米澤審査委員長 審査講評
イノベーションとは一朝一夕で為るものではなく、長い時間のあと振り返ったときに、あ、あれが転換点だったな気づく、そういうものではないでしょうか。なので、「テクノロジー×ビッグアイデア」がテーマの部門ではありますが、それに並ぶほど大切なのは「社会に根付くか・未来を創れるようなポテンシャルを有しているか」という視点です。社会に根付かせるためには、作品そのものの力に加えて、造り手および使い手の意志の力がとても重要になってきます。今回は、そういった意志をもつ作品に多くエントリーしていただいたと感じました。
グランプリを受賞した「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」は、その意志をものとても強く感じた作品です。エントリー自体はカフェというタイトルになっていますが、プレゼンを通してカフェという場だけでなく、そこにたどり着くまでのロボット・オリヒメの開発、オリヒメをいろんな方が操作できるUIの開発、カフェをきっかけにさまざまな企業や県庁での就職につながったお話、そして今後も世の中に定着させていくんだという強い意志を伺うことができました。
贈賞式の場面では、使い手であるマサさんに「オリヒメと出会ったことで人生が良い方向に変わりました」と仰っていただき、この作品をグランプリに選ぶことができて本当に良かったと改めて思いました。今後のご活躍も、楽しみにしております。