井村査委員長 審査講評
音の聞こえ方を工夫した作品が上位に並びました。その中でも「ロボット掃除機ルーロ」は、「一度聴いただけなのに、ずっと頭から離れない」(審査委員・徳井さん)と、ずば抜けた印象で決戦投票を待たずのグランプリ。受賞作を見るとラジオCMらしい王道表現の年だったように感じられるかもしれません。
しかし、審査全体はラジオ&オーディオ広告部門に大きな変化を予感させるものでした。
昨年始まったBカテゴリーから初のゴールド受賞作となったパナソニック「Voice of Home」は、音を使う場所やタイミングに注目した作品。ややアウトプットをイメージしづらいBカテゴリー(音声を活用した企業コミュニケーション)でしたが、この作品は明快に考える指針を示し、今後Bカテに多くの作品が出てくることを期待させる好例となったのではないでしょうか。
また、ファイナリスト以上53作品のうち、実に3分の1がアンダー29の作品となりました。
ACC7部門の中でラジオ&オーディオ広告部門の魅力は、自由に作家性を発揮・実現できることではないかと考えています。「なんか面白いことができそうだ、自分もラジオに参加してみたい」、そう感じてもらえるメッセージを発信していきたい。
その点で今年のサプライズはなんといってもブロンズ入賞の「新日邦」でしょう。毎年フィルム部門で大暴れしているあの「コンコルド」がラジオにやって来た! 審査委員にはあの鶴光さんもやって来た! そしてたくさんの広告主やクリエイターがラジオに集まってくる。そんな力強い流れを感じた審査会でした。