クリエイターズ殿堂

第6回 クリエイターズ殿堂

川崎 徹 氏。1948(昭和23)年東京生まれ。
川崎 徹
選考理由

1980年代、さまざまな広告クリエイターが脚光をあびる中、「川崎徹の時代」というものが確かにあった。世の中が建前だけでは動かなくなった時代。「建前」をひっくり返し、「キレイゴト」の裏にあるものを、からかい、遊んだ。次々とヒットCMを生み出し、「トンデレラ・シンデレラ」等数々の流行語が生まれた。広告ブームを作った中心的人物。閉塞状況にあった当時のCM界に大きな風穴をあけ、CMそのものを大きく変えた人である。

プロフィール
演出家・小説家。1948(昭和23)年東京生まれ。1982(昭和57)年郡家淳、山本雅臣、関谷宗介と(株)マザースを設立。1980年代以降「よろしいんじゃないですか」「いいなぁーアレ」「一般大衆」「会社の方針」「ヤリ貝クン」等流行語を生んだCMを演出。主な受賞作品はナショナル・トランザム「高見山」 (1978年ACC全日本CM大賞<グランプリ>)、フジカラー「お名前(美しい人はより美しく、そうでない方はそれなりに)」(1980年ACC全日本CM大賞<グランプリ>)等。現在は小説を執筆。主な著書に「石を置き、花を添える」、「猫の水につかるカエル」、「会話のつづき」、「最後に誉めるもの」、「ムラカミのホームラン」(講談社)等。
大森 昭男 氏。1936(昭和11)年1月7日、山梨県生まれ。
大森 昭男
選考理由

三木鶏郎がパイオニアとして道を切り拓いたCM音楽の世界。1980年代、その流れを大きく変えたプロデューサーがいた。坂本龍一、大瀧詠一、山下達郎など才能あふれるミュージシャンを発掘し、起用。それまでのCM音楽とはまったく異質なその音楽は、時代を牽引し、若者の心を強くとらえた。まさに、日本のCM音楽そのものを大きく変えた人である。

プロフィール
1936(昭和11)年1月7日、山梨県生まれ。1960(昭和35)年三木鶏郎主宰「冗談工房」入社。1965(昭和40)年作曲家・桜井順と「ブレーンJACK」設立。1972(昭和47)年(株)ON・アソシエイツ音楽出版創立。資生堂の70~80年代キャンペーンソング「サクセス」「時間よ止まれ」「君の瞳は10000ボルト」「夢一夜」「A面で恋をして」、アサヒビール「三ツ矢サイダー」シリーズ、サントリー「ワインレッドの心」「ウィスキーがお好きでしょ」、AGF「熱き心に」、清水建設「パパの手の歌」SONY「LIBERTY」他。音楽家、映像作家、コピーライターたちとの出会いの中で手仕事感覚の制作姿勢を大切に歩んでいる。
五井 千鶴子 氏。
五井 千鶴子
選考理由

文化放送に所属し、ラジオ局の制作部の存在を示し続けてきた、数少ない一人である。サントリーや松下電器など、ラジオCMに熱心なクライアントのCM制作に携わり、多くの受賞作を生み出す。映像のないラジオCMにおいて、音から映像を連想させるCMづくりを貫いた。まさに、ラジオCMそのものを大きく変えた人である。

プロフィール
1969(昭和44)年から2006(平成18)年まで文化放送でラジオCM制作に携わる。
部署の名称は編成局放送部,営業局CM部、営業推進部等々、おりおりの経営方針で変遷を辿ったが、ラジオCM企画制作ひとすじを貫きつつ、特別番組を含む番組制作もプロデュースした。その間に最優秀スポット大賞(ACCグランプリ)、日本民間放送連盟賞最優秀賞、フジサンケイ広告大賞演出者賞など受賞歴多数。2000(平成12)年にACC創立40周年記念番組「民放生まれて50年 紅白対抗コマソン歌合戦」を企画演出。全国すべての民放ラジオで放送された。また、1984(昭和59)年に文化放送主催で「ラジオCMコピー大会」を企画立案し、故天野祐吉氏が発行人の広告批評と共催し2005(平成17)年まで運営した。
秋山 晶 氏。1936(昭和11)年東京生まれ。
秋山 晶
選考理由

