1980年代、さまざまな広告クリエイターが脚光をあびる中、「川崎徹の時代」というものが確かにあった。世の中が建前だけでは動かなくなった時代。「建前」をひっくり返し、「キレイゴト」の裏にあるものを、からかい、遊んだ。次々とヒットCMを生み出し、「トンデレラ・シンデレラ」等数々の流行語が生まれた。広告ブームを作った中心的人物。閉塞状況にあった当時のCM界に大きな風穴をあけ、CMそのものを大きく変えた人である。
三木鶏郎がパイオニアとして道を切り拓いたCM音楽の世界。1980年代、その流れを大きく変えたプロデューサーがいた。坂本龍一、大瀧詠一、山下達郎など才能あふれるミュージシャンを発掘し、起用。それまでのCM音楽とはまったく異質なその音楽は、時代を牽引し、若者の心を強くとらえた。まさに、日本のCM音楽そのものを大きく変えた人である。
文化放送に所属し、ラジオ局の制作部の存在を示し続けてきた、数少ない一人である。サントリーや松下電器など、ラジオCMに熱心なクライアントのCM制作に携わり、多くの受賞作を生み出す。映像のないラジオCMにおいて、音から映像を連想させるCMづくりを貫いた。まさに、ラジオCMそのものを大きく変えた人である。
延べ40年にわたって手がけるキユーピーマヨネーズの仕事をはじめ、コピーに書き手の個性を与えるコピーライターとしてその名を知られる。それと同時に、1988(昭和63)年のジャック ダニエル、2002(平成14)年のキユーピーマヨネーズでACCグランプリを2度受賞。それまでの紙芝居的なCMと一変して、印象的なワンビジュアル&ワンコピーを中心にした映像と、洗練された音楽。コピーライターがつくる映像として、CM自体を大きく変えた人である。
1982(昭和57)年に株式会社マザースを設立。あの時代に際立って特別な存在であった。「郡家さんと一緒に仕事がしたい」という若手クリエイターが多数存在し、まさに「プロデューサーでありながらスター」であった。プロダクションビジネスの有り方そのものを変え、新しいCMの作り方を確立。ひいてはCMプロデュースの姿そのものを大きく変えた人である。