あまのじゃくですから、ベストワンは、ライザップ、と言い続けました。皆、かっこつけて、東海テレビに雪崩のように流れ、やっぱOK Goなんじゃな~い?みたいな雰囲気が蔓延する中、ひとり、それでも地球は回っている、とガリレオガリレイやるのは、辛かったが、男らしく貫きました。古川審査委員長の冷ややかな、カンヌ風味の目線、タグボート系が大好きな審査員の皆さんの化石を見るようなキョトン顔。KDDIがホントはグランプリかな?と迷いつつ、人間って弱い生き物ですね、色々あり、そうも言い出せず、、、
審査員コメント一覧
フィルム部門
フィルム部門審査委員長
- Q1 審査方針や審査会の様子について教えてください
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審査員について言っておくと、直近3年で、ゴールド以上を受賞している方。というクライテリアで選定させていただいた。加えて、前年の小田桐昭賞受賞者。さらに、今年Bカテゴリーを創設したこともあって、広告以外の映像コンテンツの分野からも、土屋敏男さん、出産直前の蜷川実花さん、おふたりに参加していただいた。おふたりからは、僕たちとはまったくちがう視点からのご意見をいただき、とても刺激的だった。広告の人も、もっと開かれなくては全然だめだと、僕などは思った。
上記のようなクライテリアによる審査員なので、みんなレベル高くて議論していて楽しかった。フェアでまじめなところ、吐くべき毒は吐くところ、でも、最後は結局、クリエイティブ(とても広い意味で言っています)に対するそれぞれの愛のようなもので、決断して、投票するところ。ほんと役得で申し訳ないのだけれど、良質の審査員が集まった審査ほど勉強になるものはない。 - Q2 グランプリ作品について
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Aカテゴリー・グランプリ・東海テレビ放送は、15票のうち11票を獲得して一回ですんなり決まった。テレビCMには、フィクションだけでなく、そもそもジャーナリスティックな能力もあることを鮮やかに証明してみせた。ジャーナリズムの役割は、答えを出すことではなく、疑問を投げかけること、アジェンダを設定することである。そして、みんなと一緒に考え始め、悩むことである。CMがテレビといういちばんメジャーなメディアでオンエアされる表現物である限り、ジャーナリスティックな視点が不可欠であり、さらにはそれを世の中に投げかける力があることを思い出させてくれた。
Bカテゴリーは、稀に見る接戦だった。決戦投票は、OK Go + Hondaの「OK Go」と大日本除虫菊の「サンポール」が争った。何度投票しても1票差。最後の投票でも1票差だったが、結果、OK Go +Hondaがグランプリに選ばれた。映像コンテンツとしてのレベルは同等。比べるべくもないまったく異なる種類の表現。どちらがグランプリになってもおかしくなかった。両方の仕事のこの幅が、Bカテゴリーの今後のポテンシャルを示唆していると思われる。 - Q3 今年の作品の傾向は
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Bカテを創ったからではないけれど、AカテBカテともに、例年より多様な仕事を発見できたと思う。東海テレビ放送があり、OK Go + Hondaがあり、三太郎があり、iPhone 6があり、サンポールがあり……。80年代・90年代と比べても、CM全体に対する“優れたCM”の割合は、実はほとんど変わっていない。
いいものは、ほんの上澄み5%くらいだろう。いいものを創る人はいいものを創り、そうじゃないものを創る人はそうじゃないものを、いつも創っていたのである。俗に言われる「最近CMつまらない」という類の言説が無責任かつ無意味なことがよくわかる。それはいつも変わらないのだ。ひとつだけ違うことがあるとすれば、僕たちの仕事の可能性がずいぶん拡張したことだ。そのパースペクティブを、少しでも示唆することができたとすれば、とてもうれしい。 - Q4 お気に入りの1本
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大日本除虫菊「サンポール」
フィルムによるエンタテイメントの極致。ここにいるのは、個人。創り手の存在がこれほど濃密に感じられるフィルムも最近めずらしい。やりたいことを、高い技術でカタチにする。そういうセルフィッシュな態度が幾分かなければ、こういう高度なものはできない。実はその態度がいちばんだいじなのだ。この仕事は、それを教えてくれる。 - Q5 若いクリエイターに一言
