審査委員講評

  • フィルム部門 審査委員長

    澤本 嘉光 Yoshimitsu Sawamoto
    電通
    シニア・プライム・エグゼクティブ・プロフェッショナル/
    エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター
    Q1 審査会の様子について。審査方針を含め、お聞かせください。

    広告にとどまらず映画、テレビ、演者、と映像の色々なジャンルから審査委員を選ばせていただいた時点でそれが審査方針でした。あとは各個人がいいと素直に思うものを選んでいただければ。それと褒めるかどうか迷ったらなるべく多くを褒める、ということ。褒められたい人に褒められるということは大きなモチベーションになるので。審査会は一言で言えば楽しかった。僕らの勉強になった。そして新しい映像広告の可能性に気がつかされた。
    自分の普段暮らしてる世界だと聞けないような意見が交換でき、特に佐藤健さん、劇団ひとりさんのふとした一言に感心する場面が多かった。気をつけないと視野ってどんどん狭くなるな、余計な気遣いで世界を小さくしてるな、と思い直した数日でした。

    Q2 今年の作品の傾向および、グランプリ作品について。

    Aカテゴリーで言えば、最近の傾向である「長年続いているシリーズCMに良作が多い」という傾向は続くものの、地方で作られた単品のCMに上位に食い込むものが見受けられた。撮影機材の進化で予算によっての画質の良し悪しの差が小さくなり結果に響かなくなって、アイデアで勝負できているのが原因の一つと思われる。
    冒険したCM、クスリとさせようとしたCMが減っていて、一般的に「エモーショナル」なCMが増えている気もするが、これは無難なもの、問題作を世に問おうという意欲が減っていることの一つの象徴のようにも思え、そこは残念な気もする。その中でグランプリは一番の挑戦作であり、一番見ていて「CMって楽しい」と思えるものだった。Bカテゴリーも平均して質が上がっている反面、webならではのチャレンジした、ある種暴力的な強さがあるものは減っているようであり、落ち着いた、ともするとAカテゴリーとあまり差がなくすら感じられかねない結果になっているようだ。
    その中でNetflixとグランプリのサイボウズは秒数に制限のないwebの特性をよく捉え、特にグランプリ作品は時流もうまく捉えたものになっていた。

    Q3 若いクリエイターに一言

    いい賞を狙いすぎてなのか、考査なのか、安定した、言い方を変えれば安全な表現が目立つ中、意欲だけは常に挑戦して現状の破壊を目指してほしいと思います。おじさんと同じものを作ってもおじさんに負けたら悔しいだけですので。

    フィルム部門 審査委員

    尾形 真理子 Mariko Ogata
    博報堂フェロー
    クリエイティブディレクター/コピーライター

    COMING SOON

    奥山 雄太 Yuta Okuyama
    SIX
    クリエイティブディレクター/CMプランナー

    初めて審査させてもらって感じたのは、フィルム審査は残酷なくらい正直だということ。どんなに正しくても、どんなに結果がよくても、結局のところ、グッとこないと、エモくないと、やっぱり応援しようと思えない。頭で「よくできてる」と思えても、最後には、身体が感じる「好きだ」に勝つことができない。それはきっと世の中も同じで、ブランドが映像を武器にコミュニケーションする理由って、そういう映像の魔力にあるんだよなと。当たり前ですが。
    理屈もわかった。事情もわかった。で、それ、グッとくるんだっけ。そう、問いつづけることしかないのだな、と改めて思えた審査会でした。

    川村 元気 Genki Kawamura
    東宝
    映画プロデューサー/小説家

    昨年に引き続き審査にあたらせていただいたのですが、あらためて15秒や30秒という短い世界でどう伝えるか、というCMの面白さを見出した時間でした。そういう意味では、今年のAカテゴリーには魅力的なCMがたくさんあったと思います。Bカテゴリーの長尺のオンラインフィルムに関しては、あらゆるトライがここ数年でされてきたなかで、新しい表現を模索する時期に突入した印象がありました。これからCMとオンラインフィルムがどのような関係性や連動性を持って発展していくのか、楽しみになった今年の審査会でした。

    劇団ひとり Gekidan Hitori
    太田プロダクション
    芸人

    15秒と30秒でこんなにも作品の幅が広がるのかと驚きました。時間的には倍になっただけ なのに、やれることは数十倍、いや、もっと広がる。お笑いでいえば15秒が大喜利だとしたら、30秒になるとそれが途端に落語になる。前フリから展開してオチまでいける。どちらが良い悪いではなくて、たかが15秒の差でここまで違うんだな、と勉強になりました。第一線で活躍している作り手の皆さんとご一緒するのは新鮮で楽しかったです。自分の選んだ 作品が多数派だと安心しましたし、逆に自分の一票しか入っていない時は冷や汗ものでした。今後、自分の出演したCMがあの場で皆さんに裁かれるのかと思うと複雑な心境です。

    佐久間 宣行 Nobuyuki Sakuma
    テレビ東京
    プロデューサー

    2度めの参加だったのですが、今年はより遠慮なく議論がされた気がします。
    それぞれが推す作品を尊重しつつも、賞の意義を常に問い、最後まで議論を重ねる。
    そんなクリーンで刺激的な環境で選びぬかれた面白い作品の数々を見るのは、とても楽しい経験でした。

    佐々木 宏 Hiroshi Sasaki
    シンガタ
    クリエイティブ・ディレクター

    COMING SOON

    佐藤 カズー Kazoo Sato
    TBWAHAKUHODO
    CCO/Creative Director

    広告の外から参加されている審査委員の方々の視点がとにかく貴重でした。
    業界的な狭いところに意識が入ってしまい、世の中の視点を忘れがちになるので。
    審査委員の選び方で議論の内容や受賞されるものも大きく変わります。
    テレビ、映画、演者の方々と広告クリエイティブを俯瞰してディスカッションする場はとても健全だと思いました。

    佐藤 健 Takeru Satoh
    アミューズ
    俳優

    ものすごく怖いことをやっていると思うんです。好みとかセンスって、ほぼイコール能力だと思うから。ぼくはこれが良いと思ってて、これが良くないと思います。って言うことって、わたしの能力はこれくらいです、って言ってるようなものだから。
    今回審査委員としてご一緒させて頂いた皆様の、当然のことですけど、自分のセンス、能力に自信と誇りを持って、堂々と意見している姿が印象的でした。
    僕もびくびくしながら自分が良いと思った作品を伝えたときに、こくこくと頷いてくれる方がちらほらいたことが嬉しかったです。貴重な経験をありがとうございました。

    佐藤 雄介 Yusuke Sato
    電通
    CMプランナー/コピーライター

    COMING SOON

    篠原 誠 Makoto Shinohara
    篠原誠事務所
    クリエーティブ・ディレクター

    自身二年目となるフィルム部門の審査。昨年同様、広告業界ではない方々も多く、刺激的な二日間となりました。広告人ではない自分を連れて来て審査するように努めましたが、どうしても作る方の自分が出て来て、ずっと嫉妬しっぱなし。ずっとザワザワする時間でした。
    クリエーティブとは何か?クオリティとは何か?アイデアとはないか?強さとは?正解とは?ずっと自問自答していたように思います。ただひたすら考えて、生み出すことへの職人たちの執念やプライドをフィルムの中から感じ、そのパワーを浴び続けました。
    結果、「とことんこだわれ」。そう激励されたように感じました。受賞された方々には最大の尊敬とおめでとうございます、を。

    多田 琢 Taku Tada
    TUGBOAT
    クリエイティブディレクター/CMプランナー

    COMING SOON

    田中 里沙 Risa Tanaka
    宣伝会議
    取締役メディア情報統括

    審査会は「楽しい緊張感」のある特別な2日間でした。澤本審査委員長は、自分の好きな作品を素直に選んで、と号令をかけてくれて、審査のプロセス全てにおいて審査委員一人ひとりの考えや気持を引き出してくれます。気になることが露呈した際は、丁寧な議論がなされます。
    今年のACCフィルム部門にはどの作品が入賞するのか。関係者も関係者でない方も、かなり気になる事柄です。入賞作でもって今年のフィルムの傾向が語られたり、CMの未来はどうなる?といった話題も活発化します。よい意味で重圧を感じながらも、前向きにCMについて考える機会となりました。
    そして、名優・佐藤健さんの感性の素晴らしさに、心打たれました。

