2020 60th ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS 入賞作品リスト フィルム部門 Aカテゴリー

多田審査委員長 審査講評

今年も才能に溢れ、輝かしい結果を残してきている現役のプレイヤーに集まってもらった。故に、それぞれの異なる価値観で自分に正直に審査してください、とだけ伝えさせてもらい審査を始めた。
Bカテゴリーについて。
昨年に引き続きメダリスト以上とそれ以下の間に大きな差があった。Web広告に対して世の中が以前ほど寛容ではなくなったことが原因なのだろうか、新しい突破口を模索している時期のように見えた。
その中でグランプリに推す意見が多かったのは、2連覇を狙うjmsの10秒ドラマ、加賀市、日清の匂わせたい、の3作品。完成度としてはjmsだったが「匂わせたい」の持つ、今の空気を纏った新しい可能性にかける結果となった。いわゆるグランプリ感に欠けるように見えるかもしれないが、それこそがこのカテゴリーの最大の武器なのではないだろうか。考えすぎず、カジュアルに、鮮やかに。
Aカテゴリーについて。
トヨタイムズ、BOSS、カネボウ、Netflixの4作品が頭ひとつ抜けた。それでも依然として意見は分かれ接戦であった。この4作品はどれも似ていない。そしてどれもがグランプリまであと一歩だった。さらに議論を重ねて最後は2作品の一騎打ちとなった。
カネボウは若い感性が放つ伸び伸びとした映像と音楽の力が圧倒的であった。商品や企業へのリンケージが弱いのでは?という意見もあったが、「わかりやすい病」にかかって袋小路を彷徨っている広告関係者に、受け取る側の解釈を信じること、「余白」の大切さを思い出させてくれた。
それに対してNetflixは、CM も含めた日本のエンタメ全体が陥っている「事なかれ主義」に対して、人が見たいのは綺麗事でなく、ドロっとした人間の本質なのだという企業の「哲学」を力強くゴロっと形にした骨太な作品。そこに漂う「不良性」も今や希少な香りだ。
「哲学」のネットフリックスか、それとも「余白」のカネボウか。

このチームでおこなわれた全ての議論と、それによって導き出された全ての結果を誇りに思う。広告の手段が多岐にわたり、今やオールドタイプと言われそうなフィルム部門ではあるが、長い歴史を経てもCMは依然として強く効果的な広告手法であり、様々な制約を受け限定された条件の中で鍛えられ生まれたアイディアたちは逞しい、と感じさせてもらった。伝統主義者と言われるのならば、それも仕方がない。チームのメンバー全員に深く感謝したい。
そして今、フィルム部門をちょっと愛しく思っている。

審査委員講評

総務大臣賞 / ACCグランプリ

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ACC地域賞

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ACCファイナリスト

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