- いい仕事は、どこの誰のものであろうと、必ず発見します。
フィルム部門審査員
佐々木 宏
佐藤 カズー
面白いことにAカテゴリーもBカテゴリーも上位作品のほとんどがソーシャルメディアを通じて拡散され、人気を集めていた作品でした。審査員のフィルターと世の中のフィルター、この2つが合致した作品に受賞がつながっているのはいい傾向だと思いました。
澤本 嘉光
CM部門、から、フィルム部門、ヘと名前が変わった事が、実はいろいろな事を象徴している気がした。
15、30秒を作れる事が前提で、それを作れる人がもっと長い秒数のものを作る、というのが広告における動画の勝利の方程式だと思っていたが、逆に、長いものでいいものを作れる人に15、30にまとめる技術を教える方がいい作品を結果として残せるのではないかと。
これは、15、30という俳句の世界と、ナガモノという小説の世界にまたがる話なので結論はないのかも知れないが。
ただ、俳句の作れる人の専門技術が際立って来ているのも確かで、是非そちらの技術も長いものを得意とする人にも磨いて欲しい。
動画というものをもっと活性化するために。
塩崎 秀彦
今回北陸・中部地域の地域審査を担当させて頂き、そこで初めて東海テレビ「戦争を、考えつづける」を見て圧倒された。審査後『この地区はレベルが高い。全国審査でも十分戦えると思います』とコメントしたのですが、それは東海テレビが頭にあってのものでした。ただ270秒という長尺。多くの人は見たことが無い地域CM。エンタメ一切排除の徹底ジャーナリズム。それがどう評価されるかと思っていたら他を圧倒してのグランプリ。驚くやら、嬉しいやら、勝手に親心的感情が芽生えていた僕としては何だか感慨深い気分でした。きっとこのグランプリにはいろんな意見があるでしょうが、様々なコンテンツと競合する今の時代、このようなCMの可能性を評価するというのもACCの一つのメッセージなんだと思います。
菅野 薫
学生時代から憧れていた伝説の、そして現在CM制作の最前線を走り続けている最高峰の方々と丸2日間CMを見続け議論をするという最高の経験をさせて頂きました。毎年審査員を総入れ替えする海外と違い、日本の広告賞は現在の最高峰が審査をする形式なため、審査員が関わった仕事が受賞作になることも多い。だから、あの審査員が選んでいるんだからそういう結果なのではないかって思ったことがある人もいると思います。しかし、そんなことじゃないんです。あくまでもその技術性と、世の中に及ぼしたものに対して真摯に受賞結果が選ばれていくのです。当然なんですが。そんな疑義を持っている暇があったらもっと考えましょう。がんばろうっと。
髙崎 卓馬
幸福な時間だった。思いのこもった熱量の高い仕事をまとめてみていると、自分がいかに幸福な仕事をさせてもらっているのかとあらためて思った。選ばれた仕事はどれも素晴らしいものだった。映像はまだまだたくさんの可能性があると思った。審査は今まで参加したなかで最も言葉が行き来するもので、それぞれの審査員の大事にしているものが垣間見えて非常に面白く、勉強になった。グランプリを選ぶとき、国会の周辺が騒がしかった。時代を切り取る意識と覚悟をもつと、広告はここまで鋭利なものになるのかと思った。新しいカテゴリーはこれから面白い意味をもつことになりそうな予感があった。広告は日々変わりつづけるものではあるが、僕らの心が面白いと思うものの本質はそうは変わらないのかもしれない。
CMの評価基準として、最も評価されるべきはアイディアであることは言うまでもない。その上で最も「広告のアイディア」が際立っていたのはiPhoneだった。それでも東海テレビの方が良いと思った。アイディアを上回る「勇気」を感じたからだ。僕らがいつも苦しめられる局の考査。その考査が放送局のCMだからそもそも無い、というアドバンテージはあったのかもしれないが。
「勇気が必要だ」などとわざわざ言ったりするのは、勇気がなくなってきている自分への叱咤でもある。
土屋 敏男
今回初めてACCの審査員を務めさせていただきました。
と言うより人生初めて「CM」に関わらせていただき、これほどまでの量を一気に見て、CM界のレジェンド達と議論を交わさせていただいたのは本当に刺激的な時間でした。テレビ番組とテレビCMは隣にあるにも関わらずこれほどまでに「距離」があるものなのか?売るべき「商品」があって、それが「売れる」と言う結果が出なければ存在価値が揺らぐCMと「何人の人が見てくれたのか?」が指標であるテレビ番組はその発想の始点も作り手のDNAもまるで違うと感じました。
しかし「面白さ」と「表現としての新しさ」の追求はまったく同じでもありました。
最後に
テレビ番組にもこういう賞が必要だよ〜〜っと!