    那須田 淳 Atsushi Nasuda
    TBSホールディングス
    プロデューサー/グループ経営企画局担当局長

    本業でない分野から昨年に続いての参加です。本年も作り手の皆さんの熱量・技量に心からのリスペクトが沸き上がりました。複数年に渡るシリーズ秀作に率直に感じる、よくできているな~感は凄く(さけるグミ、1UP)、そんなシリーズ傑作に、どんな新しい作品が食い込んでくるのか、そのスリリングさが審査会の醍醐味。
    どんな時代にもあり続けるテーマに、優しい発明アイデアで心を掴んでくれる作品がまだまだ登場してくることにすなおに喜びを感じました(東京ガス、やまや、今西数英教室、ツヴァイ )。
    ハズキルーペにストレートな感想をぶつけ合い、2日目終盤には言い残すこと無きよう審査委員の皆さんが思いを出し切られるのが好きでした。

    福部 明浩 Akihiro Fukube
    catch
    クリエイティブディレクター/コピーライター

    今回の審査を振り返って思うのは、もっと勇気をもって、ハズキルーペをGOLDに推せば良かったということです。時が経つにつれて、その思いを強くします。
    もし何年か後に人生を振り返った時、僕は2018年というページをあのCMを目次にして思い出す気がします。ああ、あの年はあんなことがあったな〜って。
    それなのに、、、、
    ごめんよハズキルーペ。見えてなかったよ、俺。
    最近スマホの字も小さく見えるから買ってみるよ、ハズキルーペ。
    少なくとも両親には贈ります。(約束!)

    藤井 亮 Ryo Fujii
    電通関西
    映像の企画・演出など

    広告以外のいろいろなジャンルの映像のプロ(それも超一線の方々)が集まった審査会でした。 そんな人たちに面白い!と思われるような映像を広告業界が作ることができているのか?そんなことを試されているような気持ちで、自分が作ったCMじゃなくても勝手に緊張して変な汗をかいていました。
    Bカテゴリーが映像のクオリティを求めだした結果?なのかは分からないですが、無茶苦茶なルール無視のバーリトゥードじゃなくなりつつある気が……ただ尺が長いだけのAカテゴリーのような。作るものがBカテゴリー寄りの人間としては、僕ももっと乱暴なもの、勢いのカタマリのようなモノを作らないとなぁと反省しました。

    別所 哲也 Tetsuya Bessho
    パシフィックボイス 俳優
    「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア」代表

    COMING SOON

    細田 守 Mamoru Hosoda
    スタジオ地図
    映画監督

    今年も審査をさせていただきました。各シリーズ広告のウェルメイドなおもしろさは去年に引き続き相変わらずで、大いに楽しませてもらいました。反面、地方や小さな広告主のCMに見られる、素朴な、しかし芯の強い表現に改めて感じ入りました。
    どちらかといえば個人的には後者の方に肩入れしたくなる性分ですが、なるべく偏らないように票を入れたつもりです。いずれにしろ、出会った瞬間はっとして思わず立ち止まり、目が離せなくなってしまうような新しい表現をもっと見たいです。
    映画でも音楽でも小説でもドラマでもお笑いでも報道でも誰かの行動でも誰かの一言でもそして広告でも。

  • ラジオCM部門 審査委員長

    嶋 浩一郎 Koichiro Shima
    博報堂ケトル
    代表取締役社長
    Q1 審査会の様子について。審査方針を含め、お聞かせください

    基本姿勢はリスナーの気持ちでシンプルに。日々の生活の中でラジオを聞いている人の気持ちが一番大事。リスナーにとって驚き、発見、優しさがあるCMを広告制作者、ラジオ番組製作者、ラジオのしゃべり手というそれぞれの立場から選んでもらった。審査は例年笑いが起きる楽しい場になっています。

    Q2 今年の作品の傾向および、グランプリ作品について。

    ドキュメンタリ手法、ストーリーの開発、音声の活用方法、様々なラジオCMの技術に関して、多様な進化が感じられた。グランプリの群馬マスコミ3社「無許可」はドキュメンタリの新たな可能性を提示した。リスナーに対する効果は抜群だったのではないか。ゴールドの大日本除虫菊「金鳥の渦巻」は本音を伝えるラジオの特性を活かしたストーリーづくりにその手があったかと感服。

    Q3 若いクリエイターに一言

    音声だけというミニマルな要素でコミュニケーションが設計できるようになればなんでもできるようになれる。ACCの受賞作はそのヒントが詰まってる。聞きまくれ!

    ラジオCM部門 審査委員

    秋吉 健太 Kenta Akiyoshi
    ヤフー
    Yahoo!ライフマガジン 編集長

    スマートフォンの普及で、誰でもどこでも情報が発信できるようになり、爆発的に情報が溢れてしまった今の時代。日々情報の洪水の中にいるユーザーをコンテンツの力で動かすためには、情報をわかりやすく伝えるだけでなく、いかに情報を伝えながら受け手の心を動かすかということが必要。
    今回、私はその観点でイチ消費者として審査に挑みました。選ばれた作品は言葉や音声を駆使して「恐怖」「笑い」「感動」を与える、聞き手の心を揺さぶる作品ばかり。シンプルに作り手のアイデアで勝負できるラジオCMは、情報が溢れているこの時代だからこそキラリと光る面白い世界だと改めて思いました。

    小宮山 雄飛 Yuhi Komiyama
    GENIUS AT WORK 代表取締役
    ホフディラン
    渋谷区観光大使・クリエイティブアンバサダー

    ラジオの一出演者でしかない僕がACCの審査委員をさせてもらうのも、毎回おこがましいのですが、そもそもラジオCMというのはラジオの前で正座してセリフやBGMの細部まで聞き入るものでもなく、リスナーが仕事中・運転中・お料理中などにふと耳に入ってくるものだと思いますので、そういうニュートラルな感覚で聞いていてアンテナに引っかかるもの(ラジオだけに!)、プっと笑ってしまうもの、どうしても耳がそっちに持って行かれてしまうものを自分なりに選ばせてもらいました。
    あと最初の審査が終わり、「次はこちらの中から選んでください」と渡された紙が、ランチのメニュー表だったのが面白かったです。慌てて鱧のフライ御膳を選んだのは失敗でした。

    澤本 嘉光 Yoshimitsu Sawamoto
    電通
    シニア・プライム・エグゼクティブ・プロフェッショナル/
    エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター

    まとめてラジオCMを聞けて、ラジオ好きの人たちとその作品について論じることができる審査会。審査会という名前の鑑賞会でもありました。
    年によって傾向が如実にあるものですがそれが前年のACC賞の結果に影響されている点も見受けられ、ますますこの審査の大事さを感じます。
    たくさんの出品作に紛れている新しい才能を見つけられた時は聞いていて嬉しくなります。そんな出会いを楽しみにしていたいので、ぜひ遠慮しないで作ったラジオを出品してほしいな、と思います。

    東畑 幸多 Kota Tohata
    電通
    グループクリエーティブ・ディレクター/CMプランナー

    ラジオの審査は楽しい。なんとなくピュアなのだ。リザルトは?世の中への波及効果は?なんてことは議論しない。純粋に、ラジオCMとして優れているか?もっと言うと、素敵か?を、審査委員が素直に議論している。
    そして、作り手もKPIから解放されて、のびのび自由に作っている。だから、聴いていて楽しいのだ。マーケティングが進化して、なんでもかんでも数字が問われる時代。
    ただ、数字にしやすいものだけ見ていると、人の気持ちや時代の気分のような「フワっとしていて数値化できないけど、本質的に大切なもの」を見落としてしまうのでは?たくさんのラジオCMを聴きながら、ふとそんなことに気づかされた。

    西田 善太 Zenta Nishida
    マガジンハウス
    BRUTUS編集長

    「恋の半分は声でできている」。
    声がいいですね、と言われると、すかさず「声だけはいいんです」と答えていますが、最近、うってつけの文章を見つけました。グレゴリー・デイヴィッド・ロバーツの小説『シャンタラム』からの一文が僕の味方です。
    今までは「いい声っていうのは、音だけじゃなくて言葉、喋り方と間なんですよ」とつなぐようにしていたけれど、もうこれだけでいいや。「ええ、恋の半分は声でできているんですよ」って。
    年に1度のACCラジオCM部門の審査は、作品の”声”を聴き込む2日間。今年は20秒のラジオCMが、すごくいい声を出してました。ラジオこそ”声”ですよね。だから好きなんだ。

