだろうなと想像します。
(栗林 和明)コロナ禍が、絶望的な恐怖と大きな悲しみとともに世界に及ぼしたものは、消えない大きな傷跡と、不可逆な習慣と常識の塗り替えだろう。我々の日常の中でもこの時期に一気に普及したリモートの文化は残り香と呼ぶにはあまりにはっきり残った。物理的に会わない祝祭の場としてのメタバースも一気に普及したが、会えるようになってなお、現実の代替ではないその価値を見出すという難題の壁を軽々と超えて、疑問なく当たり前のように定着させたプロジェクトとしてこの仕事は特筆すべきだ。新しい常識を証明するのもアイディアと実行力の力だ。
(菅野 薫)VR施策はとにかく難しい。世の中のイメージと現実が擦り合わない。
技術的ブレークスルーがまだである以上、SF的に誇張された体験ではない、現実に即した新しいやり方を発明する必要があります。が、それは新しい物語を見つけることに近い壮大な挑戦です。
「よかった!」と言い合い、「お疲れ様!」と伝えるためだけに消費したい。
欲求を装飾せず、ユーザーとの接地を突き詰めた結果VRに行き着いていることが新しかった。フィクション、架空の打ち上げ、仮想空間。虚構の力=人類の無限の可能性を感じてグッとくる施策でした。
(多々良 樹)世界中の視聴者をプロジェクト関係者の一員と読み替え、完結パーティーに招待する、というアイディアにこの企画の本質がある。メタバースというテクノロジーはあくまでそれらを補完し実現させるための手段に過ぎないという、潔さに好感を抱いた。コロナ禍の中で、メタバースイベント自体は広く行われ、擦られ感すら漂っている中で、『進撃の巨人』というグローバルIPと組み合わさることによってその敷居が下がり、メタバース技術を民主化に導いている。また、テクノロジーによってマネタイズポイントのシームレスな設計が叶うことで、事業性を担保できているのも秀逸。
(龍崎 翔子)