東畑 幸多
かつてフジテレビで「それ、世の中、動かしてますか。」というコピーがありましたが、ACCは広告の賞なので、フィルムではなく、ムービー、人の心でも、ビジネスでも、価値観でも、何でもいい。何かを動かす力、ムーブさせる力を持っているかを審査するときには、もっと大事にしたほうがいいのでは?と思いました。そういう意味では、Bカテゴリー、オンラインフィルムはいま、再生回数が重要視されすぎていて、何かの価値観を揺さぶるとか、ビジネスを動かす、みたいなムーブさせる力が、弱い気がしました。再生回数の先にある、何かを動かしたい欲望みたいなものが、もっと必要なのかもしれない。ものすごく個人的な感想ですが。
西田 淳
「CMプランナーとして学んだ映像の文法とクオリティを、他の映像領域に持ち込んでみる。」今回、数百本のCMを見て、CMレジェンドな審査員の方々のお話を伺って、自分がやっていることが何なのか初めて客観的に理解できました。
映像のニーズが増えています。それを「良質な映像コンテンツ」に仕上げられるのは、CMプランナー特有のスキルだと思います。
TVCMの、磨き抜かれた匠の技と、OnlineFilmの、どう評価していいかわからないカオスっぷりに、大きな可能性を感じた審査でした。
辺境者を中央の審査会に呼んでいただきありがとうございました。大変勉強になりました。現場に戻ります。
蜷川 実花
今回初めて審査をさせていただいたのですが、これが思った以上に面白い良い経験になりました。ふだんの私の生息地帯からは近いようで思ったより遠く、今まで真剣にCMをみたことがないなぁという事実に気がつきました。真剣に向き合うとこんなに深くて面白いものなのかと、凄く新鮮な体験でした。
福里 真一
「ACCのグランプリは、その年日本で最もヒットしたCMが受賞する」というのが好きなタイプです。もちろん、じゃあオンエアが少ないCMは受賞できないのか、とか、地域のCMはどうなるんだ、とか、そもそもCMはこれからもヒットを目指した方がいいのか、とかいろいろありますので、他の審査員もそう考えるべき、とはまったく思っていないのですが、私ひとりぐらいは頑なにそう思っていてもいいのではないかな、と。そういう視点から、今年はauとライザップを応援しましたが、東海テレビ放送の「本気さ」に負けました。フィルム部門がAとBに分かれて、Bもなかなかおもしろかったですが、やっぱりAを盛り上げていきたい、と思うタイプでもあります…。まあ、とにかく、いろいろなタイプの審査員がぶつかりあう厳しい審査を乗り越えて受賞したみなさま、おめでとうございます。
山崎 隆明
フィクションがドキュメンタリーに負けた年だった。グランプリの東海テレビ放送は文句なし。他のCMと同化しない語り口とテーマに、制作者とクライアントの本気さと覚悟を感じた。この企画を採用したクライアントは立派だ。日々クレームを恐れて萎縮する制作者とクライアント、そして放送局の考査。昔に比べて、いまのテレビCMは窮屈だ。今年のグランプリ作品が少しでもテレビというメディアに、いい影響を与えることを一制作者として、心から願います。
新設されたBカテゴリーは、CMのカタチから遠い方がいいという審査基準があるのであれば、賞の方向性を決める第一回のグランプリ作品として、OK Goはふさわしいと思った。
岡野 草平(2014年小田桐昭賞受賞者)
若いころは生意気にも、なんでこのCMがこんなに上なんだ。とか、なぜこのCMが評価されないんだとか、いつもACCにモヤモヤしたものがあった。はじめて審査する側に立って、理解できたことがいくつもあったし、あのモヤモヤが何だったのかに合点がいった。つまり審査員はものすごく勉強になる。この体験を独り占めするのも申し訳ないので、若い方でモヤモヤしてる人がいらっしゃったら説明します。
ラジオCM部門
ラジオCM部門審査委員長
- Q1 審査方針や審査会の様子について教えてください
- 審査方針は実は選んだ審査員のメンバーそのものなので、ラジオが好き、という人々が、クリエーターも、放送局も、出演者も、雑誌の編集者も、入り交じってなにより楽しく審査する、ということでした。それが、世の中と一番ずれない意見になると思ったからです。結果は、方針以上にいい審査で、何より本当に楽しかった。そして、審査員同士がつながって次の新しいラジオという媒体についての話につながって行っている。審査するだけでなく、別の成果を産めるというのが一番の審査だと思います。
- Q2 グランプリ作品について
- 元はグラフィックのポスターだったとあとで聞きました。つまり、中核のアイデアがしっかりしていればそのアイデアは表現するメディアを超えられるという一例だと思います。驚きと、感心とがしっかり入ったラジオらしい傑作だと思いました。
- Q3 今年の作品の傾向は
- 昨年のグランプリがインタビュー形式だったこともあるのか、原稿に頼らない、インタビューなどのドキュメント方式のラジオCMが増えていてそれもいい結果を残していたと思います。ラジオの特性を生かした方向として、それもいい芽生えではないかと思っています。
- Q4 お気に入りの1本
- サントリーホールディングス「なっちゃん」のCMです。もう理由なく毎回審査の時に泣いてました。贈賞式でも檀上で聞いたらつい泣いてしまいまずいと思ったくらいです。本当にうまいなあと。
- Q5 アンダー29について
- なによりもらった人たちが心から喜んでくれているのが嬉しいです。ラジオは若いクリエイターが失敗を恐れずに挑戦してきたメディア。さらに若い人にその挑戦をさらに続けて欲しいですし、それを応援したいです。きっとこの受賞者の中から、次世代のスタークリエイターが出てくると思います。
- Q6 若いクリエイターに一言
- ラジオほどアイデアが重要で、自分のセリフまわしの面白さで点数に差がついて、自分がそのまま出せる媒体はないので、もっと積極的にラジオCMにトライしてみてください。結構気がついたらまわりにチャンスはあるものだと思うので、社内の知り合いのおじさんとかに、あったら私やります! と声がけしてみてください。そして、CMもそうですが同時にラジオ番組自体ももっと面白くできると思います。僕と権八もまだしばらく「すぐにおわりますから。」というTOKYO FMの土曜25時からのラジオは続けそうなので、一緒にラジオというメディア自体を面白くしましょう。まわりはおっさんばかりなので、若い人のアイデア、待たれてます。面白いです!