    橋本 吉史 Yoshifumi Hashimoto
    TBSラジオ
    プロデューサー

    ラジオCMの作り手が手間暇かけて仕上げた珠玉の音声をひたすら聴き続ける2日間は、音を作る仕事に携わるものにとっては北京ダックの皮部分だけを食べ続けるような、美味しいとこだけをいただく贅沢体験。
    そして、新しい音声表現が生まれ続ける中で今期も、大手メーカの横綱相撲のような堂々たる作風から、フレッシュな才能による刺激的なものまで非常に多彩。
    今期、トータルして評価の高かった作品はすべてに「ドキュメンタリー性」や「本音感」が共通しており、ユーザーの「リアル体験」嗜好の広がりに呼応しているような印象も受ける。CMの進化と同じようにラジオ番組でも表現手法の発明が生まれ続けてくれることを切に願うばかり。

    秀島 史香 Fumika Hideshima
    FM BIRD
    ラジオDJ/ナレーター

    「AI」という言葉を聞かない日はないほど、「人工知能って、実際どうなの?」と関心が高まる中、今年はAIと絡んでいるCMも増えました。ただ、相手が機械だろうが、相変わらず人間は、ちょっと不器用で、でもそこが愛おしくて。日々の暮らしの中で、クスッと笑える言葉のやりとりにあふれていました。
    見えないからこそ、たった一言で、声のニュアンスで、数秒の「間」で、気持ちが上がったり下がったりする人の心。数十秒の音だけの表現だからこそ、その繊細なひだにダイレクトに触れてくるのがラジオCMです。今後、いかに人間らしさに迫りながら進化していくのでしょうか。DJとしても、耳をそばだてながらさらにワクワクするとします。

    福本 ゆみ Yumi Fukumoto
    福本ゆみ事務所
    コピーライター/クリエーティブディレクター/俳人

    今年も相変わらず、金鳥が面白く、3年連続グランプリという言葉も頭の片隅に浮かびつつ、審査を進めて行った。例年より爆笑CMは少なく、その分、手堅いいいCMが浮かび上がって来た。岡山いのちの電話協会や、群馬マスコミ3社の特殊詐欺ゼロキャンペーンなど。エフエム群馬は、ずっとインパクトのあるCMを作り続けてこられたと思うが、今回のは、怖さと面白さを兼ね備えた魅力的な作品だった。コピーのひねりもよく利いていた。最終投票で金鳥を上回る支持を得たのは納得できるし、あの金鳥スタッフなら、来年もっと驚かせてくれるだろうという、審査委員達のエールでもあったと思う。

    細田 高広 Takahiro Hosoda
    TBWAHAKUHODO
    シニアクリエイティブディレクター

    「音声しかない」広告か、「音声にしかできない」広告か。それが受賞のボーダーラインを引いた基準だったように思います。映像がないからこそ、強く鮮明に届く言葉。人物の顔が見えないからこそ、感情移入できる物語。逆に顔を出さなくていいからこそ、うっかり漏らしたと思われる人間の本音。グランプリの仕事は、犯罪者の生声をそのまま使い、強烈なリアリティを感じさせました。音声入力やスマートスピーカーの隆盛で、今後のデジタルは人々の目をディスプレイから遠ざけていくと予想されています。音声にしかできないことは何か?を考えることは、次の広告を考えることかもしれない。今回の受賞作にはそのヒントが散りばめられています。

    三井 明子 Akiko Mitsui
    アサツー ディ・ケイ
    コピーライター/クリエイティブディレクター

    嶋審査委員長のもと、とてもたのしく審査させていただきました。今年は、「リアル」に迫ったCMが上位に揃ったことが印象に残りました。衝撃的な音源のグランプリ作品はもちろん、真摯な言葉がこころを打つ「岡山いのちの電話協会」や、「上田安子服飾専門学校」の臨場感のあるライブ音…。リアルな音には、ひとを動かす力があると、しみじみと感じました。一方で、「大日本除虫菊」をはじめとする魅力的なオリジナルストーリーCMも、もちろん健在。安定のストーリーテラーの古川雅之さん森田一成さん、リアルCMの新星・原壮俊さん、そしてリアルもギャグもタイゾーワールド全開の廣瀬泰三さん…。ラジオの達人たちの技とセンスに、たくさんの刺激をいただきました。激戦のなか受賞されたみなさま、おめでとうございます!

    吉田 尚記 Hisanori Yoshida
    ニッポン放送
    ビジネス開発センター ネクストビジネス戦略部副部長

    ラジオ最強の武器は「声の記名性」です。
    この声は、あ、あの人だ!と一聴しただけでわかる。筆跡がない手書き文字がないように、声の音色から、話されている言葉がを発したのが誰であるかわかり、内容の説得力が増す。喋り手がパーソナリティ、訳せば人格と呼ばれる理由です。
    しかし数十秒に限定されたラジオCMは、パーソナリティが登場しないことがほとんどで、その最大の武器がない世界です。「誰がしゃべっているか伝えない」という一番厳しいレギュレーションで、何を伝えられるのか。その可能性への挑戦を、これでもかと聞かせていただきました。
    ラジオCMこそ、音声表現の最先端です。

  • マーケティング・エフェクティブネス部門
    審査委員長

    小和田 みどり Midori Kowada
    ライオン
    コミュニケーションデザイン部 部長
    Q1 審査会の様子について。審査方針を含め、お聞かせください。

    毎年「エフェクティブとは何か」が議論になり、すばらしい成果を前に審査委員全員が悩みもがく審査会になっています。クリエイティブ×メディアを知恵と勇気を持ってチャレンジし、ブランド課題を解決し大きな成果をあげる。これこそがマーケッターが全員模索していることかと思います。
    今回最終審査ではプレゼンテーション形式の公開審査を初めて導入しました。様々な思いや葛藤が直接伝わり、2次審査までの葛藤がうそのように審査委員の気持ちが一致した審査会となりました。

    Q2 作品の傾向およびグランプリ作品について。

    今回は社会課題に対する取組が散見されたが、長期的なプロジェクトの場合どのタイミングでノミネートするのがいいのかという事も議論になりました。
    今回グランプリを獲得した高崎市の施策は、飲食店を活性化することで地元の農業や漁業まで活性化につなげる、飲食店の次はこの座組みで第二弾・第三弾へと広げる(伝統工芸など?)、すでに九州でも同じ絶メシプロジェクトが立ち上がった、というエフェクティブネスの拡大を予感させる施策であり、日本全体を活性化する原動力になりえる!とさらなる挑戦に期待したいです。

    Q3 若いクリエイターに一言

    デジタルの進化によって施策結果の可視化がすぐにできるようになっています。誰のどんな課題を解決したいのかといった視点で、斬新でイノベーティブな施策を練り上げ、どんどん実行し検証し、エフェクティブネスをあげるチャレンジを期待しています。

    マーケティング・エフェクティブネス部門
    審査委員

    朝生 謙 Kenji Asao
    ハチミツ(元アサツー ディ・ケイ)
    クリエイティブディレクター/CMプランナー

    エントリーシートを一人でジャッジする一次審査。その結果を集計して、審査委員全員で討議する二次審査。そして、今回、初めて導入された、ファイナリスト作品のクライアント、制作者によるプレゼンテーションという最終審査。多くの審査委員の方から、最初と最後で評価が全然変わったという声を聞きました。
    成果とアイデア、この2つが大きな評価基準であることは間違いないのですが、それぞれを評価するには、様々な視点があり、他の審査委員の発言に気づかされることが多々ありました。そんな中で、今回、クライアントの方からの生の声(想い)を聞けたことは、とても意義深いことだったと感じました。と同時に、この賞は、制作者だけでなくクライアント担当者の熱い想いがあって獲得できるものだと強く思いました。

    上野 隆信 Takanobu Ueno
    大塚製薬
    ニュートラシューティカルズ事業部 宣伝部 課長

    今年のME部門の最終審査は、エントリー時に用意された資料だけで審査していたこれまでとは違い、2次審査を通過した10チームによるプレゼン形式に変わりました。プレゼンターの熱量が加わったことにより、資料だけでは伝わり切れなかった部分が浮き彫りになり、それまでの評価を大きく変える作品も出てきました。
    グランプリに選ばれたのは昨年に続き、今年も「社会的課題」を解決させる為の戦略とその取組みが考え出され、リザルトもしっかり出されている作品。きっと全国で起こっている社会的課題に対して活動されている方の解決のヒントとなり勇気を与えた事でしょう。受賞作品は、いずれも納得の選出です。受賞された皆様、本当におめでとうございます。