延べ40年にわたって手がけるキユーピーマヨネーズの仕事をはじめ、コピーに書き手の個性を与えるコピーライターとしてその名を知られる。それと同時に、1988(昭和63)年のジャック ダニエル、2002(平成14)年のキユーピーマヨネーズでACCグランプリを2度受賞。それまでの紙芝居的なCMと一変して、印象的なワンビジュアル&ワンコピーを中心にした映像と、洗練された音楽。コピーライターがつくる映像として、CM自体を大きく変えた人である。

プロフィール
1936(昭和11)年東京生まれ。幼少期よりアメリカの文化に馴染み立教大学経済学部を卒業。
大学卒業後に出版社に入社し、宣伝部に配属される。女性誌や小説の帯のキャプション等を手掛けた後1964(昭和39)年ライトパブリシティ入社。1965(昭和40)年には化粧品会社の作品で「TCC会員賞」「ADC金賞」を受賞し、コピーライター、クリエイティブディレクターとしての才能を開花させた。本来匿名であるコピーに書き手の個性を与えた第一人者としてその功績を称えられている。2009(平成21)年東京コピーライターズクラブ、2010(平成22)年東京アートディレクターズクラブHALL OF FAME。
郡家 淳 氏。1948(昭和23)年東京生まれ。
郡家 淳
選考理由

1982(昭和57)年に株式会社マザースを設立。あの時代に際立って特別な存在であった。「郡家さんと一緒に仕事がしたい」という若手クリエイターが多数存在し、まさに「プロデューサーでありながらスター」であった。プロダクションビジネスの有り方そのものを変え、新しいCMの作り方を確立。ひいてはCMプロデュースの姿そのものを大きく変えた人である。

プロフィール
プロデューサー 。1947(昭和22)年長崎市生まれ 成城大学経済学部卒業。
1971(昭和46)年(株)電通映画社入社。1982(昭和57)年(株)マザース設立。
  • <CM>
  • レナウン・アーノルドパーマー、ネスカフェゴールドブレンド・違いがわかる男、SONY・カセットテープ、服部セイコー・ゆく年くる年、アサヒビール・ミニ樽、トヨタ自動車・コロナ/クレスタ、サントリー・生樽 一般大衆/贈りもの (♬冬のリビエラ) /モルツ球団、パルコ・スタンハンセン/内田裕也、日立製作所・Interface ビデオレター、伊勢丹・世界のフォトグラファー、キリンビール・「証言」、アデランス・ハリケーン〔1996年モントルー国際広告賞金賞・ギャラクシーCM賞〕、AGF・マキシムコーヒー (♬熱き心に) 、日産自動車・新型ブルーバード、NTT東日本・企業 ことばの石/SMAP、 武田薬品工業・タケダ胃腸薬21 (♬男と女のラブゲーム)、日本コカコーラ・ジョージア (♬明日があるさ)〔2001年ACCグランプリ〕、NTTドコモ・ケータイ家族物語〔2003年フジサンケイ広告大賞グランプリ〕、ピエトロ・おいしいサラダ
  • <MUSIC VIDEO>
  • 井上陽水 Make Up Shadow 、大貫妙子Gratefully Yours;2009 、RC サクセション FEEL SO BAD、長渕剛 Hungry、TMネットワーク 金曜日のライオン

【第6回クリエイターズ殿堂 選考委員】(五十音順)

  • ■ 選考委員長
    杉山 恒太郎氏
  • ■ 選考委員
    阿部 正吉、岡 康道、小田桐 昭、早川 和良、林田 洋、宗形 英作の各氏