ラジオCM部門審査員
今浪 祐介
光栄にも2年続けて審査員をやらせて頂きました。 今回も「こんなCMがあるんだ」と驚いたり、嫉妬させられたり、涙腺に来たり、何より人に伝えたくなるCMを数多く聞かせて頂き大変勉強になりました。 贈賞式会場では「ゴールド」を受賞した作品などが流されますが、例えば本当はシルバー・ブロンズ受賞作品まで全部聞いたらより盛り上がるはず!例えば受賞作品達を1枚のCDにして専門学校やコミケで頒布すれば、コンテンツ作りをしている人達への大ヒント集になるはず!例えば・・・とこのCMを活かした先への思いがめぐります。こういったCMを作れるスキルや環境にあるクリエイターの方々へ、尊敬とやっぱり嫉妬しきりの2日間でした。
井村 光明
審査会へ向かう時、「今年のワコールはどんなCMだろう」と楽しみでした。もちろん2年連続のグランプリを知る関係者だからこその期待で、残念ながら一般の人がそう思うほどACCはメジャーではないでしょう。しかし、テレビCMと比べ、ラジオCMは遥かに番組と結びついている。その番組のリスナーたちは、僕と同じように期待していたはず、と思うのです。CMと番組と住人の一体感。ラジオにしかない未来がそこにある。芸人さんや編集長、違う人種が集まった審査が弾んだのも、同じ番組を聞いてた仲間と会ったような、ラジオならでは、なのでは。いや、澤本さんのおかげかな?ハッピーな場所に呼んで頂き深く感謝です。タクシーの話はまたいつか。
大谷 ノブ彦
審査は本当に楽しかった。
映像がないってのがこんなに武器になるんだなって。
改めてラジオの可能性にも触れたことが本当よかったなと。
こういうのは真剣にやらないと、そもそも賞の意義がグラつくから、おもんないんですよね。
おもんない。だから、絶対自分だけでも異様に熱くやってやろうって思ってたら、他の審査員の皆様もガチもガチ、熱い熱い!笑
だから、面白かった。真剣だから面白かったです。また、やりたい。
金井 渉
去年、一緒に仕事をさせていただいたご縁で澤本委員長にお誘いいただき、今回、初参加させていただきました。作り手、喋り手、別媒体で活躍する方など、様々な方々がいらっしゃる中で「こんな若造がいてもいいのだろうか」と思い、審査は緊張しっぱなし…かと思いきや、気兼ねなく意見もできる良い雰囲気での審査会でした。今年は「アンダー29賞」が新設され、同じ年代の方々が作った作品も聴くことができ、改めて若手クリエイターの可能性も感じました。ただ、聴き手の耳に届かなければ意味がない。ぜひ、多くの人に聴いてもらうべく、ラジオの作り手として発信していきたい。そして、来年はより多くのラジオCMが応募されることを願っています。
権八 成裕
審査が楽しい。ラジオの審査員はみな口を揃えて言う。不謹慎なようだが困った事にマジ楽しい。まるで違うバックボーンを持つ審査員たちが、互いへのリスペクトをベースにしつつ、180度違う考え方をぶつけあう。ユーモアと優しさを交えながら。今年も飲み会みたいにアホみたく審査会は盛り上がっていた。そして全体的に見ると、恐ろしいことに、ここへきてラジオCMのレベルが上がり始めている気がする。参った。今年もどうもありがとうございました!
嶋 浩一郎
テレビはわたしとみんなのメディアであって、ラジオはわたしとあなたのメディアです。だからわたしに直接話してくれるようなアプローチが心地いいですよね。それからラジオはささやかな日常がちょっとハッピーになると嬉しいメディアです。すごくくだらないことやちょっとしたトリビアが心に染みたりします。グランプリの「beer-lingual」は一人でクスッとわらってしまうラジオネタとして最高のできでした。 ところで、日々毎日持ち歩くスマホ上のコミュニケーションも、企業と人は一対一だからラジオ的なコミュニケーションが効いたりするのではと最近よく考えています。
遠山 大輔(グランジ)
今年も昨年と同じく、何百本というCMを聴かさせて頂きました!普段は芸人としてネタを作り、そしてラジオのパーソナリティーとして喋らせて貰っている身としては、『こんな魅せ方あんのか』『アイデアの時点でもう勝利』『単純に面白い』という刺激しかありませんでした。短くて20秒、長くても120秒くらいですか、それだけの時間にたくさんの色々を込めて世に送られている製作者の皆さんに、改めてリスペクトでございます! 審査をしている大人達も、皆さん本当に面白い人達ばかりで、そこで浮かび上がってくるCMも軒並み面白い。面白い、に囲まれた幸せな時間でした!面白い、は強い!