    内山 健司 Kenji Uchiyama
    マンダム
    執行役員 商品企画部・コミュニケーションデザイン部・第一マーケティング部・海外マーケティング室担当

    受賞された皆様、この度はおめでとうございました。
    審査においてマーケティング・エフェクティブネス部門と言う事もあり、また自分の通常業務での姿勢である「社会または個人の問題を解決する事が出来るか」「新市場を創造できるか」「目的に対する成果は高いか」「費用対効果は高いか」等の視点で審査させて頂きました。
    上位作品は多くの生活者の心を動かし、アクションにつなげ、大きな成果のみならず社会的ムーブメントにまで繋げております。改めて「企画設計」及び「意識と行動変化を促すメッセージ」の重要性を再確認致しました。
    審査では作品を通じまた審査委員の皆様からも刺激を頂き、大変有意義な経験をさせて頂きました。

    奥野 圭亮 Keisuke Okuno
    電通
    クリエーティブ・ディレクター

    今年から最終プレゼンテーションがはじまったME部門は非常にエキサイティングでした。応募シートやビデオでは伝わりきらない「熱量」がダイレクトに感じられ、プレゼンテーターから深い思考がひしひしと伝わり、審査する側も多くの発見と感動がありました。中でもとくに印象的だったのが、グランプリ「絶メシ」の高崎市役所の小柏さんと博報堂ケトルの畑中さんでした。
    そこにあったのは、ふたりの強い信頼関係。アイデアを考え、実行し、拡大していったすべての局面で共に悩み、共に喜びを分かち合ってきた、かけがえのない時間をそこに感じました。人間が広告をつくる意義を再発見した思いです。おめでとうございます。ありがとうございました。

    佐々木 亜悠 Ayu Sasaki
    電通
    コミュニケーション・プランナー

    認知すら今まで通りに取れなくなってきている世の中で、いまマーケティングの「効果」とは何だろう?ということを自分自身にも問い続けた審査会でした。飽和市場に新たな風穴を開けたもの、消費側だけでなく、二次的・三次的な効果の広がりがあったものなど、マーケティングの効果そのものの考え方を一歩前に進めてくれるような作品に数多く出会うことができました。
    また、長期的な視点で設計されていた施策も多く、すぐに効果が期待される時代だからこそ「使い捨てにならないコミュニケーション」の設計が大切なのかもしれないと、改めて感じました。
    受賞された皆さま、おめでとうございます!大変なプレゼン、本当にお疲れ様でした!

    白井 明子 Akiko Shirai
    ローソン
    マーケティング本部 シニアマネジャー

    受賞された皆様おめでとうございます、すばらしいプレゼンありがとうございました。
    インタラクティブ部門審査委員を3年つとめたあと、ME部門初めての審査委員でしたが、同じACCの賞でも評価する面が違いました。
    ME部門は、評価する部分を数値で語る部分も多く、審査もスムーズに進んだ印象を受けました。
    また初のプレゼン形式の審査会は、紙での審査と違い熱意を感じることができ、ぜひ他の賞でも実践したほうがよい取組みだと感じました。

    鈴木 あき子 Akiko Suzuki
    サントリーコミュニケーションズ
    宣伝部長

    今年初参加です。事前審査で89件のエントリーシートに向き合い、シートからはみ出さんばかりの熱量を感じ、こちらとしてもきちんとした評価軸を持って成果をはからねばならないと背筋が伸びました。審査会ではフランクで建設的な審査委員の皆様との大変充実した議論に新たな気づきを頂き、考えが深まっていきました。最終的には、「常識を覆し」、「私たちマーケティングに関わる人間に勇気を与えてくれるもの」が選ばれていったと思います。一過性で終わらない地域活性化、成熟市場での新しい価値提供、忙しない現代で逆に急がない売り方・・・。つまりマーケティングは、まだまだやれる!ということを感じて爽快な気持ちになった審査会でした。

    高田 伸敏 Nobutoshi Takada
    東急エージェンシー
    クリエイティブ局局長 エグゼクティブクリエイティブディレクター

    ME部門の審査は、議論するたび、投票するたびに順位が入れ替わる。ハンパない熱量が会議室から溢れている。そのうえ、公開プレゼンである。いじわるな質問もしたかなと思う。プレゼンのうまさを競うのではない。エントリーシートやビデオでは見えない部分を聞きたかったのだ。どのチームも素晴らしいプレゼンだった。中でも、「絶メシ」はエントリー時以上のパワーと広がりを見せていた。この流れが、街の、そして街に住む人々のパワーになるかもしれない。私たちが評価しているのは、単なる過去のエフェクティブネス(成果、効果)ではない、未来に続くエフェクティブネスなのだと思う。

    二木 久乃 Hisano Niki
    博報堂
    ストラテジックプラニング 部長

    激変する世の中で、どのように人々に期待や楽しさを提供し、どのようにマーケットに影響を与えるのか。「マーケティング・エフェクティブネス部門」では、新しいマーケティングが問われる中、「成果(売上)への直接的な貢献」を軸に審査してまいりましたが、受賞作品には、低予算でも人を巻き込んでいく仕組みが仕掛けられていることで効果を大きくしたり、商品設計とコミュニケーション戦略のシナジーが非常にうまく効いていたり、コミュニケーションやメディアの解釈を拡大し細部まで実現性を追求したりなど、これからのマーケティングを示唆してくれているものが多くあったと感じられました。来年も期待してやみません。

    藤原 かおり Kaori Fujiwara
    カルビー
    執行役員 フルグラ事業本部 本部長

    今回初めて審査委員を務めさせていただきましたが、エントリー作品一つずつに目を通しているだけで、マーケティングの“今(NOW)“を体感することができました。エントリーされた作品の全てに対し、心より敬意を表します。マーケティング・エフェクティブネス部門の受賞作品は、まさにエフェクトが結果として出ているものが選出されており、マーケティングに携わる方々にとって大きな刺激になることと思います。興味を持った方には、ぜひ、それぞれの作品が選出された理由を研究していただくと良いのではないでしょうか。個人的にも、日々進化するマーケティングツールを使いこなし、エフェクトを発揮し続けられるように努力したいと思います。

    松井 美樹 Miki Matsui
    博報堂
    統合プラニング局
    局長/Executive Creative Director

    3回の審査チャンスの中で、自分の審査基準が固まっていくのを体験した。オンライン、予選、本審査会。そもそもアイデアがあるか、成果があるかでざっくり審査していた「ぼんやり審査委員」の自分が、これは商品の勝利か、コミュニケーションの勝利かに思いを馳せるようになり、今評価すべき「アプローチの新鮮さ」を考えるようになり、最後には、実施後の「波及力」にまで考え及ぶようになった。本審査会はたくさんの聴衆の皆さんに聞いていただいていた。私個人の気づきに終わることなく、皆さんにも何らかの「気づき」を与えることができただろうか?受賞作が決まったら終わりではない、気づきの連鎖を生めるカテゴリーであってほしい。

    山口 有希子 Yukiko Yamaguchi
    パナソニック
    コネクティッドソリューションズ社 常務/
    エンタープライズマーケティング本部 本部長

    今回のマーケティング・エフェクティブネス部門においては、最終審査を公開プレゼンにしたことで、企画者の強い意志や情熱がひしひしと熱量を持って伝わり、審査委員としても発見の連続でした。現状に嘆き甘んじるのではなく、新しいムーブメントを起こして、課題にチャレンジしている受賞作品の数々に、私も勇気をもらいました。グランプリ作品では、「絶滅危機にある町の飲食店を存続させたい」という企画者が、いろいろな人や企業を巻き込み、街を活性化させるための活動が立体的に実施され、しかも、どんどんその影響力が拡がっている。その熱い思いが、キャンペーンの「効果」に繋がっているのだということを改めて感じました。益々面白くなっているME部門。来年も楽しみです。

  • ブランデッドコミュニケーション部門 審査委員長

    菅野 薫 Kaoru Sugano
    電通
    CDC/Dentsu Lab Tokyo
    エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター/クリエーティブ・テクノロジスト
    Q1 審査会の様子について。審査方針を含め、お聞かせください。

