
須田審査委員長 審査講評
ACC賞インタラクティブ部門、4年目。須田が審査委員長を拝命して2回目の今年、掲げたテーマは「ソレって広告なの?」→「コレこそ広告でしょ!(21世紀のね)」だった。去年の問いをさらに進めて、まだ見ぬ「新しい広告のカタチ」を見つけたいと思った。「広告とは何か?それは、この先、どういうカタチになっていくのか?」ずっとそれが気になっている。
広告産業は明らかに過去50年とは違うものになりつつある。かつて「インターネット広告」と呼ばれたものの土台が、コミュニケーション全体のインフラとなった結果、人々の「当たり前の行動」が大きく変わり、すべての産業と同様に広告産業も違うものに変わる。その「デジタル・シフト」の渦中で、昨年今年と、多数の応募をいただき、様々な「取り組み」を拝見した。
しかし、今年の審査で再確認したことは「映像的なモノの、圧倒的な強さ」だった。グランプリの「リオ2016オリンピック大会閉会式東京2020フラッグハンドオーバーセレモニー」も、ゴールドのBEAMS40周年プロジェクト「TOKYO CULTURE STORY」もポカリスエット「ガチダンス フル」篇も、視聴や受容のされ方は従来のCM映像とはまったく違うが「映像的なモノの、圧倒的な強さ」があった。
シルバーも、何かしら映像的なモノが大半を占める。20世紀のワインを、21世紀のボトルに入れる。それもひとつの効果的な未来の広告のカタチ。そして、ブロンズと各カテゴリー賞に種々様々なカタチの取り組みが集まった。
これからの広告産業の本当の姿は、まだ誰にもわからないが、最後にパーソナルコンピューターの父といわれるアラン・ケイの有名な言葉をもじって筆を置くことにする。「未来の広告を知る最善の方法は、それを自ら作り出すことである。」審査委員団の皆さま、2年間ありがとうございました!