中川 英明
はじめて経験した審査会は、事前の緊張をすべて忘れるほどに楽しく、事前の予想をはるかに超えてエキサイティングでした。ブロンズ、シルバー…と、徐々に高まる議論の熱。最後の決戦投票では1票入るたびにどよめきが起き、グランプリが決まった瞬間には、場内中がなぜか大きな歓声に包まれました。それだけ全員が真剣に聞いて、真剣に考えて出した答えだったからだと思います。ボクも、自分が関わっていない企画の受賞がここまでうれしく感じるなんて、想像もしませんでした。このような人生でもそうそうないだろう貴重な場に、立ち会う機会を与えてくださった澤本審査員長や皆さまに、心より感謝いたします。
中山 佐知子
今年も楽しい審査会でした。澤本審査委員長のおかげです。澤本くん、毎年ありがとうございます。 入賞作品を見てみると地域審査で聴いたものが何本か入っています。これは本当にうれしいです。地域審査の立ち会いに行くと、そこで残った作品はもう我が子のようにかわいくなってしまうので、入賞すればいいな、ファイナリストでもいいから年鑑に載るといいなと思います。 今年はアンダー29という面白いしくみが出来て10本が選ばれました。選んでみるとアンダー29じゃなくても立派に戦える作品がほとんどでした。若者すごいです。最後になりますが、そのなかの「あんまり動かない体操」は審査中のいい運動になりました。ありがとう。
西田 善太
ラジオに戻ってこよう、とか、ラジオはつながるメディアです、とかあんまり考えなくていいから、音と声だけでできそうなおもしろいことを思いついたら、ちょっと画策してラジオCM作ればいい。単純な道具だけで、しかも短い時間で人を笑わせたり、うなづかせたりするのは、かなり超絶楽しいはずです。お笑いで言うならスタンダップコメディアンがいちばん偉いと常々思っていて(そうでしょ?)、そういう人に一瞬だけなれる場所はラジオなのかな、とふと、さっき思いました。いろんな広告を考えるときに、ポロリまろびでてしまったおもしろいアイデアがあったら、ラジオCM作っちゃえ。
福本 ゆみ
グランプリをはじめとして、音が印象に残った年でした。優しい音楽や、人の気持ちが聴こえるインタビュー。かわいい子どもの声。この二年ほどは、ワコールの衝撃作(?)が続いたので、今年は、心穏やかに、聴けました。
広告の形も変わって来ているので、Beer-lingualのような「実用的CM」は、新しい方向と言えるのでしょうか。ポスターにもなっているらしいですが、この面白さは、やっぱり音ならではですね。20秒では、「給料が安い」の一言で、ゴールドまで駆け上がった「山善」に、改めて言葉の力を感じました。劇的には変わりにくいけど、少しずつ、少しずつ、その年の空気をプラスしていく・・その穏やかさが、愛すべきラジオという媒体なのですね。
三井 明子
審査会、ほんとうに楽しかったです!今回の審査で実感したのは、審査を重ねてCMを何度も聴きなおすうちに、自分がひそかに応援するCMが何本か生まれるということ。そして、そのCMが上位に上がっていくと、自分のことのようにうれしく感じられるということです。まるでサポーターみたいですね…。気がつくとハラハラドキドキしていました、自分の手がけたCMでもないのに(笑)。応援していたいくつものCMが上位入賞したときは、一緒に祝杯を上げたいとまで思ってしまいました。受賞作のご関係者のみなさま、おめでとうございました!
マーケティング・エフェクティブネス部門
マーケティング・エフェクティブネス部門審査委員長
- Q1 審査方針や審査会の様子について教えてください
- 昨年同様、「今年、一番効いたマーケティングを選ぼう」と審査させていただきました。審査員は、クリエーター5名、企業の宣伝責任者5名という編成。今年から企業責任者を私以外全員女性に。結果は狙い通り、女性視点、クリエイター視点、企業視点など多角的な視点で審査できたと思います。審査会の特徴は、「本音の議論」とでも言いましょうか? 純粋に広告とその成果に向き合い、何でも言い合うそんな審査会でした。宣伝部オブ・ザ・イヤーと評される賞になっていくことを目指します。
- Q2 グランプリ作品について
- メルセデス・ベンツ日本「GO ! GLA」キャンペーン。超高級車ブランドのメルセデスが「スーパーマリオ」という意外性のある広告表現を核として、新規マーケットの開拓にチャレンジ。その成果は、「やられたぁ」という実感大です。勘弁してください。笑
- Q3 今年の作品の傾向は
- 結果、キャンペーンの規模・業種・戦略など多彩な顔ぶれで、今年もバラエティに富んでいるというのがマーケティング・エフェクティブネス部門の特徴かもしれません。
- Q4 お気に入りの1本
- 一押しは、KDDIのauの三太郎シリーズです。次から次へと押し寄せる期待感。いつの間にかお茶の間は三太郎ワールドへ。1作品1メッセージを愚直なまでに貫き、面白いだけでなく視聴者にメッセージを確実に届け、auファン拡大に貢献していることを高く評価しています。
- Q5 若いクリエイターに一言
- 広告は、短期的か長期的かは別にしてやっぱり「売れてなんぼ」です。企業の宣伝責任者は絶えずその課題と向き合っており、その気持ちと真剣さをいつもシェアしてくださいね。失礼、釈迦に説法でした。
マーケティング・エフェクティブネス部門審査員
幼方 聡子
ACC賞には興味があって、喜んで審査を引き受けたものの、いやあ、本当に難しい審査でした。だってマーケティング上の効果も見ながらフィルム自体の質も審査しなければならないわけですから。どうしても自分の興味のある商品に引っ張られてしまうこともありますし。でもグランプリのメルセデスを始め、各受賞作品はどれも甲乙つけ難く、斬新で印象深く素晴らしいクリエイティブだったので、今回の審査は自分自身のいい勉強になったと同時に、これからの日本の広告のあり方を考えるのに相応しい場となりました。受賞された皆様、改めておめでとうございます。これからも是非、効くクリエイティブでマーケットを活性化して下さい!