    今回、部門名を「ブランデッド・コミュニケーション」とさせていただいているように、4つどのカテゴリーにおいても「ブランデッド」なアイディア、何らかの表現の主体があって、そのために機能するコミュニケーションやデザインを評価していくことを大きな方針としています。とはいえ、旧来の“広告”の概念というほど限定していなく、主体が企業でも、アーティストでも、都市でも構わない。主体の持つ課題にどうアイディアと技術でこたえたかを評価しました。4カテゴリーを内包して幅広い領域のアイディアを扱うことになるので、デジタル、プロモーション、PR、デザイン、各方面の最高の専門家に審査委員になってもらい、それぞれの視点から全応募作品について率直な意見を議論して審査しました。そのことが大きな評価の視点を獲得することになり、この部門の最大の価値になりました。

    Q2 今年の作品の傾向および、グランプリ作品について

    なるべく多くの角度から新しいアイディアとクラフトを発見して褒めるという部門の当初目的は間違いなく果たせたのではないかと思っています。Aカテゴリーの「FUTURE-EXPERIMENT VOL.01 距離をなくせ。」は、まさにデジタル体験というアイディアとクラフトなプロジェクトで、インタラクティブ部門の後継として評価の視点の精度が高まった印象です。ブランデッドデザインという新しい視点のDカテゴリーの最初のグランプリに「行くぜ、東北。」が選ばれたのは、広告であること、デザインであることの両立を象徴していたからだと思います。SNSからスタートしてテレビCMと連動して世の中に大きく痛快な話題を巻き起こしたBカテゴリーのグランプリの「チキンラーメンアクマのキムラー」や、社会の潜在している課題をわかりやすい形で顕在化したCカテゴリーの「ロコモティブシンドローム啓発運動」は、いま広告会社に求められているとても素晴らしいアイディアにも関わらず、新部門をつくらなかったら褒める賞がなかっただろうプロジェクトなので贈賞出来ることが非常に嬉しいです。

    Q3 若いクリエイターに一言

    賞は、賞です。クリエイターにとっての絶対的な価値ではない。当たり前です。賞が何かしら役立つ可能性があるとしたら、新しい才能と、これまで誰も気が付かなかった視点が発見されること。そして若い人の嫉妬や羨望が、将来もっと良い仕事を生み出す動機となることです。一緒にがんばりましょう!

    ブランデッドコミュニケーション部門 審査委員

    イム ジョンホ Jeong-ho Im
    mount
    代表取締役/Art director

    新設のブランデッド・コミュニケーション部門に、はじめてのACC審査委員を務めました。クライアントや社会の課題に真摯に向き合いつくり出された作品群たちと4つのカテゴリごとの審査基準と評価を定めていく過程が非常に刺激的かつ有意義でした。特に16人のバックグラウンドが違う方たちの視点違いからの健全な示唆より、賞の価値をより高めてくれてるように感じました。個人的には、「ロコモ チャレンジ!推進協議会」のようなこの時代を生きるひとへの新しい気づきと、そのための地道な活動がグランプリという形で認められたのが、広告賞の在り方として喜ばしいことでありました。みなさんも「椅子から立ち上がりテスト」をしてみてください。

    上西 祐理 Yuri Uenishi
    電通
    アートディレクター/グラフィックデザイナー

    COMING SOON

    大八木 翼 Tsubasa Oyagi
    SIX
    クリエイティブディレクター/共同執行責任者

    COMING SOON

    尾上 永晃 Noriaki Onoe
    電通
    プランナー

    どのジャンルにおいても本流でない外様感を抱えながら、果たして自分は大丈夫かちゃんと生きていけているのかと長いこと悶々としていました。
    そしたら、そういう傍流を見出す賞が出来ました。
    生かされる人も多くなるだろう。
    と思い、なるべく他では褒められそうにない仕事を見出そうとしました。
    ところが、気づけば自分も何かのジャンルに囚われているのだ。
    傍流のチャンポンたる審査委員の皆様の意見を聞くにつけ、気付かされました。
    1人の人間がフラットになることなんてありえないし、世界はひとつじゃありません。
    そんな人間の歪さをまるっと飲み込む、正直なカテゴリだったと思います。
    勉強させていただきました。精進します。

    小杉 幸一 Koichi Kosugi
    博報堂
    クリエイティブディレクター/アートディレクター

    もっとも広告にとって素直な賞が生まれたと思いました。常に僕らはカテゴリーを考えて広告をつくっていません。それぞれ異なった目的の達成のために、真摯にクライアントに向きあい、その手法から考え、日々苦悩し、アイデアを出しています。そうやって生まれた目的に対して素直で強度があってかつ機能するお仕事が受賞されたのかなと思いました。同じ作品であってもそれぞれの専門分野をもつ審査委員の翻訳によって、多面的に顕在化される価値。広告はもっともっと褒めらてもいいところがいっぱいある!そんな嬉しい部門なんだと思います!
    ずっと審査委員でいたいくらい、広告って楽しい!を感じるのにはたまらない審査であり、受賞作品だったと思います!
    誘っていただいた菅野さん、事務局のみなさま、ありがとうざいました。

    佐々木 康晴 Yasuharu Sasaki
    電通
    第4CRプランニング局長/デジタル・クリエーティブ・センター長/エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター

    もしかしてこれがACCの理想的な審査方法なんじゃないかと思いました。異なる専門の審査委員が集まり、多様な視点で複数の部門を横断的に審査する、というこれが。New York Festivalsなどもこの方式ですよね。デザイナーじゃない人がデザインに意見し、PRプランナーじゃない人がPRについて議論をしかける。だからといって、最大公約数的に丸まって薄まった結論を求めるような甘い審査委員たちではなく、皆が納得するまで話し合い、そして、業界のしがらみも少ない結果になった。刺激的で良い審査会でした。…が、問題があるとすれば、審査時間が無限にかかりそうになることと、提供されたお菓子を食べすぎて体重が増加すること、ですね。

    嶋 浩一郎 Koichiro Shima
    博報堂ケトル
    代表取締役社長

    審査委員長の菅野薫くんから審査委員を依頼された時、「この部門はその他の広告を選ぶんです」と言われ、なにがなんでもそれはやらなければと思った。人の心を動かす方法は手段を選んでいる場合じゃない。あらゆる可能性を考えて絶えず新しい手法を開発したい。だから、今あるカテゴリーに収まる手法でコミュニケーションを開発する必要はない。コミュニケーションに限らずあらゆるイノベーションは辺境から生まれてくる。だから、自分は「その他」が大好き。そこには可能性を秘めた原石がたくさんある。今回の受賞作品をみてバラバラな印象を受ける人がいるかもしれない。でもそれは多様化し、異種格闘技戦の様相を呈してきたいまの広告業界の様相そのものだ。

    東畑 幸多 Kota Tohata
    電通
    グループクリエーティブ・ディレクター/CMプランナー

    普段、広告を観るときは、カテゴリーなんて意識しない。そこにあるのは、好きか嫌いか、だけだ。審査の時も、その感覚は大事にしたい。「カテゴリー?ケッ!」と思って参加しました。けれど、一番勉強になったのは、カテゴリーを意識して、褒め方の尺度を変えることで、多様な仕事や才能に、光が当たるのだと理解しました。反省としては、コミュニケーションの可能性を拡張する「あさっての広告」を発見しよう!と言いながら、結果、意外と広告らしい仕事に評価が集まってしまったこと。その他部門は、カテゴリーに収まらない仕事や才能を発見する場であるべきだと。次回は、そんな意識を持って審査したいと思いました。次回、声がかかるか分かりませんが。

    中村 勇吾 Yugo Nakamura
    tha
    代表取締役/デザイナー

    5,6年ぶりに、ウェブ・ネットの広告を沢山拝見しました。率直な感想として、ここ数年はあまり変わってないんだな、と思いました。勿論、表現の洗練・進化はさまざまな作品に感じましたが、ネットを使った広告の手法・構造としては特に変化はなく、これまでやられてきた様々な実験が淘汰されて現在の手法のパレットに落ち着いたのかな、という感想でした。もちろんこれは僕のようなウェブデザイナー視点に偏った見方で、主に僕が感知できない領域でこそ、新たな取り組みが行われてきたことも分かりました。企業が1人称として立ち、一定の覚悟と意思をもって戦略的にコミュニケーションを試みている事例がとても新鮮に映りました。

    橋田 和明 Kazuaki Hashida
    HASHI inc.
    クリエイティブディレクター

    カテゴリーが4つあるこの部門の審査委員たちは、もちろん一色ではありません。デジタルの視点、プロモの視点、PRの視点、デザインの視点。色々な視点が混じり合いながら、一つのアイディアに対して議論につぐ議論。お互いが持っているフィールドと信念の戦い。戦って勝つことも負けることもあります。しかし大切なのは、審査委員同士の視点の違いが、お互いに気づきをうみ、よりアイディアの良いところを探せたことだと思います。その激戦を勝ち抜いたのは、そのカテゴリーだけの評価だけではなく、様々な視点からも評価されたもの。審査の「化学反応」から生まれた受賞作は、ブランドに対して真摯に向き合って、太くて、強くて、新しかった。

    MIKIKO
    イレブンプレイ
    代表取締役/演出振付家

    普段CMの振付はさせていただいているものの、門外漢の私が広告のお仕事を専門にされている錚々たる方々に混じって審査するということに恐縮しておりました。
    今回新設された部門ということもあり、専門の方々とは少し違う立場・視点からなら発言できるかと思い、参加いたしましたが、審査を通して、改めて広告について勉強させていただいたという感覚が大きいです。
    斬新なアイデアや、作り手の熱意溢れる応募作品を拝見して、「ブランデッドコミュニケーションとは何か」ということについて改めて考えさせられ、今後の自分の広告との関わり方のヒントになることばかりでした。

    八木 義博 Yoshihiro Yagi
    電通
    CDC
    クリエーティブディレクター/アートディレクター

    ひとえに評価の高い作品と言っても、その評価のベクトルも審査委員によって 様々あり、たくさんの気づきに触れることができた。反対に至っていない部分への鋭い指摘は、きっと審査委員本人たちでさえも、耳が痛いこととして受け止められていたのではないだろうか。一つの作品をある専門領域から評価しても、それと異なる専門領域の審査委員が評価していない。それぞれの領域での暗黙知となっている部分に、違う専門領域から光を入れる。そんなドキドキする議論と投票の連続で、投票結果は揺らいでいたと思う。数ある広告賞の中で今までなかったモノサシとして、有意義なカテゴリーが誕生したと思う。

    保持 壮太郎 Sotaro Yasumochi
    電通
    CDC/Dentsu Lab Tokyo
    コピーライター/プランナー

    新部門ということで、エントリーする側も審査する側もだいぶ手探りだったように思います。でもその「手探り感」みたいなものが僕たちの仕事にとって、何よりも大事なことなのかもなとも思うのです。自分たちの考えを信じて疑って疑って信じる。そうゆう行ったり来たりがあるからこそ、健全で誠実な優れたアイデアが生まれうるのではないでしょうか。ですので来年もその先もずっと、ACCのこの部門だけは、審査委員が悩んで頭を抱え続ける部門であってほしいと願います。貴重な機会を与えてくださった事務局の方々にあらためて御礼を。そして何より、嫉妬するくらい素敵な仕事を応募してくださったみなさんに最大級の感謝と尊敬を。負けないぞ。

    吉田 ユニ Yuni Yoshida
    アートディレクター

    今回新設されたブランデッド・コミュニケーション部門の審査委員にお声をかけていただき、とても貴重な体験をさせていただきました。
    普段、目の前にある仕事の目的に向かって、誰もがHAPPYになる最良の小さな点を目指して日々葛藤していますが、審査を通して様々な視点や、新たな気づきを感じることができて、改めて広告の楽しさを知ることができました。

    レイ・イナモト Rei Inamoto
    Inamoto & Co
    Founding Partner

    「ブランデッド・コミュニケーション」って新しい部門なんですが、よく考えてみると全てが「ブランデッド・コミュニケーション」であるべきですよね。海外の審査でよくよく出会うシーンは、審査中の議論の大きな時間がカテゴリーの定義に取られてしまうという事です。ですが、審査中この部門の定義は何かと言う話にはならず、何が面白いのか、何が新しいのかに専念していました。そして何が「ネクスト」なのかを発掘する部門だったように思います。何もかもがやり尽くされた感じがある今、「ブランデッド・コミュニケーション」の原点って聖書のようなものだと思うのですが、今後ACCのこの部門から、ブランドの「ネクストバイブル」が出てくる事を期待しています。

  • メディアクリエイティブ部門 審査委員長

    小山 薫堂 Kundo Koyama
    放送作家/脚本家
    京都造形芸術大学副学長
    Q1 審査会の様子について。審査方針を含め、お聞かせください。

    去年とほぼ同じメンバーということもあり、非常に和やかな雰囲気の中、それぞれの考えを自由に議論し合うポジティブな審査が展開されました。既存の手法をどれだけリセットし、そのメディアが持ち得るアセットをどこまで最大化できるか・・・という視点で論じ合ったことで、全てのメディアはアイデア次第で大きな可能性に溢れていることを全員で認識しました。

    Q2 今年の作品の傾向および、グランプリ作品について

    今年も去年同様、SNSの活用がメディアアセットの最大化には欠かせないことを実感させる事例が多数見受けられました。その最たるものが、今回グランプリに輝いた「PLAY THE GIFT」だと思います。SNSの力によって一つの屋外広告が聖地化し、そのニュースがまたSNSで拡散され大きなメディア価値を生む・・・こうした広告業界におけるSNSの輪廻転商(SNS上でのくり返し拡散が商いになること)はこれからもしばらく続くことでしょう。

    Q3 若いクリエイターに一言

    同じアイデアでも、誰に出会うか?どのメディアと組み合わせるかによって、その価値は大きく変わって来ます。既視感のあるアイデアでも育て方次第で、全く違うものになり得ることを忘れてはいけません。

    メディアクリエイティブ部門 審査委員

    大澤 あつみ Atsumi Osawa
    トヨタ自動車
    国内企画部 メディアチーム 主任

    今回初めて審査に関わらせていただいたのですが、エントリー作品を見るだけで感性が刺激されました。「メディアクリエイティブ部門」はメディア・広告会社・広告主とそれぞれ立場が異なる中で意見を交わすことができ、お互いの価値観の理解を深め、かつ、将来のメディアのあるべき姿を議論するという、とてもポジティブな審査会でした。
    これまでメディアと認識されていないものの再発見や、TVとWEBをつなぐことで相乗効果を出すものなど、既存のメディアアセットをうまく活用することがテーマなので、今後もアイデアの組み合わせ次第で、どんどん盛り上がると思いました。
    貴重な学びの機会をいただき、とても楽しかったです。

    佐藤 宏 Hiroshi Sato
    広島テレビ放送
    報道制作局長

    去年に続き、唯一、地方から参加させていただきました。84の作品を審査してみて、特徴的だったのは「意外なモノや場所がメディアになっていた」ことでしょうか。
    ①ラーメンの海苔にメッセージを記載した海苔広告。どんぶりがメディアに!
    ②保冷剤にそっくりのアイスのパッケージ。家庭の冷蔵庫がメディアに!
    ③伝統あるヤキモノの模様を女性がメーク。女性の顔がメディアに!
    ④カレーライスのご飯がビルの形に。大学の学食がメディアに!
    ⑤ベランダから干した布団に広告。マンションの空き部屋がメディアに!
    それぞれがSNSで拡散され、話題になるという共通パターン。日常の生活で目を凝らせば、ヒットや儲けのアイデアはいたる所に転がっている、そう気づかせてくれた審査会でした。

    嶋田 三四郎 Sanshiro Shimada
    博報堂DYメディアパートナーズ
    エクゼクティブマネージャー/プロデューサー

    昨年に引き続き審査委員メンバーとして参加させていただけたこと、大変光栄に思っております。
    自分自身が「嫉妬する」新たなチャレンジに出会えた事、そして、審査委員同士の「視点の掛け合わせ」から分かる新たな発見がたくさんあった事…全てがいい刺激でした。
    この部門の軸である「メディア×アイデア」が、「オーディエンス」に「行動」を生み出していく…「MEDIACTIVATION」という概念こそが、この部門の未来であり、進化の可能性なんだと、自分の胸に刻む事が出来ました。