小和田 みどり
今回初めて「マーケティング・エフェクティブネス部門」の審査メンバーに加えていただきました。今年一番「効いた」広告。まさに宣伝部として日々奮闘している課題そのものです。選出された作品はまさにどれもすばらしい結果を生み出しており、審査しながらも心の中では「すごいなあ」「そういう手があったか」と感嘆しっぱなしでした。今年初の試みで4名の女性が審査員としてメンバーに加わりましたが、男性とは観点が違うものだと実感する場面が多々ありました。これからますます情報が多様化する中、改めて広告の力を見せつけられた日々でした。広告って本当にすばらしい!この部門がさらに盛り上がっていくことを期待します。
矢野 絹子
今回初めて審査をするにあたり、一番考えたのは「エフェクティブネス」の意味です。一口に「効いたCM・キャンペーン」と言っても、企業により抱える課題の大きさや得られた成果は様々で、そこをいかに公正に審査するか。応募作品を見ながら「エフェクティブネスとは?」を問いかけ続けました。悩ましさを抱えつつ、審査会で審査員の皆さまと熱い議論を交わすうちに、「企業の論理ではなく、人を動かしてこその効果」という着地点が見えてきました。選考に残った作品は、手法・話法の違いはあれ、人の心を動かし行動を喚起する強いパワーを持っています。これからも、この時代だからこその「効く」を追求していきたいと思います。
山口 有希子
マーケティング・エフェクティブネス部門は、クリエイティブのみの評価ではなく、実際にどれだけのビジネス効果が上がったのかを評価する賞です。入賞するためには多角的な視点からのキャンペーン設計が必要となる、まさにマーケティング総合力が評価される賞ではないでしょうか。また「人を動かす」ことが出来ないとビジネス効果には繋がりません。これは情報が氾濫している現在の消費者生活の中で、とてもハードルが高いチャレンジです。今回入賞された作品は、いずれも創意工夫を凝らしたユニークな手法で、消費者の心を捉え、新しい市場を開拓された素晴らしいコンテンツです。
木下 一郎
「目指したパーセプションの獲得に向けて、戦略を立て、実行し、目標以上の成果をあげる。しかもCMのクォリティは高くなければならない。」という高いハードルをクリアされた上位の作品、作業には拍手をお送りしたいと思います。特に若い人のマインドシェアを獲得し販売を大幅に伸ばしたメルセデスのスーパーマリオ、そして携帯会社同質化イメージの中でCMの好感度、好意度の高さをブランドイメージアップと売上拡大に繋げたauの作業は、ME賞のあり方を教えていただいた素晴らしいお仕事だったと思いました。
清水 健
桃ちゃんぱっかーん。最初はそのスピードについていけず、どこが面白いんだろうと思っていたが、気がつくと頭の中は、桃ちゃんぱっかーん。ME部門NO,1はこれだろう、と思っていた。ところで今回の審査はかなり楽しめた。いろんなパターンが勝ち上がってきたからだ。メルセデス+スーパーマリオはかなり「勇気」がいるキャンペーンだったと想像する。そうかと思えば、藤岡琢也の時代からラーメンにひと手間という定番サッポロ一番。潰れた卵がこんなにおいしそうな表現であることを改めて知った。キャスティングと共感性が単なる「守り」にひと手間を加えた。結果は想像とは違っていたが、様々な角度から議論するこの審査会はやはり楽しい。
田中 昌宏
昨年と比較すると、審査が難しくなったという印象があります。 全体のレベルが上がって評価したいものが多くなったということではないでしょうか。審査結果に不満があるというわけではないのですが、「これ以外の結果はないでしょ」という感じでもありません。こうなって来ると、今まで以上にエントリーシートのまとめ方やビデオの構成の差が審査結果に影響を与える度合いが増してくるのではないでしょうか。特に、エントリーシートに残念なものがあるように感じました。審査員が知りたいことを押さえ、且つアピールすべきことが明確なエントリーシートを作るよう心掛けていただきたいと思います。そういうテクニックばかり上達しても困りますが。
能登 健裕
価値が確立しているメガ商品がクリエイティブ戦略によって大きく動く。クリエイティブを信じる者だけがこの至福を味わえる。昨年のアディダス・サッカーユニフォームに続き、ふさわしいグランプリが選出できたと思う。メルセデスを選ぶ価値を持ちえなかった人に、新たな選択肢をつくった。メダリストに届かなかったものも含めチームの決断が結実したキャンペーンをいくつも俯瞰しながら、実業に近い部門賞の意義は年々大きくなっていると実感しました。マーケティングをドライブするクリエイティビティ。人を動かすクリエイティビティ。日本中のいいチームが、ますますME部門に集まりますように。
藤井 久
商品を売るための新しい知恵やアイディアが、ME部門には集結している。フィルム部門などに比べエントリー数は少ないが、「よい結果を出した仕事」を審査する部門なので、それは当然とも言える。エントリーシートを書くことも、ビデオを作ることも、きっと応募のハードルを上げているのだろう。でも今や、「リザルト」を明示することも、戦略をビデオで説明することも、世界的にはディファクトなのだから、日本でもこの形式に早めに慣れたほうがいいと思う。クリエイティブ(アイディア)と結果の関係を議論している、という意味で、審査も明快だ。ME部門の審査に出るたび思うことがある。それは、広告は進化している、ということだ。