    立本 洋之 Hiroyuki Tachimoto
    フジテレビジョン
    編成局第二制作室長

    今年もワクワクする審査に参加させていただいて大変楽しく、刺激になりました。この部門の「メディアアセット」の定義は幅広く、自分の想像を超えた「メディアアセット」が提示されることもありますし、恐らく審査委員の間でも視点や理解が異なるケースがままあると思います。そんな「空間歪曲リング」に挑戦してくる様々な作品を審査するのは楽しみでもあり、判定を付けるという苦難でもあり、さらに最終審査会での議論がこれからのメディアを占う貴重な機会でもあります。
    今回も紙一重で受賞を逃しているケースがあり、選に漏れたからといって自分の作品に自信を無くす必要など全くありません。皆様のさらなる挑戦を期待しております。

    谷口 洋一 Yoichi Taniguchi
    テレビ朝日
    営業局 タイムマーケティング部 部長

    今年は二回目ということもあって、全作品を楽しみながら審査している自分がいました。
    作品が届いた瞬間から楽しみで楽しみで…笑
    「こう来たか!!そう来たか!!こんな手があったのか!?」等々
    我々テレビ界にも刺激を与えるクリエイティブ、デジタル展開…
    おしゃれで上質なバズリに、心くすぶる温かさあり…各審査委員の方々の考え方に今年も刺激を受けまくり…
    もはや毎年の審査会が楽しみで、すでに今から来年の作品と審査会を楽しみにしつつ、我々も奮闘を誓います。

    村本 美知 Michi Muramoto
    アサツー ディ・ケイ
    エクスペリエンス・デザインセンター リ・マーケティング本部長 兼 EXデザイン局長

    今年も一段と刺激的で濃い時間でした。審査委員の皆さんは本当に遠慮なくシャープにコメントしてくださるので、事前審査でしっかり吟味したつもりなのに、読み解けていなかった細部の見どころに気づかされて、大いに揺さぶられました。今年は、昨年から続く「何がメディアアセットか?」の議論に加えて、より踏み込んで「それを活用したクリエイティビティ」を深められた印象です。この部門、今後もますます面白くなりそうです。審査会の私が好きな瞬間は、終盤に勃発する「この作品やっぱり気になるんですけど!」の差し込み。散々議論した後だからこそ、各自気になってくるアレをどう机上に出すか、空気を探り合う瞬間はたまらないですね。

    森川 亮 Akira Morikawa
    C Channel
    代表取締役

    ほぼ昨年と同じ審査委員だったので目線のレベルや考え方は同じだった一方、去年が初めての試みで様々なものが集まりましたが、今年はクリエイティブよりの物はクリエイティブイノベーション賞に移り、よりメディアの価値を高めるものに集中した印象でした。審査上で最も悩んだのはそれが商品やサービスを伝える広告表現なのか、はたまたPRなのかという部分でした。試みとしてはユニークだけど商品特性を伝えるようなものではないというものはあえて外し、本質的にメディアの価値を生かしたコミュニケーションでやられた!というものに絞られました。毎回学びの多い審査会です。来年こそ自社のもので入賞目指します。

    森田 太 Futoshi Morita
    TOKYO FM
    執行役員 編成制作局長 兼 グランド・ロック 代表取締役

    今年も多種多様な試行錯誤、創意工夫の結晶が集結し、実に興味深く審査させて頂きました。と同時に、大変刺激を受けました。
    2年目のメディアクリエイティブ部門の応募作品から垣間見えたのは、時代と共に、その生態系を進化させ続ける、新たな「メディアの価値と立ち位置」。
    特徴的な傾向を、簡素に砕いて言うと、一つは「リアルタイムと体感」、もう一つは「何でもメディア時代の定着」。ゴールドを受賞したテレビCM2作品(ワールドカップ試合中の生CMと、地上波初放送の「君の名は」のコラボCM)は、まさにマスとリアルタイムを舞台に、”その瞬間でしかできない体験と共感”の魔法でした。
    そしてグランプリに輝いた「HI-STANDARD」のPR施策は、ハイスタ=マスメディアという時代の特異点のようなパワーが発生した結果と感じるばかりです。
    そして、その特異点=マス以外も何でもメディア化現象は、インターネットの登場で、すっかり森羅万象化されて行っているのでしょう。その概念がより細分化された所謂「何でもメディアって言っちゃったモン勝ち作品」が非常に多かったのも、今年の際立つ印象の一つでした。

    湯川 昌明 Masaaki Yukawa
    電通
    2020プロデュースセンター局長

    今年もたくさんの応募を頂きありがとうございました。昨年に引き続き審査委員を務めさせていただきました。選考に際しては『自分がやられた!と思った』ものという視点に加え『そのメディアでないと成立しないもの』『結果として広告主にとってのベストソリューションになっていたもの』を重視し選考させていただきました。が、葛藤がありました。
    広告は、普通にそのメディアの誰もが知るアセットを使い、成果をもたらし、顧客満足に至っている企画が山のように存在しています。メディアクリエイティブ部門は従来になかったやり方が優れた視点なのか?むしろそのメディアが保持するアセットを普通に使って普通に広告を掲載し、成果を出したものは評価の対象ではないのか?ならばクリエイティブの価値より、メディアの利用方法のアイディアの価値が上回っていたものを基準としよう。
    →そんな基準を認める人が(特にACCに)居るわけない(笑)ううむ。

    和田 龍夫 Tatsuo Wada
    サントリービール
    執行役員 マーケティング本部長

    いろんな広告賞の中でも、この部門の審査はとびきり面白い。数々のユニークなアイデアとの出会いがあり、議論が白熱しながらも、審査委員の中にある種の一体感のようなものが生まれつつあるように感じる。
    それはこの部門はまだ発展途上であるということの裏返しでもある。
    今年は何とかグランプリを選ぶことができたものの、個人的にはまだ物足りなさを感じている。

    ①クライアントの課題解決としての成果が可視化されているか?
    ②アイデアの独自性、話題性はあるか?
    ③世の中を動かせたかどうか?

    私はこの3点を評価軸として考えているが、③のハードルを越えるのが難しい。
    来年は、「この手があったか!」と私が嫉妬されられるような応募作を期待したい。

    PS:期待するだけでなく、自ら取りに行くぐらいの気概を持って頑張ります。(笑)

  • クリエイティブイノベーション部門
    審査委員長

    暦本 純一 Jun Rekimoto
    東京大学 教授
    ソニーコンピュータサイエンス研究所 副所長
    Q1 審査会の様子について。審査方針を含め、お聞かせください。

    ACCクリエイティブイノベーション部門は、現時点でのビジネスの大きさよりも、まだ人々がよく知らない、しかし未来を作り出す可能性ある原石を発見し、世界に発信し応援していきたという想いで設立されました。設立二年目の今年度、昨年と比較して応募数は若干減りましたが、本賞の意義を理解して応募いただいた作品が多く、その質は高く相当の激戦となりました。すでに製品化されているもの、研究途上のもの、それぞれの価値や差異を考慮しながら審査を行いました。

    Q2 作品の傾向およびグランプリ作品について

    グランプリを受賞した「スキンエレクトロニクス」は、まさにオンリーワンで、世界でもここにしかないという技術でした。さらに「あれに使えるかな」、「こうしてはどうか?」などアイデアが湧いてきます。そこで完結してしまうテクノロジーではなく、相乗効果や、応用の輪が広がっていく。そういう広がりが‟イノベーション”だと思うので、その種を撒いていただけたところも素晴らしかったです。また、高い技術を訴求するだけではなく、「この手があったのか」というイノベーションの別の形をみせてもらった作品もあったことも注記しておきたいと思います。

    Q3 若いクリエイターに一言

    イノベーションというと特別なものを作らなければと思いがちですが、現在から見て奇抜というよりも、未来から見て自然なもの、いったんそれを知ってしまうと現実がものたりなくなってくるような、そんなものを期待しています。

    クリエイティブイノベーション部門 審査委員

    安宅 和人 Kazuto Ataka
    慶應義塾大学 教授
    ヤフー チーフストラテジーオフィサー(CSO)

    アイデア×テクノロジー=イノベーションを掲げる本賞も気がついたら二年目。目新しさがなくなって面白い作品、眼を見張るような作品が来なくなったらどうしようと思ってたが、全くの杞憂でした。夢を技術で解決し、デザインでパッケージした作品が勢揃い。今回はしっかりとデモを沢山用意していただいたのでその生々しさがよく伝わったのが素晴らしかった。やっぱりモノがあるとぜんぜん違う。最後の10作品ぐらいまではなんとか絞ったものの、最終選考はデモでのやり取りが盛り上がり、審査時間も不足に。うれしい悲鳴でした。来年はどういうものが現れるのだろうと思うと本当に楽しみです。