インタラクティブ部門
インタラクティブ部門審査委員長
- Q1 審査方針や審査会の様子について教えてください
- 審査の前の顔合わせを含め、何度か会っては話をしているので、リラックスモードと真剣度合いのバランスがとてもよかったと思います。自分が提示したいくつかの横文字のキーワードを皆が次々、平易で現実的で面白いキーワードに言い換えてくれるのがとてもありがたかった。女性審査員たちのために(?)事務局が差し入れてくれたオリジンーヌ・カカオのケーキも美味しく、いい雰囲気をつくってくれたと思います(笑)。
- Q2 グランプリ作品について
-
昨年なかなか崩せなかった「ゴールドの壁」は次々に突き破られました。
スポーツビズ「Fencing Visualized」、大塚製薬「インハイ.TV」、ドワンゴ「ニコニコ超会議2015『リアルSUMOU』」‥‥そして、グランプリは4つ巴の戦いを制した「Perfume at SXSW」。リアルなライブ会場とバーチャル世界を自在に行き来する大胆なチャレンジが審査員の心をわしづかみにしました。 - Q3 今年の作品の傾向は
- 全体のレベルは昨年よりあがり、ファイナリスト以上のエントリーはすべて混戦だったと思います。応募に際して12領域を設定していますが、オウンドメディアからニューテクノロジー、広告的発明に至るまで幅広く新しいチャレンジが見られました。
- Q4 お気に入りの1本
- Makoto Azuma 「EXOBIOTANICA」 ― 概ねWeb上に再現されているもののアートディレクションに不満を抱いている僕は、こういうアウトプットを見るととたんにいい気分になって、いいね!を連発したくなるわけです。
- Q5 若いクリエイターに一言
- 昨年から言い続けているように、「その他全部部門」としてのインタラクティブ部門は、従来の枠組みではほめられなかったアイディアをもれなく全部ほめる勢いなのです(笑)ほとんどすべてのコミュニケーションがデジタルとなんらかの関わりを持つようになった今、アイディアは無限に広がっており、それこそが若い人たちにチャンスがある最大の理由です。チャンスなんだからチャレンジしなきゃ!
インタラクティブ部門審査員
角田 陽一郎
北風委員長曰く、『その他全部部門』を標榜するインタラクティブ部門ですから、言ってみれば『無駄な偉業』と呼べるような、採算を度外視しても、いつか必ずみんなの未来に明るいきっかけを提示してくれるような、わくわくする企画や事業が賞を取ったらいいな、と考え審査致しました。結局インタラクティブってそんな熱い想いが相手に伝わって、それがまた新たな『無駄な偉業』を生みだして、それがまた次の世代に伝わることなんだと思いました。想いが伝わる、なんてインタラクティブなんでしょう! それにしても、いろんな作品が楽しめて勉強になって審査会は本当いつも楽しいです!実はこれが一番の僕のインタラクティブです!
佐々木 康晴
ACCインタラクティブ部門の審査をさせていただくのは2回目となりますが、応募作品に今年は着実な進化を感じました。審査会での議論も、表現として面白いかどうか、ということ以上に、これからインタラクティブがどう僕らの仕事に影響し、どんな新しいソリューションの形態を生み出すのか、という話を多くできたように思います。もはやACC賞の一部門としての審査を超えて、未来の日本のつくりかたを考える会のようで、僕にとってはとても楽しい審査でした。北風審査委員長のすてきなナビゲーションのおかげで、今年はとても良い所に着地できた満足感があります。来年はもっと応募が多くなって、もっと賞をあげられたら、その未来づくりが加速するような気がしています。
白井 明子
受賞者の皆様、おめでとうございます。
「その手があったか」というインタラクティブ作品に数多くふれる貴重な経験でした。
審査方法について丁寧にアドバイスしてくれた北風委員長はじめ審査員の方々に感謝します。
菅野 薫
迷いながらはじめたインタラクティブ部門2年目。その存在意義が新しさを褒めることである以上、インタラクティブとは何か、広告とは何か、その規定する範囲すら超えて素晴らしかったものを褒めたいという当初からの意志がより強固になったような気がします。クラフト賞や特別賞などあらゆる角度から評価する仕組みも構築しながら、議論された角度も多様化し、「何をやれば褒められるのか」ではなく「どのくらいやれば褒められるのか」が提示出来たのではないかと思っています。来年、今年とは全く違う価値を評価していることを願っています。
須田 和博