    池澤あやか Ayaka Ikezawa
    東宝芸能
    タレント/クリエイター

    ACC TOKYO CREATIVITY AWARDSは、他の賞に比べるとかなり異色で、ACCの主戦場である広告だけではなく、プロダクトやプロジェクト、プロトタイプなど、既存の枠にとらわれない「現代」をアップデートする作品を評価する賞です。今年も、未来を感じさせる作品が数多く集まり、プレゼンシートを読むだけでこちらまでワクワクさせられました。また、賞の特性上、本来なら個別に評価をしなくてはいけない多様な軸を持った作品が集まってしまうため、審査は大変難航しました。特にファイナリストに残った作品は甲乙つけがたく、どれもイノベーティブで素晴らしい作品でした。応募してくださったみなさま、本当にありがとうございました。

    稲田 雅彦 Masahiko Inada
    カブク
    代表取締役 CEO

    2017年創設のクリエイティブイノベーション部門ですが、昨年から平均的なクオリティが高まり、エンターテインメントからアカデミア、スタートアップまで幅広い多様性がある、より筋肉質にシェイプアップされた賞となりました。そんな中で、今年のグランプリ「スキンエレクトロニクス」は、テクノロジー×アカデミア×大企業で、従来の広告、コミュニケーションの領域とは異なる可能性が垣間見られる、他の世界の業界賞とも異なる色を放っています。ただ、多様性のある審査委員の方々の中、審査の流れに大きな混乱を生じたかというとそうではなく、刺激的なディスカッションの中もテンポ良く進み、知的好奇心溢れるエキサイティングな場でした。

    井上 裕太 Yuta Inoue
    QUANTUM CSO
    QUANTUMGLOBAL CEO

    グランプリのみならず、トップ9作品の内4つが大学の研究室発のサービスやプロトタイプとなった本審査。そして、その内3つは企業との連携により生まれたもの。革新的なテクノロジーにアイデアをかけ算した部門を象徴するような作品が多く集まった。また、テクノロジーそのものに新規性はなくとも「その手があったか」「そんなのアリなのか」といったアイデアの力で愛されるプロダクトをつくり上げた作品も多かった。ある作品への賛否が大きく割れ議論が紛糾するシーンが何度もあったこともクリエイティブイノベーション部門らしさだろう。それぞれがユーザーの愛を育て続け、世界に大きなインパクトを与えるプロダクトが生まれる日も遠くない。

    佐々木 康晴 Yasuharu Sasaki
    電通
    第4CRプランニング局長/デジタル・クリエーティブ・センター長/エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター

    イノベーションとは何でしょう。単なる新技術のことではなく、単なる賞狙いの思いつきのことでもなく。クリエイティビティとテクノロジーの掛け合わせによる、世の中の課題への意外な解決方法のこと?そうかもしれません。たぶんそうです。でも、今回審査をして感じたのは、イノベーションとは、作る人の高い「熱」により、不可能と思われていたアイデアが形をまとい世に出てきたもの、なのかもなあ、と。いやお前、急になに恥ずかしいこと言っちゃってんの、って感じですよね。でも、この部門の最終審査は「プレゼン」なのですが、そこでホントに分かるんです。大事なのは、作る人の「熱」だということが。だから、来年はもっと多くの人にプレゼン見に来てほしいな。

    鈴木 雅穂 Masaho Suzuki
    トヨタ自動車
    コネクティッドカンパニー ITS・コネクティッド統括部 総括・企画室 室長

    昨年と比べ提案内容、審査委員会の議論共々、バージョンアップ&ヒートアップしています。プロトから実売モデルまで多様な作品達でありましたが、よりフィージビリティが高い作品が増えているのはイノベーティブな取組みが根付きつつあるからではないでしょうか。加えて、昨年提案のプロトがパワーアップして登場するなど、アワードが単なる評価の場に留まらず、アイディアを進化させるプラットフォームとなるポテンシャルをも感じます。審査の議論も昨年以上に鋭く示唆に富んだ意見の応酬で、残念ながら受賞やファイナリストに残らなかった作品も次へのステップのためにそのコメントもお伝えしたいぐらいです。来年もまた楽しみです。

    野添 剛士 Takeshi Nozoe
    SIX
    クリエイティブディレクター/代表取締役

    未来へ票を投じる。
    ほとんどの広告賞は「時代性」にこそ価値がある。今の時代にいかにワークしたのかで選ばれる。それに対してこの部門は、「未来」へ向かって票を投じる。それがこの部門の面白さであり、難しさだと思います。それゆえに、審査会での個人の「良い」「悪い」の判断の背後には否応無くその人ならではの「個人的な未来観」が見え隠れしてしまう。僕はそれを見ているのが一番楽しかったです。好みで言うと「正しい未来」より断然「面白そうな未来」なのですが、今回は審査委員一同で「伸び代だらけの未来」に賭けてみた。そんな審査結果になりました。そんな選び方も、また、この部門ならではなのかなと。

    深田 昌則 Masa Fukata
    パナソニックアプライアンス社
    Game Changer Catapult代表

    今年もこの賞の審査会は大変エキサイティングなものになりました。審査委員には大変多様性のあるバックグラウンドを持つ方々が集まっており、入賞作品がすでに大変面白いだけではなく、審査委員の様々な意見が時に辛辣で、時に温かく、日本のクリエイティブ・イノベーション界に愛情があるからこその深い議論が繰り広げられました。
    やはり今このクリエイティブ業界は、クリエイティブだからこそ持ち寄れる新しい価値の創造が求められており、単なる「面白い」から「加速的に実現させたくなるほど面白い」ことを生み出す役割になっていると確信しています。これらの入賞作品から、そういう情熱・共感に訴えかけ世界を変えていくアイデアが生まれると確信しています。

    朴 正義 Masayoshi Boku
    バスキュール
    代表取締役/クリエイティブディレクター

    今回の審査は、とてもスムーズで、ほとんど迷いなく決められていったのが印象深かったです。一方で、個人的には、かなり順位が悩ましかったので、みなさんはどうだったのかな?と気になりました。それぞれのプロジェクトにいくら張る?という感覚の持ち点配分制の方が素直に自分の評価を表せそうな気もしましたが、広告賞を飛び出しちゃいすぎますかね...という感想が出てしまうくらい審査の難しい部門ですが、大事な部門であることは間違いないと思いますので、うまく育ってくれたらと思います。

    森岡 東洋志 Toyoshi Morioka
    1-10drive
    CTO/テクニカルディレクター

    第一回である前回は『クリエイティブイノベーション部門はそもそもどんな軸で審査すべきか』を決定することに非常に多くの時間を費やしました。
    その結果、メンバが重なって居ることもあり、今回はかなりスムーズに審査が進んだように思います。
    応募作品を見る限り今回は研究分野からの応募が増加しており、少しずつこの部門が広告業界以外にも広まって来ていることを実感しました。

    矢澤 麻里子 Mariko Yazawa
    Plug and Play Japan
    Chief Operating Officer

    審査させていただいたプロダクトはどれもレベルが高く、何を選ぶか審査委員の中で意見が大きく分かれる局面もあったと思います。それだけ、注目されている賞でもあり応募作品の全体のレベルが高かったんだろうなという印象を受けました。技術はとても面白い。しかし伝わりにくいことも多いので、クリエイティブの入り方次第で圧倒的に技術の原石が輝きます。もちろん表現だけじゃなく、技術活用そのものにクリエイティブさを掛け算することで、イノベーションの可能性は無限大だな、と思います。こんな素晴らしい作品が集結する場はなかなかないので、ACCを通してイノベーティブな作品がどんどん世に送り出されることを期待しています!

    米澤 香子 Kyoko Yonezawa
    電通
    Dentsu Lab Tokyo
    Creative Technologist

    去年生まれたクリエイティブイノベーション部門。今回はじめて審査委員として参加させていただきました。応募作品は非常に多彩で、広告もあれば、プロダクトもあれば、サービスもあれば、研究やプロトタイプもある。比べにくい魅力のある応募作品たちを、同じ土俵で評価していくというのは非常に難しく、クリエイティブとはなにか、イノベーションとはなにか、というのを常に考えさせられる審査会でした。最終審査がプレゼンテーション形式というのもユニークで、実際にモノを持ってきていただきデモを拝見することもできました。「実物」のもつ力はものすごくて、エントリーシートでは見えにくい魅力を発見することも多かったです。