今年の上位4作は奇しくもすべて「生中継」だった。「Perfume at SXSW」はYouTube Liveで現実と虚構をシームレスにつなぎ、「Fencing Visualized」は目の前の競技の肉眼では見えない動きを可視化し、「インハイ.TV」は今まで見れなかったインターハイの全競技を生中継にして応援を可能にし、「ニコニコ超会議2015『リアルSUMOU』」はゲーム感覚の相撲の生中継でファンを沸かせた。なぜすべて「生中継」なのか?それは「リアルタイム」という今の時代の欲求に対し、「ただの生じゃない、見たことない生!」という価値で答えたからだろう。TVなら番組が受け持つ「生」を、WEBでは「広告的な施策」が受け持つところが面白く、かつ未来を示唆している。
高野 文隆
アワードの創設から2年。国際賞の常連作が軒並み脱落するクリティカルな1年目から、大量の受賞者を輩出する母性愛の2年目へと、審査の振り子も大きく揺れ動きました。その変化の渦中にいて思うのは、ACCインタラクティブは、いい意味でドメスティックを追求すべきアワードではないかということ。デジタルクリエイティブ自体がコモディティ化し、テンプレートな企画が世界中で拡大再生産される中、次の突破口は日本人にしか理解できない、得体の知れないアイデアだけのような気がします。内圧を異常に高めたドメスティックパワーの発見、賞揚の場として正当進化し、カンヌ的なるものを下から突き上げるような流れになるともっと面白くなると思います。
刀田 聡子
「ACCその他全部部門」という北風審査委員長の言葉を念頭に、ジャンル問わずコミュニケーション領域の優れたクリエイティブで(ここはブレーンとも共通です)、かつ今らしいインタラクティブ性を持ったもの、また初めての女性審査員ということで、女性のターゲットに響く作品を選出できればと臨みました。審査結果は、ひらかたパークの「目隠しライド」や「しらべぇ」の入賞で「その他全部部門」らしい幅が出た一方で、ゴールド以上の4作品はいずれもライブイベントとインタラクティブを組み合わせたものとなり、「リアルをより楽しむためのインタラクティブ」「個人から、皆で楽しむインタラクティブへ」という流れが明快に見えました。
中村 洋基
オンライン広告をめぐる流れは、めまぐるしく変わっている。 Flashのクラフトでつくる「スペシャルサイト型」はナリをひそめ、バイラルムービー型、オキュラスやIoT技術を駆使した、デジタルPRイベント型、そしてライブ。未来につながる技術・インフラに耳目が集まった。で、数年後には、これも一変してしまうのだろう。そんな流れを、2015年という「点」でおさえ「今年はコレッ!」を可視化するのが賞の役目。ことしは去年より、充分な数を選ぶことができた。 ファイナリストであっても、珠玉の作品ばかり。パラパラと年鑑をめくって「ふーん」だけではなく、ぜひひとつひとつ実際にググッて、どんな仕事だったかを見てほしい。
福田 敏也
テクノロジーはブランド体験をどう変えるのか。それが映像であれ、コンテンツであれ、アプリであれ、体験装置であれ、プロダクトであれ、店頭であれ、流通であれ、メディアであれ。もはやその形や形式を問うことに意味はない。そんな時代に入っている事をあらためて実感させられる今年の審査でした。まだまだ時代は、変化の時代まっただなか。デジタル技術でネットワークされたものは、すべてメディアになる今の時代、アワードは、その意味の拡大の速度についていくのがたいへんです。
朴 正義
インタラクティブクリエイションと呼ばれるものが完全にWebブラウザから飛び出した。入力と出力の両方があるからインタラクティブなのだが、その入力側に大きな革新が起こっている。Arduinoに代表されるモノをコンピュータ化する開発環境や、Drone、GoPro、各種センサーといった入力装置が、安価で手に入るようになり、これまで連携させることができなかったモノやコトがつながり始め、数年前では想像できなかったことがどんどん実現できるようになってきた。結果、人々のあらゆる行動が入力元となり、生活時間のすべてがコミュニケーションの対象になったというのが、今回の審査の背景でした。大変ですねw
本間 充
今年もインタラクティブの審査をさせて頂いた。インタラクティブ部門は、他部門のように名前こそ変わっていないが、内容には大きな変化があった。”インタラクティブ=Only Web”は過去のものになったのだ。今年は、イベントやマシーンなどの作品が多かった。結果、「Commercial Message」ではなく、「Messageを感じる機会の提供」が増えた。クリエーターは、メッセージの伝え方と、感じさせる場所・モノをデザインしないといけないのである。大変だ!と考えながらも、審査する方は非常に面白く、わくわくしながら行った。そして、来年もこの部門は、期待大である。
真鍋 大度
ACCのインタラクティブはメディアアートやインタラクティブアートの賞のように厳密に新規性、独自性を問うものではない。 審査員のバックグラウンドが様々な故、インタラクティブの定義も審査員によって異なりACCの中で最も審査が難しい部門であることは間違いない。 私自身も「このプロジェクトが選ばれるんだ!」という驚きがあり、専門性を求めるあまり見逃していた視点があり刺激を受け大変勉強になる場であった。